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ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画作品のソフトの再発が続いている。

最近『家族の肖像』『ルートヴィヒ』のブルーレイが発売されたばかりだが、今度は『夏の嵐』『白夜』のブルーレイも出るという。
昨年は『山猫』がブルーレイで出た。

実際、ヴィスコンティの映画はいかにも映像が美しく、ブルーレイ映えする、というか、優れた画質で観たくなるものが多い。
だから、ブルーレイが次々と出るのも理解できる(『地獄に堕ちた勇者ども』と『ベニスに死す』のブルーレイが出ないのが不思議)。
昔から日本ではヴィスコンティの映画の人気が非常に高いことも大きいだろう。

かくいう私も昔はヴィスコンティの映画が好きだった
というか、ヨーロッパ映画や芸術映画(?)方面に意識が向いた理由として、ヴィスコンティの映画の影響が大きかったことは否定できない。
実際、初期のいくつかの作品を除いては短編、中篇含めほとんどの作品を観ているはず。
長らく未見だった『異邦人』も、2004年のヴィスコンティ映画祭で観ることができた。(正直なところ期待したほどは面白くなかったが)

個人的にヴィスコンティのベスト作品は長い間『若者のすべて』だった。
しかし、今あの作品を観直そうという気にはなかなかならないというのが正直なところ。
現在の私には重過ぎるのだ。
むしろ、今観たいのはヴィスコンティとしては小品ともいえる『白夜』『熊座の淡き星影』、そして以前観てあまり良さが分からなかった『イノセント』。
異邦人』もソフト化を是非とも期待したいし、初めて観た時とんでもない内容に興奮した『地獄に堕ちた勇者ども』もいつかまた観直してみたい。
家のどこかにDVDがあるはずだから、その気になればいつでも観られるのだが・・・。

家族の肖像』は以前紀伊国屋書店からDVDボックスが出た時、好きで何度も観た。
しかし、今はちょっとしんどい。
ルートヴィヒ』はこれまで一度しかDVDで観ていないが、どっしりとした重量感のある映画であり、大変見応えがあった。
ロミー・シュナイダーの美しさも印象的だったし、思いのほか親しみやすい内容だったが、何しろ4時間を超える大作だから、なかなか観直そうと気にならないのも確か。

夏の嵐』は一部の映画ファンに熱狂的に支持されている作品だが、私はどちらかというと苦手。
内容的に、どことなくトリュフォーの『アデルの恋の物語』を思い出してしまうのだ。
ヴィスコンティ・ファンには映画としての格が違うだろうと言われてしまいそうだが・・・。
ただ、当初のキャスティング予定だったイングリッド・バーグマンマーロン・ブランドが演じていたら、どんなに凄い映画になったのだろうという思いはある。

山猫』はスクリーン、DVD含め何度も観ているが、好きか否かと問われると困ってしまう。
凄い映画だとは思うが、好きというのとはちょっと違う気がする。

ベニスに死す』はやはりダーク・ボガードの素晴らしさに尽きるのではないか。
本当にあの演技は凄かったし、映画としても見ごたえがあったと思う。

ちなみに『ベニスに死す』といえばトーマス・マンの原作だが、ヴィスコンティはマンの『魔の山』の映画化も考えていたという。
個人的に『魔の山』は若い頃もっとも大きな影響を受けた文学作品であり、好きで何度も読んだ小説だけにヴィスコンティによって映画化されなかったのは本当に残念だ。
後に本国ドイツでは映画化され、IVCから国内盤DVDも出ているが、ダイジェスト版ということもあって、正直あまり観る気にならない。
原作を何度も読んだので、頭の中で物語のイメージがある程度出来上がってしまっており、そこに映像のイメージが上書きされてしまうのがコワいという思いもあるのだが。

また、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』も映画化したかったらしいが(ヴィスコンティによるシナリオが残っている)、これも実現しなかった。
この小説に関しては、メルヴィルの『恐るべき子供たち』の主演女優ニコール・ステファーヌが後に映画プロデューサーに転向し、映画化権を買い取って奔走したが、結局『スワンの恋』をフォルカー・シュレーンドルフ監督で映画化(83年)するのがやっとだった。

古今東西の映画監督の中で、この二つの超大作文学作品を規模的にも質的にも高いレベル、しかも正攻法の演出で映画化できる可能性のあったのはヴィスコンティだけだったろう。
その意味で、ヴィスコンティの死後はこの二つの作品の映画化は事実上夢と化した。
このことだけでも、この映画作家がいかに絶後の人だったかという証左となるのではないだろうか。


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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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