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ボブ・ディランが2016年に発表したアルバム『フォールン・エンジェルズ』をようやく聴いた。
シャドウズ・イン・ザ・ナイト』(2015年)に続くシナトラ・トリビュートの色合いの濃いカバー・アルバムである。

以前このブログでも紹介したようにシャドウズ・イン・ザ・ナイト』をかなり気に入った私だが、次のアルバム『フォールン・エンジェルズ』を聴く機会がこれまでなかったのは我ながら不可思議である。

ところで、最近は90年代以降のディランのアルバムを聴く機会が多かった。
とりわけ気に入ったのがブートレッグ・シリーズ第8集にあたる『テル・テイル・サインズ』。
主に90年代以降の未発表曲、バージョン違いの寄せ集めであり、この時期の声質に対する苦手意識もあってこれまで聴く機会があまりなかったのだが、ちゃんと聴いてみたらとんでもなく素晴らしい内容に驚いた。
もちろん『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』も久々に聴き直してその良さを再認識した。
他にもいろいろと聴いていくうちに近年のディランの声質にもさほど苦手意識を感じなくなったところで満を持して『フォールン・エンジェルズ』に手を伸ばしてみた次第。

そんなこんなでこのアルバムを聴いてみたのだが、正直なところ『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』ほどの良さは感じなかった
曲によって出来不出来がハッキリしているように感じられるのだ。

ダメな曲の大きな理由はディランのヴォーカルだ。
私は昔からディランを歌のうまい人だと思っているが、ここまでヘタなディランも珍しい

オール・ザ・ウェイ』などは前半はなんとか持ちこたえているが、後半がダメだ。
音程も怪しいし、曲が求めている歌のイメージを捉えきれていないように感じられてならない。
もしかしたら肝心なところでディラン特有の照れが出てしまったのか・・・。
ネヴァザレス』も音程が怪しく、あまり良くないように思う。

他にも、個人的に大いに期待した『オール・オア・ナッシング・アット・オール』『カム・レイン・オア・カム・シャイン』は残念ながらディランの声、歌い方に合った曲ではなかったようだ。
オール・オア・ナッシング・アット・オール』はアレンジの工夫でなんとか形になっているが、『カム・レイン・オア・カム・シャイン』はシナトラのスケールの大きな歌のイメージがあまりに強いために、貧相に聴こえてしまう。
曲自体短すぎるし、アレンジもどこか中途半端で、これならもっとアレンジをディラン寄りにして録り直すなどした方が良いかもしれない。

このシナトラ・トリビュート・シリーズは一発録りというのが一つの売りになっているが、当然リスクもあるわけで、これらの曲は悪い方向に針が振れてしまった一例なのかもしれない。

一方で、はっきり良いと思ったのは『ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス』。
ディランらしからぬ(?)大らかなヴォーカルが曲調に合っていると思う。
ザット・オールド・ブラック・マジック』もなかなかだ。
せめて全曲をこのイメージで歌っていただけたら・・・。

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ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画作品のソフトの再発が続いている。

最近『家族の肖像』『ルートヴィヒ』のブルーレイが発売されたばかりだが、今度は『夏の嵐』『白夜』のブルーレイも出るという。
昨年は『山猫』がブルーレイで出た。

実際、ヴィスコンティの映画はいかにも映像が美しく、ブルーレイ映えする、というか、優れた画質で観たくなるものが多い。
だから、ブルーレイが次々と出るのも理解できる(『地獄に堕ちた勇者ども』と『ベニスに死す』のブルーレイが出ないのが不思議)。
昔から日本ではヴィスコンティの映画の人気が非常に高いことも大きいだろう。

かくいう私も昔はヴィスコンティの映画が好きだった
というか、ヨーロッパ映画や芸術映画(?)方面に意識が向いた理由として、ヴィスコンティの映画の影響が大きかったことは否定できない。
実際、初期のいくつかの作品を除いては短編、中篇含めほとんどの作品を観ているはず。
長らく未見だった『異邦人』も、2004年のヴィスコンティ映画祭で観ることができた。(正直なところ期待したほどは面白くなかったが)

