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アラン・コルノー監督の『メナース』(77年)を国内盤DVD(IVC)で観た感想。

真夜中の刑事』(76年)に引き続きアラン・コルノー監督とイヴ・モンタンが組んだ作品。
脚本は監督自身とダニエル・ブーランジェ、撮影はトリュフォー作品で有名なピエール=ウィリアム・グレン、 音楽はバリトン・サックスの巨匠ジェリー・マリガン

無実の罪を課せられた女を助けるために男が偽装工作を働く、というポリス・スリラー。
運送会社が舞台だけにトラックが大きな役割を果たしている。
モンタンとトラックといえばクルーゾー監督の『恐怖の報酬』(52年)だが、肉体派としての魅力のあった当時に比べ、この映画ではすっかり落ち着いた中年男性に成長しているので、なんとなく違和感がある。

後半はアクションシーンもあるが、全体としてはかなり静かな映画という印象が強い。
ストーリーもかなり回りくどく、また説明もほとんどないので(メルヴィル風?)、場面ですぐに状況を把握できなかったりするのが難。
二人のヒロイン、キャロル・ロールマリー・デュボワも、どこか使い方が勿体ない感じが残る。(もっともマリー・デュボワはこの作品でセザール賞助演女優賞受賞)
ジェリー・マリガンの音楽も必要最低限しか使われておらず、もっと使い道はなかったのかと思う。

それでも最後まで画面に惹きつけられたのはモンタンの存在感と、刑事役のジャン=フランソワ・バルメが良かったからだ。
46年生まれのジャン=フランソワ・バルメは当時30そこそこで、かなり複雑な性格の刑事役を見事に演じ、セザール賞助演男優賞にノミネートされている。

国内盤DVDの画質は特別良くもないが、悪いというほどでもない。
画面が暗いシーンが多いのは画質のせいなのか撮影のせいなのか。

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アラン・コルノー監督の『真夜中の刑事』を国内盤DVDで観た感想。

POLICE PYTHON 357』(76年)
監督:アラン・コルノー
脚本:アラン・コルノー、ダニエル・ブーランジェ
撮影:エチエンヌ・ベッケル
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:イヴ・モンタン、フランソワ・ペリエ、シモーヌ・シニョレ、ステファニア・サンドレッリ、マチュー・カリエール

再見。
以前このブログにこの映画の記事を書いていますが(リンク)、今回はその後発売された国内盤DVDを改めて観た感想です。

とはいえ、以前書いた感想とほとんど印象は変わりません(笑)。
が、今回観直してみて、改めて面白い映画だという印象を持ちました。
もしかしたら、前回よりも面白く感じたかもしれません。
特に殺人事件が起きた後の中盤の展開が見ごたえありましたね。
イヴ・モンタンシモーヌ・シニョレフランソワ・ペリエの3人の演技力、存在感はさすがです。
特に、シニョレとペリエの二人の会話のシーンはどこも印象的でした。
また、ステファニア・サンドレッリも以前見た時より魅力的に見えました。

それと、今回観直してみて思ったのですが、不思議とメルヴィルの『サムライ』(67)を彷彿とさせるシーンがいくつかありました。
例えば、フランソワ・ペリエが鏡の前で帽子を被り直すシーン、殺しの証拠を川に投げ捨てるシーン、そして、一人の女性を巡る二人の男が女のマンションでニアミスするシーン・・・などです。
『サムライ』で警視役だったペリエがそれらのシーンすべてに絡んでいるのが面白いところですね(笑)。

アラン・コルノー監督の『セリ・ノワール』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。

SERIE NOIRE』(79年)
監督:アラン・コルノー  
脚本:アラン・コルノー、ジョルジュ・ペレ 
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン 
音楽:ジェラール・レノアマン 
出演:パトリック・ドヴェール、マリー・トランティニャン、アンドレアス・カツーラス、ミリアム・ボワイエ、ベルナール・ブリエ、ジャンヌ・エルヴィエール

