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アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『スパイ』を国内盤ブルーレイ(IVC)で観た感想。

戦後冷戦期を時代背景としたスパイ物で、いかにもクルーゾーらしい、アクの強いサスペンスである。
映画全体を不気味で暗いトーンが支配しているので、万人受けする作品ではないだろうが、個人的には完全なツボ(笑)。
かなり面白かったし、今となってはレアなこの作品を観られて本当に良かった。

キャスティングもいい。
中でも、ジョン・ヒューストン『アスファルト・ジャングル』における名演が忘れられないサム・ジャッフェが重要な役で出ているのが嬉しい。
他にも、クルト・ユルゲンスピーター・ユスティノフポール・カーペンターO・E・ハッセと、次から次へと不気味で謎めいた人物が登場し、その中で主人公の精神科医(ジェラール・セティ)はただただ翻弄されるのみ。
特に、今か今かと観る者を惹きつけるクルト・ユルゲンスの登場シーンには痺れる。
止めはあのヴェラ・クルーゾー
それも、彼女の末路を知っている身としては洒落にならないような役柄で出ている。

この作品がブルーレイボックスのみの発売とは勿体無い。
もっとも、私もこの作品が入っていなかったらこのボックスを買わなかっただろうから(『恐怖の報酬』も『悪魔のような女』も既発DVDは持っている)、まんまとメーカーの策に嵌ったことになる。
素晴らしい作品が楽しめたから結果オーライだが。

ブルーレイの画質は極めて良好。

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アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』を国内盤ブルーレイ(IVC)で観た感想。

ご存知、”あの”『恐怖の報酬』であるからして内容には触れない。
初めて観た時はシャルル・ヴァネルの演技に圧倒されたが、今観ると、イヴ・モンタンも素晴らしい。
ブルーレイ付属のブックレット解説によれば、ヴァネルの演じたジョー役は初めはなんとジャン・ギャバンがキャスティング予定だったが、ギャバンがジョーのキャラクターを嫌って断ったとのこと。
今観直してみても、男同士の友情関係が実にうまく描かれているのが、いかにもこの時代のフランス映画といった感じで良い。

『恐怖の報酬』は後にウィリアム・フリードキン監督のリメイク版(77年)があり、そのリメイク版のオリジナル完全版が今秋全国で公開されるという。(公式サイト

その予告編を観る限り、クルーゾー版とは異なる、物凄いリアリティと迫力を持った作品だと感じられるが、そのフリードキン監督が自作はクルーゾー版には遠く及ばなかったと言っていたとのこと。
それはもちろんフリードキン監督の謙遜もあるのだろうが、それほどクルーゾー版の出来栄えが素晴らしいこともまた明らかである。

4K修復版のブルーレイは期待したほどの高画質ではないが、これまで観ていた東北新社盤DVDの画質とは雲泥の差。(紀伊国屋盤は未見)
ただ、スペイン語の字幕がかなりの部分表示されないのが不満。
それなりに意味のある台詞のところもありそうなのだが。

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』『悪魔のような女』のブルーレイ4Kリマスターで7月28日に発売されます。
発売元はやっぱりIVC

恐怖の報酬』のDVDはこれまで東北新社盤や紀伊国屋書店盤も発売されており、私は東北新社盤をいまだに手放せないでおります。
この作品はカンヌ映画祭グランプリ主演男優賞を得ておりますが、主演男優賞がイヴ・モンタンでなく、シャルル・ヴァネルが受賞しているのがいかにもカンヌらしく面白いところですね。
実際に映画を観ますと、それも納得ですが。

悪魔のような女』も、あのヒッチコックが出来栄えに嫉妬したと言われるサスペンス映画の大傑作であることは今更言うまでもないでしょう。

なお、この2作に『スパイ』という国内未ソフト化の作品も加えた3枚組ブルーレイボックスも発売されます。

この『スパイ』という作品、とにかくキャストが凄いです。
おなじみのヴェラ・クルーゾーの他に、クルト・ユルゲンスピーター・ユスティノフ、『去年マリエンバートで』のサッシャ・ピトエフフェルナン・ルドー、『アスファルト・ジャングル』のサム・ジャッフェと国際色豊かなキャストが揃っています。
個人的にはこの作品はどうしても観たいのでボックスで欲しいですね。

ちなみに、個人的にクルーゾー監督で特に好きな作品は『犯罪河岸』なので、このブルーレイ化にも期待したいところです。

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『悪魔のような女』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