個人的にヴィスコンティのベスト作品は長い間『若者のすべて』だった。
しかし、今あの作品を観直そうという気にはなかなかならないというのが正直なところ。
現在の私には重過ぎるのだ。
むしろ、今観たいのはヴィスコンティとしては小品ともいえる『白夜』『熊座の淡き星影』、そして以前観てあまり良さが分からなかった『イノセント』。
異邦人』もソフト化を是非とも期待したいし、初めて観た時とんでもない内容に興奮した『地獄に堕ちた勇者ども』もいつかまた観直してみたい。
家のどこかにDVDがあるはずだから、その気になればいつでも観られるのだが・・・。

家族の肖像』は以前紀伊国屋書店からDVDボックスが出た時、好きで何度も観た。
しかし、今はちょっとしんどい。
ルートヴィヒ』はこれまで一度しかDVDで観ていないが、どっしりとした重量感のある映画であり、大変見応えがあった。
ロミー・シュナイダーの美しさも印象的だったし、思いのほか親しみやすい内容だったが、何しろ4時間を超える大作だから、なかなか観直そうと気にならないのも確か。

夏の嵐』は一部の映画ファンに熱狂的に支持されている作品だが、私はどちらかというと苦手。
内容的に、どことなくトリュフォーの『アデルの恋の物語』を思い出してしまうのだ。
ヴィスコンティ・ファンには映画としての格が違うだろうと言われてしまいそうだが・・・。
ただ、当初のキャスティング予定だったイングリッド・バーグマンマーロン・ブランドが演じていたら、どんなに凄い映画になったのだろうという思いはある。

山猫』はスクリーン、DVD含め何度も観ているが、好きか否かと問われると困ってしまう。
凄い映画だとは思うが、好きというのとはちょっと違う気がする。

ベニスに死す』はやはりダーク・ボガードの素晴らしさに尽きるのではないか。
本当にあの演技は凄かったし、映画としても見ごたえがあったと思う。

ちなみに『ベニスに死す』といえばトーマス・マンの原作だが、ヴィスコンティはマンの『魔の山』の映画化も考えていたという。
個人的に『魔の山』は若い頃もっとも大きな影響を受けた文学作品であり、好きで何度も読んだ小説だけにヴィスコンティによって映画化されなかったのは本当に残念だ。
後に本国ドイツでは映画化され、IVCから国内盤DVDも出ているが、ダイジェスト版ということもあって、正直あまり観る気にならない。
原作を何度も読んだので、頭の中で物語のイメージがある程度出来上がってしまっており、そこに映像のイメージが上書きされてしまうのがコワいという思いもあるのだが。

また、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』も映画化したかったらしいが(ヴィスコンティによるシナリオが残っている)、これも実現しなかった。
この小説に関しては、メルヴィルの『恐るべき子供たち』の主演女優ニコール・ステファーヌが後に映画プロデューサーに転向し、映画化権を買い取って奔走したが、結局『スワンの恋』をフォルカー・シュレーンドルフ監督で映画化(83年)するのがやっとだった。

古今東西の映画監督の中で、この二つの超大作文学作品を規模的にも質的にも高いレベル、しかも正攻法の演出で映画化できる可能性のあったのはヴィスコンティだけだったろう。
その意味で、ヴィスコンティの死後はこの二つの作品の映画化は事実上夢と化した。
このことだけでも、この映画作家がいかに絶後の人だったかという証左となるのではないだろうか。


サム・ペキンパー監督の『ゲッタウェイ』を国内盤DVDで観た感想。

全体的になんとも言えない重苦しさのある映画である。
そのせいか少々長さは感じるものの、高品質のエンターテインメント作品に仕上がっていて見応えはたっぷり。
オープニングも素晴らしい。

スティーブ・マックイーンアリ・マッグローはこの映画で知り合って結婚したらしいが、映画面としてはこの二人にどことなく違和感を感じるのは私だけか。
二人の髪の色の違いのせいなのか何なのか自分でもよく分からないが、個人的にアリ・マッグローがどうしても美人に見えないというのが大きな理由かもしれない。
おそらく容姿が苦手ということなのだろうが・・・。