初見。
ジム・トンプソンの原作『死ぬほどいい女』を映画化した作品。
映画のタイトルの通り、フレンチ・ノワールの傑作との世評の高い作品であるが、この映画の作られた79年という時代のせいか、60~70年代半ばくらいまでの私が好むようなフレンチ・フィルム・ノワール作品とはかなり毛色が違う。
なんといってもこの映画の特徴は、主演のパトリック・ドヴェールの演技と存在感に尽きるが、この俳優、そして、この役柄のキャラを好くか否かがこの映画を好むか否かの分かれ目になるだろう。
正直言って、個人的にはあまり好きな映画とは言えないが、異様なまでのテンションと迫力を持った作品であることもまた確か。
それにしても、アラン・コルノーがこんな映画を撮っていたとは意外だった。
奥さん役のミリアム・ボワイエ、仕事場のボス役のベルナール・ブリエ等、助演陣もすこぶる印象的。

前回お知らせしたクロード・ソーテ監督の『友情』のDVDが発売される7月22日には、アラン・コルノー監督の『セリ・ノワール』(79)が同じくIVCからDVD化されます。

この作品は未見ですが、ジム・トンプソン原作、パトリック・ドヴェールマリー・トランティニャン主演のフレンチ・ノワールの名作との評判で以前から気になっていた作品なので今回のDVD化は嬉しいです。
それにしてもIVC、やってくれますね。

アラン・コルノー監督といえば、イヴ・モンタン主演の刑事モノ『真夜中の刑事 POLICE PYTHON 357』が今月27日にDVDが発売されますので、これも楽しみです。(以前書いた『真夜中の刑事』のレビュー

アラン・コルノー監督の『真夜中の刑事』をレンタルビデオで観た感想です。

image46.jpgPOLICE PYTHON 357』(76年)
監督:アラン・コルノー
脚本:アラン・コルノー、ダニエル・ブーランジェ
撮影:エチエンヌ・ベッケル
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:イヴ・モンタン、フランソワ・ペリエ、シモーヌ・シニョレ、ステファニア・サンドレッリ、マチュー・カリエール

アラン・コルノー監督の最新作『マルセイユの決着(おとしまえ)』が現在国内でも公開中ですが、監督の出世作と言われているのがこの作品です。
いまだ国内DVD化されていませんが、70年代のフレンチ・ノワールの名作として挙げられることもある作品で、キャストもイヴ・モンタン始め、この手の作品にはお馴染みの豪華なメンツです。

簡単な内容は、イヴ・モンタン演じる独身の中年刑事が、ある事件をきっかけに知り合った女性と恋に落ちますが、その女性は実は警察署長(フランソワ・ペリエ)の愛人だった。
そこから殺人事件が発生しますが、モンタンがその事件に巻き込まれる…というもの。

ラスト、いろいろな謎がすんなり解決とならず、それまでの流れとは全然違う事件の解決というのがちょっと納得しがたいですが、内容はなかなか面白かったです。
内容は適度に重く、モンタン演じる刑事役も、颯爽たるカッコ良さというよりは、人間的な弱さを感じさせる役作りです。

image47.jpg二人の男性に愛される女性を演じたステファニア・サンドレッリは、当時のイタリアのトップ女優。
代表作としてはベルトルッチ監督の『暗殺の森』(70)などが挙げられますが、“脱ぐ女優”としても有名。
ちなみに、この映画ではちょっとだけヌードシーンがあります。
デビュー間もない頃にはメルヴィルの『フェルショー家の長男』(62)に出演、ジャン=ポール・ベルモンドとも共演しています。

この映画には、イヴ・モンタンの実生活の夫人シモーヌ・シニョレも出演していますが、この作品ではフランソワ・ペリエの夫人役。
これがまた、モンタン、ペリエのお母さんのような堂々たる存在感です。
フランソワ・ペリエも実に渋い存在感ですが、老けた感じはほとんどありません。

