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81年10月21日に発売された松田聖子4枚目のアルバム『風立ちぬ』。

もはや語り尽くされた感のある名盤中の名盤であり、私が付け加えることなど何もないが、先年亡くなった大滝詠一を今さらながら追悼する意味合いも込めて、私なりに発売当時のことを振り返ってみたい。

このアルバム、CDとなった現在では分かりにくいかもしれないが、アルバムの半数に及ぶ前半5曲(A面)の作曲、編曲を大滝詠一が担当している。(編曲者名の多羅尾伴内は大滝の別名)

B面の5曲は大滝以外の作曲者(財津和夫鈴木茂杉真理)によるものであり、A面に劣らぬ内容を誇るが、大滝の担当したA面のインパクトがあまりにも強く、まるで大滝がアルバム全曲書いたようなイメージすらあった。

大滝詠一といえば、同年に発表した『ロング・バケイションA LONG VACATION』(81年)が日本ポップス史上に残る超名盤として知られているが、私の人生における数少ない誇れることの一つが『A LONG VACATION』をリアルタイムで聴いていたことである。

81年の夏、行きつけのレコード店にいつもオリコンのチャート表が掲示されていたのだが、アルバムチャートで毎週のように3位前後に付けていたのが『A LONG VACATION』だった。

もちろん、大滝詠一なる人物など知る由もないし、音も聴いたこともなかったのだが、ジャケットのオシャレなイラスト(永井博デザイン)に子供心に惹かれてLPを買ったのだった。
チャート上位にずっとつけているくらいだから、内容も悪くないに違いないという期待もあった。

ちなみに当時のアルバムチャートの1位はずっと寺尾聰の『Reflections』だったが、そちらには全く興味がなかった。
それどころか、『Reflections』のせいで聖子さんのサードアルバム『Silhouette 〜シルエット〜』は2位どまりで1位になれなかった。
興味がないどころか憎んでいたといっていい。

それはともかく、『A LONG VACATION』を聴いて、すぐに気に入ったのは言うまでもない。
とにかく音の良さにびっくりした。
レコードの音質もそうだが、なんというか聞こえてくる楽器の音の良さに驚いたのである。
もちろん、楽曲も素晴らしかった。

7月か8月くらいに買ったということもあって(発売は3月)、特にリゾート気分満載のA面は時期的にもピッタリだった。
君は天然色』の冒頭のピアノの音からあのイントロが始まる高揚感、あのサビの盛り上がり、『カナリア諸島にて』の歌い出し♪薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて♪という歌詞の洗練されたイメージなど、初めて聴いた当時の記憶はいまだ鮮明である。

B面も、特に『雨のウェンズデイ』と『恋するカレン』は最高だった。
雨のウェンズデイ』は個人的にいまだにフェイヴァリット・ソングの一つである。
 


すっかり大滝ファンになった私は旧譜の『NIAGARA MOON』『NIAGARA CALENDAR』も買って聴いたし、以後は『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』、インスト盤『NIAGARA SONG BOOK』(共に82年)、『EACH TIME』(84年)と聴いていくことになる。

共に大滝ファンだった友人は『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』を聴いて佐野元春のファンになったが、私自身は大滝の他のアルバムに『A LONG VACATION』に匹敵する魅力を見出すことができず、次第に大滝の音楽から離れていった。

前置きが長くなったが、聖子さんのアルバム『風立ちぬ』は『A LONG VACATION』と同じ年(81年)、それもたった半年後に発表されているのである。
この頃の大滝の旺盛な創作力に驚くほかない。
それにしても、当時人気絶頂のアイドル、聖子さんの曲を『A LONG VACATION』の大滝詠一が書くことになるとは!
この二人が繋がることになるとは『A LONG VACATION』を聴いた当初は考えもしなかった。

結果的に大滝はアルバムの半数、5曲の楽曲を書く。
そして、その5曲を含むこのアルバムはまさしく日本音楽史上に残る金字塔となったのだ。
以後続く全4回予定

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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
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