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マーティン・スコセッシ監督の『ラスト・ワルツ』が公開40周年記念上映版として全国上映中です。(公式サイト

『ラスト・ワルツ』は言うまでも無くザ・バンドの解散コンサートを中心としたライヴ・ドキュメンタリーですが、豪華なゲストの出演で有名な映像です。
いちロック・ドキュメンタリー映画として本当に素晴らしく、私もこれまで何度観たか分かりません。
ゲスト陣の熱演も大変印象的です(特にヴァン・モリソン)。

しかし、実は後ほどこのコンサートの内幕をザ・バンドの伝記で知るに至って、この映像も素直に楽しめなくなってしまいました。
簡単に言うと、解散はロビー・ロバートソンの独断であり、他のメンバーは解散などしたくなかったのです。
ロビーは他のメンバーに断りも無くスコセッシと映画化の契約を結び、その演出上、豪華なゲストまで呼ぶことも決めてしまいます。
中にはザ・バンドとほとんど接点のない人までいました。(ニール・ダイヤモンドはアルバムをロビーがプロデュースした縁だけで呼ばれました)

ロビーはそれ以前から楽曲のクレジットの問題でも他のメンバーと揉めていました。
他のメンバーがソングライティングに関わっていても、ロビーだけのクレジットになってしまうということです。
ロビーは本当に素晴らしいギタリストであり、同時にソングライターですが、このラスト・ワルツの一件、楽曲クレジットの件、近年のザ・バンドのレガシーの小出し状況から言って、金に汚い奴で、人間的には最低だと思います。
実際、それらの確執が影響してか、後にザ・バンドが再結成してもロビーには声がかかりませんでした。

このライヴ映像を全て収録したというブートレグ”完全版”DVDを私は持っているのですが、いかにスコセッシが映画の演出上面白くなるように編集しているかがよく分かって、その意味では大いに感心しました。
映画に使われた楽曲も実はかなり短く刈られているのですが、その編集技術は大したもので、完成した映画を観ると、どこをどう刈ったのかまず分からないほどです。

その”完全版”を観ると(オフィシャルで出回っている”完全版”は実は全く完全版の体をなしていません)、中にはザ・バンドらしからぬひどい演奏も散見されます。
それもそのはず、自分たちのレパートリーを演奏することはもちろん、それまでやったことのないゲストたちの楽曲も憶え、それを数時間にわたって演奏する羽目になったのですから。
逆に言えば、ザ・バンドだからこそ、なんとかここまでの演奏に仕上がっていると言ってよいのかもしれません。
特にロビーのギターソロは映画(サウンドトラック)ではかなりオーバーダビングされています。

メンバーの中には必ずしも絶好調とは言いがたい人もいます。
言うまでも無くリチャード・マニュエルです。
映画を観ていても彼が映る時間が短いことはファンならよくご存知でしょう。
前半の『ザ・シェイプ・アイム・イン』はリチャードのリードヴォーカルですが、歌う前から目はトロンとしており、他のメンバーの不安そうな表情が印象的です。
ただ、それでも彼の感動的なヴォーカルの聴ける『ジョージア・オン・マイ・マインド』が収録されなかったことは解せません。

ザ・バンドが解散に至るまで、リチャードのクスリの問題があったことは確かなようです。
最後の頃は、彼の問題で何度かコンサートをキャンセルせざるを得なかったこともあったようです。
もっとも、クスリの問題を抱えていたのはリチャードだけではなく、ほとんどのメンバーがそうだったようですが…。
それは、このライヴのゲストたちもそうで、楽屋にはメンバーとゲストのためにコカインがたっぷりと用意してあったとか。
有名な話ではニール・ヤングの鼻先に白い粉が付いたまま登場してしまったために、スコセッシがそれを隠す映像処理を施したという噂があります。

長々と書き連ねましたが、この映画が本当に貴重な記録であることには違いありません。
私個人の思いとしては、確かに豪華なゲストの出演は観ていて楽しいのですが、やはりザ・バンドだけの演奏、楽曲の方が何倍も良い
出来ることなら、もっとザ・バンドだけの演奏を数多く収録して欲しかった。
もちろん、映画としては、ゲストの出演が大きな呼び物であることは否定しませんが…。

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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
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