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ジャン=リュック・ゴダール監督の『女は女である』(シネフィル・イマジカ)を国内盤DVDで観た感想です。
『UNE FEMME EST UNE FEMME』(61年)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原案:ジュヌヴィエーヴ・クリュニ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド、ジャン=クロード・ブリアリ、マリー・デュボワ、ジャンヌ・モロー、カトリーヌ・ドモンジョ
再見。
ゴダールの長編第3作で、初のカラー作品。
DVDの解説によれば、フランスコープという撮影方法の違うシネマスコープが用いられたワイドスクリーン作品であり、出演者が歌わないミュージカル映画としても知られた作品です。
以前観た時はかなり楽しめた作品でしたが、今回久々に観て、特に前半部分がどことなく退屈に感じられました。
他にいろいろなゴダール作品を観た後だからでしょうか、個人的に、この作品のアンナ・カリーナに後年ほどの魅力を感じません。
この『女は女である』はゴダールとアンナ・カリーナの結婚直前という幸福な時期に撮られた作品であり、確かにそういった雰囲気は魅力的であるものの、後の二人の関係が悪化してからの作品の方が、アンナ・カリーナの女優としての一層の個性、魅力が記録されているように思います。
それと、以前観た時は、この作品はもっと明るい印象があったのですが、今回見直してみて、それほど明るくないなぁ、という印象を持ちました。
何故なんでしょう。
ジャン=ポール・ベルモンドとジャン=クロード・ブリアリの役柄がどことなく中途半端で、二人の魅力が今一つという印象だからでしょうか。
もしかすると、男の立場からでは身につまされるようなシーンが多いせいかもしれませんね。
また、今回見直してみて、私は、この作品にミュージカルというよりも、ミシェル・ルグランのオペラ作品のようなイメージを感じました。
音楽はブツ切れながらも始終鳴っているのに、出演者の会話は続くという、ある意味アリアのないオペラ、つまりレチタティーヴォの連続といった感じなんですよね。
もちろん、ルグランの音楽は充分に魅力的なので、それはそれで面白いのですが。
あと、途中でのシャルル・アズナブールの歌のシーンは、何か妙にズシリと来ました。
歌詞はかなりヘンですが、あの歌はいいと思いました。
また、アズナブールといえば、マリー・デュボワが『ピアニストを撃て』の話をしたり、ワンシーンのみ出演のジャンヌ・モローが『突然炎のごとく』の話を振られたりと、この時代の他のヌーヴェル・ヴァーグの作家たちとゴダールの親密な関係も思い起こさせる作品でもあります。
ちなみに、ベルモンドがカリーナを口説く際に話していた女性の二通の手紙のエピソードは、後に『パリところどころ』(65年)で、ゴダール自身が映画の題材として使うことになります。
今回私が観たDVDは、以前発売されていた方のもので、画質はあまりよくありません。
ポップな色彩感覚が楽しめる作品ですので、できれば良い画質で観たいところ。
撮影監督ラウル・クタールが監修したという、現在発売されているHDリマスター盤の画質はどうなのでしょうか。
機会があれば、そちらのDVDで是非一度観てみたい作品ではあります。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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