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マイケル・ウィナー監督の『大いなる眠り』を国内盤DVDで観た感想。

レイモンド・チャンドラーの原作『大いなる眠り』の映画化といえば、なんといってもハワード・ホークス監督、ハンフリー・ボガート主演の『三つ数えろ』が有名だが、ロバート・ミッチャム主演でこんな映画が撮られていたとは最近まで知らなかった。

ロバート・ミッチャムがフィリップ・マーロウを演じている映画と言えばディック・リチャーズ監督『さらば愛しき女』(75)という名作があるが、その撮影時で58歳、この映画はそれよりも3年後の78年の製作であり、年齢的にさらに厳しいのは確か。
しかし、映画を観ているとそのあたりはほとんど気にならなくなってくるから不思議だ。

姉妹の姉役でサラ・マイルズが出ているのが興味深い。
ロバート・ミッチャムとサラ・マイルズといえば、デヴィッド・リーン監督の『ライアンの娘』で夫婦役で共演しており、ミッチャムが寝取られ夫役を演じていた。

ところで、若い頃はキレイだったサラ・マイルズはここでは大層な変わりようで、顔のバランスの上での口の大きさにも驚いてしまうが、髪型でもかなり損をしている感じなのが勿体無い。
魅力の片鱗はまだ残ってはいるが・・・。

あと、ジェームズ・スチュワートが将軍役で出ているのがこれまた面白い。
正直なところ違和感を感じるのも確かだが、なにしろあのジミー・スチュワートが年老いてこんなちょい役で出ているのだからそれだけでも見もの。

それにしても、『三つ数えろ』でもそうだが、この物語の分かりにくさは凄い
それでも『三つ数えろ』よりもこちらの方がまだストーリーが追い易いのではないだろうか。
それとも私がこの物語に観慣れただけか。
映画自体は本当に面白いし、かなりの出来栄えだと思う。
あと、なぜか舞台がイギリスに変更になっているが、私個人はさほど気にならなかった。

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ジョン・マッケンジー監督の『長く熱い週末』を国内盤DVDで観た感想。

80年のイギリス映画だが、本国では犯罪映画の傑作として高い評価を確立している作品だという。
私が観慣れている昔のアメリカやフランスのフィルム・ノワールとは少々趣が違うが、これはこれで大変に優れた映画であることは間違いない。

最初様々な事件が次々と起き、それらの出来事と登場人物の関連性を把握するまでが大変だが、徐々に分かり始めてくるとどんどん面白くなってくる。
主演のボブ・ホスキンスのユニークな風貌は目の辺りがアイアン・メイデンブルース・ディッキンソンにそっくりで、かなりインパクトが強い。
映画の中で紅一点ともいえるヘレン・ミレンの若い頃の映画はほとんど観た記憶がないが、ここでの彼女は相当に綺麗であり、演技もうまい。
他にも末端の役に至るまでインパクトの強い登場人物が次々と現れ、それぞれが強い印象を残している。
あのエディ・コンスタンティーヌがアメリカ人役で特別出演。

ご存知の通り、今年はメルヴィル監督の生誕100年に当たりますが、既報の東京国立近代美術館 フィルムセンターにおける企画展『生誕100年 ジャン=ピエール・メルヴィル 暗黒映画の美』(9月26日~12月10日)の他はこれといったイベントもなく終わるのかと思いきや、嬉しいことに秋以降続々とメルヴィル関連の企画が開催予定であることが明らかになってきました!

まず、第39回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)において『何度でも!メルヴィル』というメルヴィル映画の上映会が行われます。(リンク
場所は東京国立近代美術館フィルムセンター(京橋)で、上映作品は
ギャング』『海の沈黙』『いぬ』『影の軍隊』『仁義
(詳しい上映日時、チケット等に関してはこちらを参照)

次に、『ジャン=ピエール・メルヴィル生誕百年 関連上映・シンポジウム』が11月4日(土)・5日(日)にアンスティチュ・フランセ東京(飯田橋)で開催されます。(詳細未定)

そして、『ジャン=ピエール・メルヴィル特集(仮)』と題する特集上映が11月15日(水)~21日(火) に角川シネマ新宿で開催されます。

まだ全体像は明らかになっていませんが、2009年の『コードネームはメルヴィル』以来のメルヴィル映画の取り上げられようですね。

もちろん、9月26日~12月10日に東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室で開催される企画展『生誕100年 ジャン=ピエール・メルヴィル 暗黒映画の美』も楽しみです。(詳細未定)

続報が分かり次第このブログでもお知らせします。
ジョン・フォード監督の『リバティ・バランスを射った男』を国内盤DVDで観た感想。

緻密なドラマが素晴らしく、内容も息詰まるような面白さ。
なにはともあれリー・マーヴィンは本当にすごい。
西部劇のみならず、映画史上に残る悪役ぶりではないか。

ジョン・ウェインジェームズ・スチュワートの共演はこれが最初で最後らしい。
しかし、とてもそうとは思えない相性の良さである。
ジェームズ・スチュワートの役柄はいかにも彼らしい性格だが、私には少々偽善っぽく感じられてあまり共感できない。
この映画はどうしてもジョン・ウェインの立場になって観てしまう。
だから、ジョン・ウェインの荒れるシーンはもうたまらなくなる。
とにかく名作

