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モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のライヴ・アルバム『ヨーロピアン・コンサート』(60)について書いてみる。
このライヴ盤は、MJQの1960年4月の欧州ツアー時に、スウェーデンのストックホルムとイエテボリで収録されたもの。
これはジャズ史上でも名盤の誉れ高いアルバムであるが、私にとっても無人島に一枚的な存在のCDである。
MJQはスタジオ録音のものにも良いものはたくさんあるが、とりわけライヴがいい。
そして、MJQのライヴ盤といえば、これと『ラスト・コンサート』(76)が双璧である。
演奏に漲る底力や、一期一会的な特別な雰囲気という意味では『ラスト・コンサート』の方が上であるが、『ヨーロピアン・コンサート』は正に全盛期にあったMJQの余裕溢れる卓越した演奏力がじっくり味わえる作品となっている。
この優れた二種のライヴの優劣を決めることは難しく、聞き手の好みの問題でしかないと思う。
『ヨーロピアン・コンサート』の利点は選曲と並び順である。
代表曲が大方含まれている上、個人的に好きな『ヴァンドーム』や『ピラミッド』などが含まれているのもポイントが高いし、2枚組ながら収録時間も長すぎないので聴き通すのが全く苦にならない。
ちなみにメンバーのジョン・ルイスが音楽を担当し、ジャン=ピエール・メルヴィルがこよなく愛したことでも知られる映画『拳銃の報酬』(59年。ロバート・ワイズ監督)のテーマ音楽『ODDS AGAINST TOMORROW』(邦題『明日に賭ける』)もこれに収録されている。
ところで、この『ヨーロピアン・コンサート』というライヴ・アルバムは昔から名盤として有名であるから、私も初めて聴いたのはかれこれ15年以上は前のことである。
しかし、その時は全くと言ってよいほど良さが分からなかった。
まず、MJQのサウンドが当時の私の耳には異質に響いた。
当時私が馴染んでいたジャズは、管楽器奏者がソロイストを務める50~60年代のジャズ、つまりはハードバップが主であったが(今もさして変わらないが…)、ご承知のようにMJQにはそれとは対照的に管楽器リード奏者が存在しないし、またヴィブラフォンが加わったカルテット編成ということもあり、通常のピアノトリオともサウンドの印象が大きく異なる。
なにより当時はミルト・ジャクソンのヴィブラフォンの音色がどうにも耳に馴染めなかったのだ。
それに加えて、彼らのオリジナル楽曲もさして良いとも思えなかった。
例えば、代表曲である『ジャンゴ』なんてひどく退屈に聞こえてしようがなかった。(今では超名曲にしか聴こえないのが不思議…)
実のところ、MJQの良さが本当に分かり始めたのはこの5年くらいのことである。
そのキッカケは、MJQそれ自体を聴いて良さが分かったというよりは、他のジャズを聴いてヴィブラフォンという楽器の魅力に気づいたことが大きかったように思う。
(この項続く)
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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