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ジョニー・トー監督の最新作『Vengeance(復仇)』(ジョニー・アリディ主演)がカンヌ映画祭で上映されたとのことで、ヤフーに記事が出ています
そこにこの手の記事には珍しく“メルヴィル”の文字を発見。

このヤフーの記事によれば、この『Vengeance』(ヤフーではタイトルが『復讐』となっていますが、『復仇』の方が正しい模様)はメルヴィルの『仁義』にオマージュを捧げているとのこと。
しかし、ジョニー・トー監督といえば、オーランド・ブルームリーアム・ニーソンらのキャスティングで『仁義』のリメイクがこの作品とは別に進められているのは以前このブログでもお知らせした通り。(こちらのタイトルは『紅圏』とのこと)
このヤフーの記事で紹介されている映画の内容も、『仁義』とはだいぶ異なるような…。

ジョニー・トー監督の作品に大変お詳しいmicchiiさんのブログ『愛すべき映画たち』によれば、この『復仇』は『サムライ』にインスパイアされた作品との情報でした。
そうであるならば、『復仇』がオマージュを捧げたのは『仁義』ではなくやはり『サムライ』であり、このヤフーの記事は誤りかもしれません。

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以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑥(順位ではありません)に挙げたグラント・グリーン『アイドル・モーメンツ』

tocj7069.jpgIdle Moments』(ブルーノート)
①アイドル・モーメンツ②ジャン・ド・フルール③ジャンゴ④ノマド 

グラント・グリーン(g)、デューク・ピアソン(p)、ボブ・クランショウ(b)、アル・ヘアウッド(ds)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ボビー・ハッチャーソン(vib)(63年)

ギタリスト、グラント・グリーンのリーダー・アルバムは今から10年ほど前にブルーノート盤を中心に結構集めましたが、このアルバムは聴きませんでした。
単にタイトルからポップな内容を連想してしまい、敬遠してしまったせいなのですが。
そんなわけで、ずっと無視してきたアルバムですが、最近になって参加メンバーを知ってビックリ。
デューク・ピアソン(p)にジョー・ヘンダーソン(ts)、それにボビー・ハッチャーソン(vib)まで加わっているとは。
ここには、いわゆる“新主流派”と言われるメンツが揃っており、メンバー的にはグラント・グリーンのアルバム中で異質な部類に入るかもしれませんが、実際の内容は想像以上に素晴らしく、今ではグラント・グリーンの中でも一番気に入っているアルバムとなりました。
とにかくアルバム全体のクールな雰囲気が圧倒的に好み。

アルバム全体として、モーダルな響きが印象的で、②、④など実にカッコいい。
②など今聞くとフュージョン風に感じられなくもありませんが、あくまでもグリーン風のソウルフルでブルージーな味付けがなされているので、物足りなさは皆無。

デューク・ピアソン作曲のタイトルトラックの①のブルースも素晴らしい。
とりわけ、この曲ではジョー・ヘンダーソンのつぶやくようなテナーが印象的で、音色も美しい。

③『ジャンゴ』もMJQの名演をよく咀嚼しており、再演モノにありがちな二番煎じ的安っぽさがないのが見事。


左カラム下部に「お気に入りリンク」を加えました。
素晴らしいサイト(ブログ)ばかりですので、是非飛んでみて下さい。

ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』を国内盤DVDで観た感想です。

304757e4.jpegA BOUT DE SOUFFLE』(59年)
監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール
監修:クロード・シャブロル
原案:フランソワ・トリュフォー
撮影:ラウール・クタール
音楽:マルシャル・ソラル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ、ジャン=ピエール・メルヴィル

再見。
ヌーヴェル・ヴァーグの代表的な作品であると同時に、なんといっても“ジャン=ピエール・メルヴィル出演作品”でもありますから、このブログで取り上げないわけにはいきません(笑)。
それにしては取り上げるのが遅過ぎた感もありますが…。
内容については改めて言うまでもない作品ですので、ここではメルヴィルに関連する部分を中心に書き連ねてみましょう。

軽蔑』にはフリッツ・ラング、『気狂いピエロ』にはサミュエル・フラーと、敬愛する監督を自身の映画に本人役で出演させているゴダールですが、ある意味、その発端となったのがこの作品。
ただ、ここではメルヴィルに映画監督である本人役ではなく、アメリカの大作家パルヴュレスコという架空の役柄を演じさせているのが面白いところです。

35cf32b9.jpegメルヴィルはここでの演技に当たって、ロシア生まれのアメリカの作家ウラジミール・ナボコフ(1899年-1977年)のテレビインタビューからインスピレーションを得たとのこと。

彼を真似て、繊細で気取っていて、うぬぼれが強くて、少々皮肉っぽくて純情、といいった感じにした
(引用―『サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生』ルイ・ノゲイラ著、井上真希訳、晶文社刊 より)