LES DIABOLIQUES』(55年)
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 
原作:ボワロー=ナルスジャック 
脚本:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ジェローム・ジェロミニ 
撮影:アルマン・ティラール、ロベール・ジュイヤール 
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス 
出演:シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル、ジャン・ブロシャール

 
再見。
今回観たDVDはHDニューマスター版だけあって、画質はとても良い。
作品は今さら言うまでもない大傑作
この映画に影響を受けている映画は数限りなくありそう。
その最も有名な一つはヒッチコックの『サイコ』(60)だが、あの『めまい』(58)も『悪魔のような女』と同じ原作者ボワロー=ナルスジャック(二人の作家の共作)の作品なのだというからその影響力がしれようというものだ。

全体的にクルーゾー監督のショッカー的演出が冴え渡った作品だが、とにかくキャストが素晴らしい。
作家の谷崎潤一郎はこの映画のシモーヌ・シニョレが大のお気に入りだったというが、それも納得の風貌、演技である。
一方で、あのシモーヌ・シニョレに位負けしない演技と存在感を見せ付けたヴェラ・クルーゾーは密かに(?)凄い女優だ。
映画の後半はほとんどヴェラ・クルーゾーの独り舞台だといってよい。
校長役のポール・ムーリッス、探偵役のシャルル・ヴァネルは出番こそ多くないが、ともに存在感はさすが。

そういえば、メルヴィルの『影の軍隊』(69)ではシモーヌ・シニョレとポール・ムーリスがキャメラに同時に映るシーンはなかっただけに、この映画での二人の共演シーンはやけに新鮮に映った。

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の傑作『恐怖の報酬』と『悪魔のような女』のDVDがそれぞれ紀伊国屋書店からHDニューマスターで発売されます。

どちらの作品も映画史に残る大傑作ですが、以前東北新社から発売されていたDVDは現在廃盤の模様。
特に『悪魔のような女』は中古価格が高騰し入手が難しい状況でした。
それだけに今回の再発は嬉しいですが、私は東北新社の『恐怖の報酬』のDVDは購入済みですので、購入は画質次第。
『悪魔のような女』のDVDは持っていませんので是非購入したいと考えています。
どちらもHDニューマスターによってどれだけ画質が向上しているか興味深いところです。

特に『悪魔のような女』は随分前に一度観たきりですが、後半の恐怖感は絶対に忘れられない強烈な印象を残していますので、再見するのが非常に楽しみ。

アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の『犯罪河岸』を国内盤DVDで観た感想です。

image78.jpgQuai des Orfevres』(47年)
監督:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
脚本:アンリ・ジョルジュ・クルーゾ、ジャン・フェリ
出演:ルイ・ジューヴェ、ベルナール・ブリエ、シュジ・ドレール


アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督といえば、『恐怖の報酬』『悪魔のような女』という映画史に残る大傑作を残した名監督ですが、ヴェネチア国際映画祭で監督賞を得たこの『犯罪河岸』も傑作です。
とりわけ、映画後半の警察署内の尋問シーン、そして事件の真相に至るまでの畳み掛けるような展開は見事です。

クルーゾー監督の作品は独特のアクの強さがありますが、この作品もその例に漏れません。
しかし、この作品はサスペンスの割にどことなく滑稽味と言いますか、妙に庶民的な味わいがあります。
映画の舞台となった劇場内や警察署内の雰囲気をアメリカ映画によくありがちなセミドキュメンタリーチックな描写ではなく、あくまでも映画的なフィクションに徹して描いているのも特徴の一つといえます。

ヒロインのシュジ・ドレールルネ・クレマン監督の『居酒屋』でも印象的な悪女を演じている女優。
この作品での彼女のファム・ファタール的な存在感は、アメリカのフィルム・ノワールにありがちなファム・ファタールの存在感とは微妙に異なりますが、かえってそこに、フレンチ・フィルム・ノワール独自の特徴を感じます。

image77.jpgそして、映画の後半から登場するルイ・ジューヴェ演じる刑事が独特の存在感です。
このところ、たまたま、この俳優の出ている映画を立て続けに観ていますが、その俳優としての魅力と存在感の大きさを改めて痛感している次第で、この作品でも魅了されました。
ベルナール・ブリエもいかにも彼らしい役柄であり、演技も上手い。

ところで、私が所有している国内盤DVDは、以前『霧の波止場』でも紹介した『Office YK Pictures』というメーカーのものですが、画質が大変良好。
このメーカーのDVDは、いわゆる正規盤といえるのかどうか分かりませんが、ヘタな正規盤よりずっと画質が良いですから、他のメーカーも頑張って欲しいところです。

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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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