ジョルジュ・ドルリューの音楽は、作品の内容に応じてか、少々重苦しい印象。

アラン・コルノー監督の『マルセイユの決着』の感想ですが、今回はキャストについて書いてみたいと思います。

img_01.jpg物語の主人公、ギュ(ギュスターヴ・マンダ)を演じたダニエル・オートュイユ
主演なのに、どうも存在感が薄いように感じられたのは私の偏見でしょうか。
他に存在感のある俳優が何人か出ているせいでもありますが、なんというか、オリジナルのリノ・ヴァンチュラそっくりの扮装をしている割に、風貌の可愛らしさが目に付いてしまうのですよね。
それと、数年前『あるいは裏切りという名の犬』(オリヴィエ・マルシャル監督)を観た時も感じたことなのですが、私はこの俳優の顔がちょっと苦手なのかもしれません。
理屈ではなく、生理的なものなのですが。
かといって、これだけのギュを演じられる俳優が現在他にいるのかといったら、名を挙げられないのですがね。

マヌーシュを演じたモニカ・ベルッチ
なんといっても、容姿の美しさが最大の強み。
さすがに『ギャング』のクリスチーヌ・ファブレガの味わいこそありませんが、原作により近い妖艶な存在感で、演技も悪くなかった。
ただ、不思議と暗黒街の匂いを感じなかったのですが気のせいでしょうか。
あと、ベルッチだけのせいではないでしょうが、ギュとの別れのシーンは、オリジナルの足元にも及ばないと思いました…。

ブロ警視を演じたミシェル・ブラン
実は一番不安だったのがこのキャスティングでした。
『ギャング』のポール・ムーリッスの名演がなんといっても強烈な印象にあるからですが、ミシェル・ブラン、かなり良かったです。
確かに容姿的にはオーラの感じられない人なので、見た目で損をしていますが、演技に渋い味わいがありましたね。
これはこの映画の大きな収穫だったと思います。

オルロフを演じたジャック・デュトロン
役柄としては老けた感は拭えませんが、この人の存在感は大きかったです。
若い頃の人気歌手だった頃の顔を知っているだけに、年輪を感じさせる面構えに感慨深いものがありましたが、いかにも一匹狼的な虚無的な感じも出ていたと思います。
オリジナルのピエール・ジンメルも素晴らしかったですが、イヴ・モンタンがこの役をやってもさぞ良かっただろうな、とジャック・デュトロンの演技を見ていて思いました。

アルバンを演じたエリック・カントナ
これもオリジナルのミシェル・コンスタンタンの風貌と比較すればスタート時点から既に不利ですが、想像以上に良かったと思います。
何より、ギュとの友情関係が滲み出ている点が好印象です。
演技も元サッカー選手としては上出来じゃないですかね。
ただ、マヌーシュとの主従関係が、オリジナルほどは見えにくいかなと思います。

アントワーヌ・リッパを演じたニコラ・デュヴォシェル
この人は美男ですね。
演技もなかなか良かったです。
金塊強盗の警官銃撃シーンでは、オリジナルに倣って、十字を切っていました。

ヴァンチュール・リッチ(『ギャング』ではポール・リッチ)を演じたダニエル・デュヴァル
この映画で残念な点の一つは、この役柄の存在感が薄いことですね。
演出のせいか、俳優のせいかは分かりませんが。
メルヴィルが『ギャング』を映画化する際、この役にレイモン・ペルグランをキャステイングすることが条件だったというほど、重要な役柄だと思うのですが…。
ちなみに、オリジナルの冒頭(マルセイユのナイトクラブのシーン)のポール・リッチと情報屋との密談シーンはこの作品ではカットされています。
オリジナルでは好きなシーンでしたので、残念でした。