実際にこの映画をご覧になった方ならお分かりでしょうが、空港での記者たちとメルヴィルのやり取り(インタビュー)は実にユーモラスで、たった5分程度のものながら作品の中でも特に魅力に富んだ面白いシーンとなっていると思います。

インタビューのシーンから、とりわけ面白い質疑応答を抜き出してみましょう。(訳文は国内盤DVDの字幕を参考)

セバーグ現代社会に女性の役割はあるとお考えですか?
メルヴィル縞の服にサングラスの魅力的な女性ならね。(言うまでもなくセバーグのことを指している)

質問者女性は生涯に何人の男性を肉体的に愛せますか?
メルヴィル(指の数で数限りなくという様子を表しながら)もっとだ。

質問者ブラームスはお好きですか?(注:サガン?)
メルヴィル嫌いです。
質問者ショパンは?
メルヴィル最低だ。
セバーグ人生最大の野心は?
メルヴィル(すぐには答えずおもむろにサングラスを外し)不老不死になって死ぬこと。

6c92e3e1.jpegこのメルヴィルの答えにセバーグが感に堪えた様子で自らもサングラスを外しカメラ目線…というこのインタビューのラストショットは素晴らしいと思います。

編集についてもゴダールはメルヴィルにアドバイスを求めたようです。

『勝手にしやがれ』は当初3時間以上あったので、メルヴィルはゴダールに対し“映画の筋に関係ないところをカットして、私のも含めて無駄なシーンは全部削るように”とのアドバイスをしたといいますが、“彼は私の言うことを聞かず、その頃まで慣例となっていたように、いくつかのシーン全体を削るのではなく、カットのなかで行き当たりばったりにコマをつまむという天才的なことを思いついたのさ。結果は素晴らしかったね。
青字部分引用―『サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生』ルイ・ノゲイラ著、井上真希訳、晶文社刊 より)

自らのアドバイスを無視されたメルヴィルも、それによって気を悪くすることもなく、映画の出来栄えを賞賛、大人の対応をしているところにこの頃の二人の関係の良好さが表れていると思います。

また、本編中にもゴダールがことさら好んでいたという『賭博師ボブ』を話題にしたセリフがあったり、やはりゴダールが好んでいたメルヴィルの『マンハッタンの二人の男』の音楽を担当したマルシャル・ソラルが、その縁がもとでこの作品の音楽を担当したりもしています。

e2a53f40.jpeg他にも、いろいろな因縁の絡んだ作品でもあり、メルヴィルとジャン=ポール・ベルモンドが初めて出会ったのもこの作品です。
実際、映画の中で二人は空港のシーンですれ違っています。
通常の撮影なら、撮影の前に双方の挨拶があったり、リハーサルがあったりするはずでしょうが、二人がまさに対面した瞬間がそのまま映画のシーンとして記録されているというのが面白いところ。
ゴダールの即興演出なればこそで、いかにもゴダールの映画らしいエピソードと言えるのではないでしょうか。

言うまでもなく、この作品で縁ができたメルヴィルとベルモンドは、この後、『モラン神父』『いぬ』『フェルショー家の長男』と3作続けて撮ることになるわけです。

以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『トリュフォーの思春期』。

poche.gifL’ARGENT DE POCHE』 (76年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:子供たち多数、ジャン=フランソワ・ステヴナン(リシェ先生)
105分、カラー

赤ん坊から思春期手前の少年少女たちまで、子供を主人公に、いくつかのエピソードをスケッチ風に描いた作品。
原題の意味は「おこづかい」。

邦題はそれほど内容に忠実とは言えませんが、これは“子供という存在”に寄せるトリュフォーの思いが一つに結晶したような映画。
実際、出演している子供たち一人一人が本当に可愛く、子供好きな人には堪らない映画ではないでしょうか。
内容的にも、子供たちに注がれる、トリュフォーならではの暖かい視線が画面を通して伝わってくるようで、いわゆる“傑作”とか“名作”とかいうような作品ではないかもしれませんが、観ていて実に楽しく、私も大好きな作品です。

何人かの子供たちのエピソードが主なストーリーを形成していますが、子供たちの演技が自然で、小手先に走ったところが無いのも良いと思います。
それぞれ、思わず笑ってしまうようなエピソードがほとんどで、特にグレゴリー坊やとシルヴィーのエピソードは楽しかったです。

学校のリシェ先生と生徒の関係もとても良い関係に描かれており、夏休み前に先生が生徒に語る部分はトリュフォー自身の言葉のよう。
ただ、中には現代にも通じる深刻なテーマを含んだものもあり、そこにかつての『大人は判ってくれない』の匂いを感じたりもします。

