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ジャン=リュック・ゴダール監督の『メイド・イン・USA』を国内盤DVD(ハピネット・ピクチャーズ)で観た感想です。
『MADE IN U.S.A.』(67年)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
原作:リチャード・スターク
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:ベートーヴェン、シューマン
出演: アンナ・カリーナ、ラズロ・サボ、ジャン=ピエール・レオー、マリアンヌ・フェイスフル、小坂恭子
再見。
アンナ・カリーナを主人公とした女探偵もの。
60年代に実際にフランスであった警察とギャングの癒着を描いたという原作の映画化とのことです。
ところで、以前この作品を初めて観た時、どうしても通して観ることができませんでした。
マリアンヌ・フェイスフルが『アズ・ティアーズ・ゴー・バイ』をアカペラで歌うあたりになるとなぜか強烈な睡魔が襲ってきて…。
結局、2、3度チャレンジして、ようやく通して観れたのでした。
そのせいもあってか、ゴダール×アンナ・カリーナの作品中では、つまらない部類の作品というイメージが私の中では記憶されてしましました。
で、今回久しぶりに見直して見たのですが、前回の印象がなんだったのかというくらい、びっくりするくらい良かったのです。
といって、ストーリーが理解できたとか、政治的な言葉の意味が理解できたとかいうわけではありません。
その辺りは相変わらず意味不明。
役名すらキチンと追うことができませんでしたし、どこか『アルファヴィル』っぽい声のテープレコーダーの左翼アジテーションはほとんど理解できません。
しかし、アンナ・カリーナが例によって強烈に魅力的で、彼女の顔、ファッション、演技を観ているだけで、個人的には充分なのでした。
この作品はアンナ・カリーナが出演したゴダール作品の最後に当たる作品ですが、ゴダールもそれを予感していたせいでしょうか、アンナ・カリーナをひたすら愛でているような撮り方をしています。
とにかく彼女のアップが多い!
また、アップが多かったのでよく分かったのですが、彼女の唇の微妙な演技(変化?)が素晴らしかった。
色とりどりの彼女のファッションも魅力的で、彼女の立ち振る舞いを見ているだけで、ストーリーや理解を超えた魅力を放っている作品となっているように思います。
それに、この作品は、アンナ・カリーナのファッションに代表される、ゴダールらしいカラフルな映像感覚が冴え渡っている作品です。
使われている音楽はベートーヴェンとシューマンで、音楽のぶつ切りの使い方が相変わらず巧い。
ただ、『運命』(?)の一節以外は何の楽曲か分かりませんでした。
他のキャストでは、いつもゴダール作品にチョイ役で登場するラズロ・サボが、ここまでちゃんとした演技をしている作品は貴重かもしれません。
ジャン=ピエール・レオーの訳の分からない存在感も印象的で、彼ならではの適役ぶり。
無表情な刑事たちの佇まいも、また作品に合っています。
映画監督フィリップ・ラブロがラストシーンに出ています。(フィリップ・ラブロについては以前のブログ記事を参照)
DVDの画質は、まずは満足できるものでした。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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