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ルイ・ノゲイラ著、井上真希訳、晶文社刊『サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生』を再読した。

思えば、この本がなければ私のHPもブログも存在しなかったことは間違いない。
この本の翻訳が発売されたことに今更ながら感謝である。

今から10年以上前に出た本だから(2003年発売)、もしかしたら、こんな本が出ていたなんてご存じない新しいメルヴィル・ファンもいるかもしれない。
この本は、メルヴィル監督が映画ジャーナリスト、ルイ・ノゲイラの質問に答える形で、自身の監督作と映画人生について語った対談本である。(原書は1970年にロンドンで発売)

いつの間にか廃刊となったようで、Amazonでも中古しか取り扱っていないのが残念だが(大手書店等では在庫がある可能性もなくはないと思う)、昔からのファンはもちろん、最近『サムライ』のBlu-rayやDVDを観てメルヴィルに興味を持った人たちにも是非とも読んでいただきたい本である。
この本を読んだら、メルヴィルの全監督作品を観たくなることは必定である。

今回、全篇を読み返してみて、内容の面白さには改めて夢中になったし、私自身、かなりの部分を忘れていることに気づいた。
もちろん、メルヴィル映画の面白さも改めて思い起こした次第である(最近はほとんど観ていないので・・・汗)。
それと同時に、初めて読んだ時から感じていた、どこか他人行儀的というか、本音を語り尽していないもどかしさも感じたのは確か。
おそらくは本に載せられなかったインタビューも相当あったのではないかと推測される。
メルヴィルが自作や映画全般についてとことん本音で語ったら、こんな内容では済まなかっただろう・・・。

思えば、この本が2003年に出た時は、日本では『海の沈黙』や『モラン神父』は公開もソフト化もほぼされていない、まさに幻の作品であったし、その後、この2作の他にも『賭博師ボブ』、『いぬ』(再販)、『サムライ』(再販)、『影の軍隊』(再販)、『仁義』(再販)、『リスボン特急』といった作品のDVD化が実現したことは、今では信じられないくらいだ。

その意味では、この本が出た頃に比べて、現在がメルヴィル映画の鑑賞環境としては遥かに恵まれていることは間違いないし、この本を楽しむという意味でもそうであるに違いない。(もっとも、本の内容は『仁義』までで、遺作『リスボン特急』についてはメルヴィルの口からは触れられていないが)

『サムライ』の映像ソフトも再販されたことだし、この本も是非とも復刊して欲しいと思う。
現在はもう一冊のメルヴィル本『映画伝説 ジャン=ピエール・メルヴィル』を読み進んでいるところ。

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シネマヴェーラ渋谷で『山田宏一セレクション ハワード・ホークス特集』が上映されます。
期日は12月17日から1月13日までで、上映予定作品は24作品(デジタル上映)。(リンク

これはとても楽しみな企画。
私自身、ホークスの作品は観ていない作品の方がはるかに多いのですが、それでもこれまで観た作品を思い起こすと、その明快でシャープな作風にたまらない魅力を感じますね。
このラインアップを見ますと、未見の作品はもちろん、『暗黒街の顔役』『ヒズ・ガール・フライデー』『三つ数えろ』『赤い河』等、DVD含め観直したい作品が目白押しですね。

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『旅路の果て』を国内盤ブルーレイ(IVC)で観た感想。

この映画については何度も書いているので、内容の素晴らしさについては今さら言うまでもないが、今回は待望のブルーレイでの視聴。
実際、映像もフランス・パテ社が2015年に修復したマスターが使われているようで(冒頭にクレジットが出てくる)、これまで観ていたIVC盤DVDとは比べ物にならないくらい画質が良く、大変満足である。
全く、これまでひどい画質のDVDを有難がって観ていたのが夢のようだ。

良い画質で観ると映画がさらに魅力的に写るのは当然で、これまで観た時に比べ、脇役陣の好演ぶりがことに印象深い。
もちろん、ヴィクトル・フランサンルイ・ジューヴェミシェル・シモンの主演3人の演技の素晴らしさには改めて感銘を受けた。
ラストは涙無くしては観られない。

戦前のフランス映画ファンには絶対オススメの逸品である。

前回に引き続き『25th Anniversary Seiko Matsuda PREMIUM DVD BOX』から、90年の武道館コンサートのライヴ映像『Precious Moment ~1990 Live At The Budokan~』を取り上げます。

ニューアルバム『Precious Moment』を引っ提げてのコンサートツアーは89年12月から90年1月にかけて大都市中心に13公演が行われています。
武道館公演は年を跨いで都合5回に及びますが、この映像はツアー最終日である90年1月24日の武道館公演を収めたもの。

DVDの収録時間はやはり55分程度で、実際のコンサートの半分ほど。
Youtubeにさらに30分ほど長いバージョンの映像がアップされていますが、これも完全版ではありません(『ガラスの林檎』『時間の国のアリス』が収録されていない模様)。
全体的にリップシンクの多いコンサート映像で、まだまだ声の出るこの時期にこれは残念。
この頃デビュー以来の所属事務所サンミュージックから独立した結果、後ろ盾を失いマスコミから総バッシングに遭っていた時期ということも関係しているのでしょうか。

DVDは途中ところどころで聖子さんのインタビューを挟みます。
それぞれ1~2分程度のあっさりしたもの。

コンサートのオープニングはニューアルバムから『Chase My Dreams ~明日へのStep~』。
声の調子はまずまずですが、もう一つノリが良くない印象。
黒人ダンサーを従えて歌い踊る『月夜のDancing Beat』~『雨のコニーアイランド』~『Marrakech ~マラケッシュ~』は例によってリップシンク。