映画ファンなら一度は『IMDb』のサイトをご覧になったことがあるでしょう。
IMDb』という名称は“The Internet Movie Database”の略称で、一般的に古今東西の映画に関する最強のデータベースと言われています。
もちろん、拙サイト、ブログも大いにその恩恵に与っています。
スタッフ、キャストの詳しい情報が参考になるのはもちろんですが、とりわけ興味深いのは映画ファンによって各作品に対する評価(10点満点)が投票によってなされているところではないでしょうか。

当然のことながら、各作品への投票の数はまちまちですが、世界中の映画ファンが投票に参加しているということで、その評価にはかなりの説得力が感じられます。
ちなみにトップ250はこちら
そこでメルヴィル作品はどのように評価されているのでしょう?
以下、作品リストとその得点を書き出してみます。(年代順、5月15日現在)

『ある道化師の二十四時間』 (6.2)
8096cc72.jpeg『海の沈黙』 (8.0)
『恐るべき子供たち』 (7.4)
『この手紙を読むときは』 (7.4)
『賭博師ボブ』 (7.9)
『マンハッタンの二人の男』 (7.2)
『モラン神父』 (7.2)
『いぬ』 (7.9)
722904a3.jpeg『フェルショー家の長男』 (7.0)
『ギャング』 (8.1)
『サムライ』 (8.1)
『影の軍隊』 (8.2)
『仁義』 (8.1)
『リスボン特急』 (7.1)

『IMDb』で他の監督の作品の評価も調べていただくとよくご理解いただけると思うのですが、8点以上の評価を得ている作品は、映画史的にも“真の傑作”との評価が定まったものばかりです。
一例として挙げるならば、ジャック・ベッケル監督の傑作『現金に手を出すな』と『』はどちらも8.0という評価です。

上のメルヴィル作品のリストを見ますと、8点以上の作品が5作品もあり、嬉しいことにメルヴィル作品は世界的にもしかるべき評価を受けているという印象です。
むろん、この高評価(?)は一ファンとしては当然という思いですが。
作品それぞれの評価も、全体的なバランスからいって、ほぼ適正と言ってよいのではないでしょうか。
一番驚いたのは、『この手紙を読むときは』の評価が意外に高く、『リスボン特急』などより上回っているということです。

作品中『影の軍隊』がトップというのは、これまた意外な感もありますが(もちろん質的には当然)、2006年のアメリカ公開とそこでの高い評価が影響しているのかもしれません。
先日初の国内盤DVDが発売された『賭博師ボブ』の評価が7.9と予想以上に高く、健闘しているのも嬉しいですし、また、『ギャング』の評価が『サムライ』や『仁義』に劣っていないのも個人的には嬉しかったですね。

ルネ・クレマンの70年代の作品が紀伊国屋書店から次々とDVD化される予定なのは以前もお知らせした通りですが、ついに待望の『狼は天使の匂い』の国内盤DVDの発売が決定しました!
Amazonへのリンク

発売は7月25日の予定です。
同日にはジャン・ルノワール監督の大傑作『草の上の昼食』の国内盤DVDも紀伊国屋書店から発売されます。
Amazonへのリンク
さすがは紀伊国屋さん、やってくれますね。

ジャック・ドレー監督の『友よ静かに死ね』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。

9c8883ee.jpegLE GANG』(76年)
監督:ジャック・ドレー
製作:アラン・ドロン
原作:ロジェ・ボルニッシュ
脚本:アルフォンス・ブーダール、ジャン=クロード・カリエール
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:カルロ・ルスティケリ
出演:アラン・ドロン、ニコール・カルファン、ロラン・ベルタン、アダルベルト・マリア・メルリ、ラウラ・ベッティ

製作・主演アラン・ドロン、監督ジャック・ドレーのコンビによる40年代を舞台にしたギャング映画。
原作のロジェ・ボルニッシュの名前は聞き覚えのある方も多いでしょう。
そう、あの『フリック・ストーリー』(同じくジャック・ドレー監督の75年の作品)でアラン・ドロンが演じた実在の刑事の名前です。
とはいえこの作品の内容は刑事が主役のモノではなく、戦後のフランスに君臨したという実在のギャングとその仲間たちの結びつきを主に描いています。

この邦題はどこか重苦しい題材を想像させるタイトルですが、内容はいたって明るく、アラン・ドロンの子供のように若々しい演技が観られる作品です。
カーリー・ヘアのアラン・ドロンということで当時話題になった作品ですが、今改めて作品を見直してみると、ヘア・スタイルも思ったより違和感がなく、役柄も魅力的です。
ストーリーも面白く、肩肘張らずに楽しめる娯楽作品です。
とりわけ、父親のようにドロンを育てた元大物ギャングとのエピソードが感動的。

仲間のギャングたちも容姿、演技ともに良く、ドロンの相手役のニコール・カルファンもなかなかいいです。
こころなしかあの『ボルサリーノ』を彷彿とさせる軽やかな音楽(カルロ・ルスティケリ)も映画によく合っています。

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テンプレ作った人:おみそ
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HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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