ヴァンチュール・リッチの弟ジョー・リッチを演じたジルベール・メルキ
『ギャング』のマルセル・ボズフィよりも人間臭い感じでしたね。
正直、マルセル・ボズフィのような俳優としての魅力はありませんが、この役の人間的弱さはよく出ていたと思います。
しかし、この人を観ていると、フレンチ・ノワールを観ている感じよりもスコセッシのマフィア映画を観ているような感じを持ったのは私だけでしょうか。
フランス人よりもイタリア人っぽく見えるせいでしょうか。

ファルディアーノ警部を演じたフィリップ・ナオン
なんというか、あまりに粗暴な感じの役作りが気になりました。
オリジナルのポール・フランクールのような奥行きというか深さがないんですよね。

それにしても、こうしてキャストを見てきますと、オリジナルの『ギャング』がいかにキャストの充実した映画であったかを実感しますね。
もちろん、この『マルセイユの決着』のキャスティングもかなり健闘しているとは思います。

以上3回に分けまして『マルセイユの決着』の感想を書いてきましたが、とりあえず感想としては、こんなところです。
書き忘れている点もあるかもしれませんが、また思い出したらコメント欄にでも書き足したいと思います。

先日、アラン・コルノー監督の『マルセイユの決着(おとしまえ)』をシアターN渋谷に観に行ってきました。
メルヴィルの『ギャング』との比較を中心に、その感想を雑記風に書き連ねてみたいと思います。
いろいろ話が前後するかもしれませんが、ご容赦下さい。

まず簡単な感想ですが、映画として面白かったです。
どうしても『ギャング』との比較で観てしまったのですが、キャストもなかなか魅力的でしたし、現代のような時代にこのような古臭い内容のフィルム・ノワールが撮られたことに率直に感動しました。

メルヴィルと原作者ジョゼ・ジョヴァンニによって書かれた『ギャング』の脚本はもともと傑作というべきで、この映画はそれをほぼ踏襲していますから(脚本は監督のアラン・コルノー)、ストーリー的にはかなり面白い作品になることは予め約束されていたと言うべきでしょうが、それにしても、映画としてよく出来ているな、という感想を私は持ちました。
メルヴィルの『ギャング』をご覧になっていない方にこそ、むしろお勧めしたい映画なのではないかと思います。

全体的に、『ギャング』に比べ『マルセイユ~』の方がストーリーが良くも悪くも説明的になっていると感じられました。
『ギャング』は簡潔である一方でストーリー的に難解な側面がありますので、『マルセイユ~』はその点を是正しようとしたのでしょう。
そして、映画の構成、カット割り等、確かに『ギャング』の影響はかなり大きいのですが、もともとジョヴァンニの原作にはあって、『ギャング』では省かれていたいくつかのエピソードがこの映画では取り上げられている点からも、ジョヴァンニの原作に立ち返って、再構成し直した映画であるように感じられました。
『ギャング』では省かれていて、この映画で取り上げられていたエピソードを思いつくままに挙げてみます。

●マヌーシュの夫(ポール)の死
●ブロ警部の部下のプーボンの女好きの側面
●『ギャング』では最終的にカットされたファルディアーノ警部によるヴァンチュール・リッチの拷問シーン
●マヌーシュの本名とオルロフのマヌーシュに対する恋愛感情
●ブロ警視の家族のエピソード
●ギュが警察病院から脱走する際に二人の男の助力を得ること
等々です。

他に、モニカ・ベルッチの演じたマヌーシュのキャラクターも、『ギャング』よりも原作に忠実と言えそうです。(原作ではマヌーシュは超美人のグラマーという設定)
また、『ギャング』ではポール・リッチになっていた名が、原作に習ってヴァンチュール・リッチになっていたのはマヌーシュの元夫の名との混乱を避ける意味でも正しい処置だったと思います。
こういうことからも、メルヴィルの映画以上にジョヴァンニの原作を重んじた映画だと言えるでしょう。

この項、次回に続きます。

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フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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