デジタル・リマスター版というDVDの画質はとても良い。

ジャン=リュック・ゴダール監督のBlu-ray BOXが角川書店から9月29日に2種類発売されます。

Vol.1/ヌーヴェル・ヴァーグの誕生
『勝手にしやがれ』
『小さな兵隊』
『軽蔑』
『恋人のいる時間』
『アルファヴィル』

Vol.2/ジガ・ヴェルトフ集団
『ありきたりの映画』
『たのしい知識』
『東風』
『ウラジミールとローザ』
『万事快調』

注目点とすれば、『小さな兵隊』が 初めて国内Blu-ray化されるというところでしょうか。
個人的にはそれほど好きな作品ではありませんが・・・。
恋人のいる時間』と 『アルファヴィル』は以前紀伊国屋書店から出ていたBlu-rayがどうやら廃盤になったようですので、今回の再発は歓迎されるかもしれません。
なお、『勝手にしやがれ』と『軽蔑』は単品でも発売されます。

また、これらのBlu-ray BOXとは別に、『カルメンという名の女』も単品でBlu-ray化されます。


ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』を国内盤DVDで観た感想。

この映画に関しては以前一度レビューを書いている。(リンク
その時よりも今回の方が楽しんで観れたかもしれない。

それにしても、映画を観る幸福ここにあり
最高の西部劇としか言いようがない。
終わるのが惜しいと思う映画を観たのは久しぶりかも。

ストーリーも面白いが、ところどころのホークス演出にもしびれる。
主役の3人(ジョン・ウェイン、ディーン・マーチン、リッキー・ネルソン)も素晴らしい。
ただ、アンジー・ディッキンソンは初めてこの作品を観た頃に比べると多少あざとい感じの女に見えてしまった。
充分に魅力的ではあるが・・・。

ジャック・ロジエ監督の『アデュー・フィリピーヌ』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想。

再見。
良くも悪くもディレッタントな味を感じさせる作品で、必ずしも手放しで絶賛とはいかないが、なんとも言えない瑞々しい魅力のある青春映画
ゴダールから小難かしい文学性を取り払い、トリュフォーの物語性を薄めた作品といえばいいか。
作風として近いと言えばロメールかもしれないが、ロメールほど計算し尽くされた職人的な出来栄えではない。
だが、いかにもヌーヴェル・ヴァーグらしい映画であることは間違いないと思う。

キャストがほぼ皆映画初出演とのことだが、そうとは思えないほど自然な演技で、彼らの魅力的な容姿も映画の大きな魅力となっている。
映画前半でエレガントな音楽をバックに女の子二人がパリの街を歩くシーンが数分続くが、これがなんとも素晴らしい。
ルネ・マトランによるカメラワークも見事。

ところで、ジャック・ロジエは今も存命中である。
この紀伊国屋盤DVDのブックレットにジャック・ロジエの2001年のインタビューが掲載されている。

それによると、この映画の編集を巡ってプロデューサーのジョルジュ・ド・ボールガールと対立していた時に(ボールガールは映画が長すぎると感じていたらしい)、映画を観たジャン=ピエール・メルヴィルがボールガールにどこそこを削除したほうがいいと助言したという。
結果的にロジエは削除に応じたのであるが、そのインタビューの中で、ボールガールは若手作家に嫉妬していたメルヴィルの口車に乗せられた、という言い方をしている。

確かに当時メルヴィルにはロジエ他若手作家(いわゆるヌーヴェル・ヴァーグの連中)に対する多少のやっかみはあったかもしれないが、さすがにこれは言い過ぎではないか。
その削除のために、モニーク・ボノ(当時メルヴィル作品の編集を担当していた)が呼ばれてこの映画の編集を行うわけだが、やっかみや嫉妬があったのなら自分のところの有能な編集者を貸し出すだろうか。


アンリ・ヴェルヌイユ監督の『華麗なる大泥棒』(71)が復刻シネマライブラリーから国内DVD化されます。

久々のジャン=ポール・ベルモンド主演作のDVD化。
私は未見なのですが、大変に評判の良い作品のようです。
見ごたえのある娯楽作品を取って一流のアンリ・ヴェルヌイユ監督、アクション俳優として円熟期にあったベルモンドにオマー・シャリフニコール・カルファンロベール・オッセン他の共演陣、クロード・ルノワールの撮影、エンニオ・モリコーネの音楽とスタッフも揃ってますね。

ただ、アマゾンに出ているジャケット裏の記載を見る限り、どうも言語が英語版のようです。
だとすると大変残念ですが、作品自体はとても観たいので結局買ってしまいそうです。

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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