ジョン・フォード監督の『捜索者』を国内盤DVDで観た感想。

この映画が西部劇の最高傑作というような言い方をされるようになったのはいつ頃からなのだろうか。(昔なら問答無用で『駅馬車』と言われたものだが)
最近ではこの映画をテーマにした本まで出ているくらいである。
しかし、残念ながら昔からこの作品は私の好みに合わないようだ。

今回この映画を久々に観たのだが、正直言って、以前観た時と印象はほとんど変らない。
面白さという意味でもどこか微妙な作品であり、ジョン・ウェインも他の映画ほど魅力的に見えない。
自分でもよく分からないのだが、この映画全体を貫く重苦しい感じ(?)が私の好きな西部劇のイメージに合わないのかもしれない。

今ではスペシャル・エディションというリマスターされたDVDが発売されているが、私が観たのはリマスターされる前の旧盤なので、画質には不満が残った。
いつかリマスターされたもので再見してみたいとは思うのだが・・・。

ジャンヌ・モロー追悼という意味合いもこめてルイ・マル監督の『ビバ!マリア』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想。

ジャンヌ・モローといえばどこか不機嫌そうな表情が印象深かったりするのだが、実は笑顔が大変チャーミングな女優であったと思う。
この映画は彼女のそんな表情が数多く記録されている貴重な作品。
時期的に30代後半の頃の映画だが、まだまだキレイだ。

それにしても、この映画でブリジット・バルドーとのスター女優同士の共演が実現したことは奇跡と言ってよい気がする。
しかも、映画自体、二人の持ち味を充分に活かした作品に仕上がったのは何より。
フランス映画という枠組みの中でのライバルの共演という意味では、アラン・ドロンジャン=ポール・ベルモンドが共演した『ボルサリーノ』(70)を想起する人も多いかもしれない。

特に中盤以降はかなりのドタバタアクションだが(相当お金もかかっていそう)、二人のまるで姉妹のような容姿も印象的で、痛快娯楽作としての魅力は充分。
撮影アンリ・ドカ、音楽ジョルジュ・ドルリューと当時のフランス映画最高のスタッフを揃えながら、ルイ・マル監督がここまでエンターテインメントを極めた映画を撮っていたことに今更ながら驚かされる。

デジタル・ニューマスターという国内盤DVD(廃盤?)の画質も極めて良好。

ジャンヌ・モローが7月31日に89歳で亡くなったそうです。

個人的に好きな女優、とまでは言えませんでしたが、とりわけヌーヴェル・ヴァーグ期のフランス映画に無二の足跡を残してくれた偉大な女優さんでした。
晩年も老いた姿を隠そうともせず多くの作品に出演していたのはもって生まれた女優魂でしょうね。

彼女の主演作として名前の挙がるのはやはり『死刑台のエレベーター』(マル)、『突然炎のごとく』(トリュフォー)、この2作は鉄板です。
他に、『』(アントニオーニ)、『エヴァの匂い』(ロージー)、『雨のしのび逢い』(ピーター・ブルック)も挙げたいと思います。(マルの『恋人たち』、ブニュエルの『小間使の日記』も捨てがたいですが)

この種の映画話はこれからさまざまな媒体で語られることと思われますので、メルヴィルのブログとしては、メルヴィルとジャンヌ・モローの関連を指摘しておきましょう。
とは言っても、ご存知の通りジャンヌ・モローはメルヴィル映画に出ることは一度もありませんでした。
しかし、実は一緒に仕事をするチャンスが二度ほどあったのです。

一つはジャン=リュック・ゴダール監督、ブリジット・バルドーミシェル・ピコリ主演で映画化された『軽蔑』(63年)。
これはアルベルト・モラヴィアの原作ですが、実はメルヴィル監督ジャンヌ・モロージャン=ポール・ベルモンド主演で映画化の話が進められていました。
しかし、結果的に企画をゴダールに横取りされてしまった形となり、このことが、それまで師弟のように友好的だったメルヴィルとゴダールの関係に亀裂が入った一因ではないかと思われます。(ゴダールの『勝手にしやがれ』にメルヴィルが特別出演していることは有名ですが、他にもメルヴィルはゴダールとアンナ・カリーナの結婚式の立会人も務めているほどプライベートでも親密な関係でした)

次にマルセル・カルネ監督、モーリス・ロネアニー・ジラルド主演で映画化された『マンハッタンの哀愁』(65年)。
原作はジョルジュ・シムノンの『マンハッタンの三つの部屋』ですが、これもメルヴィル監督、ジャンヌ・モロー主演で映画化の話が進められていましたが、何らかの理由で流れてしまいました。

カルネ版のアニー・ジラルドも実に素晴らしい演技でしたが、メルヴィルがジャンヌ・モローと組んでニューヨークを舞台としたシムノンのメロドラマをどのように撮ったのか興味は尽きません。
それに、アニー・ジラルドが演じた外交官夫人という役柄は、むしろジャンヌ・モローの方が適役と思われ、実際見事に演じたのはないかと想像されます。

ジャンヌ・モロー主演映画の企画が二度にわたって流れてしまったのは特にメルヴィル監督にとって不運であり、かなりの痛手だったと思われますが(結果的に63年から65年にかけてメルヴィルは一本の映画も撮れませんでした)、それだけメルヴィルはジャンヌ・モローという女優を買っていたのでしょうね。

ご冥福をお祈りしたいと思います。


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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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