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前回より続く
私がヴィブラフォンの音に親しみ始めた理由は当時よく聴いていたヨーロピアン・ジャズの諸アルバムにヴィブラフォンがよく取り入れられていたこと、また、ボビー・ハッチャーソンヴィクター・フェルドマンなどの演奏が気に入ったことが大きな理由だが、その他にジャン=ピエール・メルヴィルの映画のサウンドトラックの影響もあった。

メルヴィルの『賭博師ボブ』(55)、『いぬ』(62)、『仁義』(70)などのサントラにはヴィブラフォンが印象的に取り入れられているが、事実、メルヴィル監督自身、MJQの音楽の大ファンだったのだという。(メルヴィル監督が『ギャング』の音楽をジョン・ルイスに依頼したことについては以前書いたこちらの記事参照)

そんなこんなでヴィブラフォンの音に対する抵抗感がなくなったこともあって再びMJQを聴き始めたのだが、そこからMJQの音楽にハマるのは早かった。
以前聴いた時は全然面白さが分からなかった『ヨーロピアン・コンサート』があっと言う間に大名盤となってしまったくらいだから…。

先に述べたように、MJQの音楽は管楽器リード奏者が存在しないので印象としてはかなり地味である。
一聴した限りでは音楽のダイナニズムに乏しいせいか、活気のない音楽に聴こえてしまうかもしれない。(一言で言えば大人しいジャズということか)
そのせいか、ビッグ・ネームの割にはあまり日本では人気がないような気がする。
しかし、そのサウンドと演奏の味わい深さ、魅力にハマッたらもう抜け出せないのだ。

MJQの音楽の大きな魅力はメンバー4人の調和の取れたアンサンブルの素晴らしさである。
モダン・ジャズにおいてアンサンブルといえば作曲や編曲された部分というイメージが強く、ジャズの即興演奏の自由さとは正反対と思われるかもしれないが、MJQの場合、即興部分においては個々のメンバーが思う存分演奏を繰り広げられているから、決して窮屈な印象はない。
むしろ、MJQの演奏はその作曲部分と即興部分のバランスが絶妙なのである。

また、その音楽性はかなりセンシティヴな印象もあるが、ビル・エヴァンス等のような洗練された白人ジャズともかなり異なる。
主にミルト・ジャクソンの黒人らしいブルース・フィーリングと、ジョン・ルイスのヨーロッパのクラシック音楽からの影響という二つの要素を融合したアンサンブルの妙は他に求めがたい独自の美しさを持つ。

そして、グループにはソロイストとしてミルト・ジャクソン(vib)とジョン・ルイス(p)の二人が存在し、それぞれのソロの魅力も素晴らしいが、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)の二人のいぶし銀の演奏もまたなんとも味わい深い。
この4人のアンサンブルはジャズの自由さと共にメンバーの深い知性、そして品格の高さを感じさせる。
なにより個々のメンバーの音色が美しい

ところで、彼らのCDはほとんどがプレスティッジレーベル(日本ではビクター)、アトランティックレーベル(日本ではワーナー)から出ているが、何を聴くかは少々注意が必要である。
彼らの素晴らしいサウンドを味わうには、オリジナル・マスターからリマスタリングされたアルバムがベストであり、できるならこれ以外は避けるべきだ。

プレスティッジレーベルなら近年発売されたルディ・ヴァン・ゲルダーがリマスターしたCD、アトランティックレーベルなら2006年リマスターと謳っているオリジナル・マスターを使用したCDが望ましい。
(アトランティックレーベルでは、最近発売されたSHM-CDもそのようなのでお奨め。話は変わるが、ブルーノートのCDは国内盤、輸入盤ともにルディ・ヴァン・ゲルダー・リマスターRVG)と謳ったCDを絶対に買うべきだ。最近1100円でブルーノートの国内盤CDが数多く発売されているが、これらは日本のメーカーがリマスターしたものであり音質が全く違う。値段の安さに騙されてはいけない。)

なぜオリジナル・マスターかといえば、音の質感が全然違うからで、MJQのサウンドの魅力が生々しい音質によってダイレクトに伝わるからである。
ラスト・コンサート』、『ジャンゴ』、『コンコルド』、『フォンテッサ』、『モダン・ジャズ・カルテット』、『ピラミッド』など個人的に好きなアルバムは数多くあるが、第一のお勧めはやはり『ヨーロピアン・コンサート』である。
この項終わり
 

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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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