それどころか、メドレー (青い珊瑚礁~風は秋色~野ばらのエチュード~ピンクのモーツァルト~天国のキッス~渚のバルコニー~旅立ちはフリージア~夏の扉)
までもすべてリップシンク。
メディアムテンポの『Forever Love』(改めて聴くとなかなか良い曲)までリップシンクです。
もちろん、コンサートのすべてを収録しているわけではありませんが(それ以降の4曲は生歌)、ちょっとリップシンクの割合が多すぎる印象です。

そのせいか、印象的だったのは意外にもド定番の『赤いスイートピー』。
昨今のようにサビ部分で客席にマイクを向けることもなく、丁寧にしっとりと歌っていて好印象(もちろん生歌)。
他には、このDVDには未収録ですが、Youtubeで観られる『あなたにありがとう』(コンサート本編でのラスト)がベスト・パフォーマンスだと思います。
当然生歌で、歌唱もとても良いだけに(声もしっかり出ています)DVDに収録されなかったのは不可思議です。

アンコールにまたも『Chase My Dreams ~明日へのStep~』と、同じ曲を歌っているのが珍しい。
衣装もそのために変えているようなので、ツアーの間中そうしていたのでしょう。
歌のノリも良く、オープニングに歌った時よりも明らかに優れたパフォーマンスです。

YoutubeでDVDより長いバージョンが観られます。
ラウール・クタールが亡くなったそうです。
享年92歳

言うまでもなく、主にゴダールやトリュフォーの作品の撮影監督を務めたヌーヴェル・ヴァーグの名キャメラマンの一人で、メルヴィルにはアンリ・ドカという専属キャメラマンのような存在がいたためか監督と撮影監督という立場で仕事をする機会はありませんでしたが、ゴダールの『勝手にしやがれ』(59)では撮影監督と俳優(メルヴィル)という立場で一緒に仕事をしています。

ウィキペディアを見ますと、とりわけ60年代前半の仕事の充実ぶりは凄まじい限りですが、個人的にはトリュフォー『柔らかい肌』(64)、ゴダール『はなればなれに』(64)あたりの素晴らしいモノクロ撮影が印象深いですね。

メルヴィルが激賞したジャック・ドゥミ『ローラ』(60)の撮影もクタールですし、コスタ・ガヴラス『Z』(俳優としても出演)、『告白』といった社会派の作品まで撮っているのには今更ながら驚かされます。

謹んでご冥福をお祈りいたします。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督のBlu-rayといえば、先日『我等の仲間』『旅路の果て』の2作のBlu-rayが発売されたばかりですが(私も買いましたがまだ観ていません)、12月23日にはなんと『舞踏会の手帖』 のBlu-rayも発売されます。
発売元は今回もIVC

舞踏会の手帖』は『望郷』等と並んでデュヴィヴィエ監督の代表作とも目される作品ですが、私はこれまで一度しか観ていません。
以前IVCから発売されたDVDを観たのですが、画質が悪く、あまり楽しめなかった覚えがあります。
今回のBlu-rayはHDマスターを謳っていますので、画質は期待できるでしょう。
この作品をBlu-rayで再見するのが楽しみです。

ジャン・グレミヨン監督の『白い足』を国内盤DVD(『珠玉のフランス映画名作選 DVD-BOX Vol.1』)で観た感想。

出演:シュジ・ドレール、フェルナン・ルドゥー、ポール・ベルナール、ミシェル・ブーケ、アルレット・トマ

呪われた映画作家”と言われるジャン・グレミヨン監督の映画は観られる機会が少ないが、昨今少しずつDVD化がなされている。
この『白い足』はもともとジャン・アヌイが脚本を執筆、監督もする予定だったが、撮影2週間前になってグレミヨンに委託してきたのだという。
グレミヨンは監督を受諾するにあたって、脚本の手直し、時代を20世紀初頭から現在に置き換えること、出演俳優の変更を条件にしたと言われる。(DVDの解説参照)
タイトルの”白い足”とは、古城に一人住む伯爵(ポール・ベルナール)がいつも白いゲートルを履いていることを指す。

内容はいかにもこの時代のフランス映画らしい不条理な悲劇。
観る者をどんどん惹き付ける演出力が見事である。
ただ、観ている間はこれは大傑作だと思っていたのだが、ラスト10分くらいになってから理解できない展開となった。
撮影直前に脚本の手直しをしたせいなのか、人物の心理的変化の描写が丁寧とは言えず、唐突な印象を与えるところもある。(大筋から言えばそれほど気にならないが)

ヒロインのシュジ・ドレールは、ルネ・クレマン監督『居酒屋』の印象が強烈な女優だが、これもそれに劣らぬ演技と存在感。
モリス役を演じたミシェル・ブーケはこれがデビュー作でさすがに若く、私は初め誰か分からなかった。(ただし、目はあの目)
宿屋亭主ジョリアン(DVDの解説書にはジュリアンと記されているが、映画中の発音はジョリアン)役のフェルナン・ルドゥーはこの時代のフランス映画好きには馴染みの顔で、『曳き舟』(グレミヨン)、『獣人』(ルノワール)『悪魔が夜来る』(カルネ)『赤い手のグッピー』(ベッケル)といった出演作がある。
伯爵役のポール・ベルナールはいかにもそれらしい雰囲気があるが、役の心理がもう一つ伝わってこないのは演出のせいなのか。

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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