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image92.gifユニバーサル・フランスから発売されている『サムライ』のサウンド・トラックCDを取り上げてみたいと思います。

このCDは、作曲者のフランソワ・ド・ルーベFrancois de Roubaix 1939~1975)が作曲した『冒険者たち』と『サムライ』の音楽を一枚のCDにまとめたものです。
残念ながら、国内盤は発売されておりませんが、輸入盤は比較的容易に入手できます。
フランスAmazonの商品ページへのリンク
日本のAmazonでも購入できます。リンクはこちら。

ロベール・アンリコ監督の『冒険者たち』(67)は、私も個人的に大好きな映画ですので、その素晴らしい音楽も含め、いずれはこのブログでの取り上げてみたいと思いますが、今回は『サムライ』の音楽、曲にしぼって取り上げます。

このCDは、全部で23トラックが収録されており、前半の11トラックが『冒険者たち』の音楽、後半の12トラックから21トラックまでが『サムライ』の音楽となっています。
そして、22、23トラックが、ニコラス・エレーラによる『サムライ』のリミックス(ピアノ演奏も)となっています。

『サムライ』関連の曲目は次のようになっています。

12 Le samourai
13 Valerie
14 Martey's
15 La blessure
16 Hotel sandwich
17 Costello dans la ville
18 Jeff et valerie
19 Fatalite
20 Jeff et jeanne
21 Le destin de costello(final)

22 Le samourai se remixe(partie 1)
23 Le samourai se remixe(partie 2)
Piano et remix par Nicolas Errera(2005)

まず、これらのトラックが、『サムライ』のどの部分に使用されているかを検証してみましょう。

12 『Le samourai』
ハモンドオルガンを用いた映画のテーマといえる音楽で、映画冒頭でジェフ・コステロがベッドから起き上がる場面、その後、通りに出て車を盗む場面に使われている。
警察の尋問から解放され、タクシーに乗る場面にも。

13 『Valerie』
映画のラスト、ナイトクラブでヴァレリーがオルガンで演奏する音楽。
ヴァレリーが黒人であることが影響しているのか、大変ソウルフルな印象が強い。
確信はないが、映画の演奏ヴァージョンとこのCDのヴァージョンは演奏内容が微妙に異なるように感じられる。

14 『Martey's』
タイトルは本編中何度も出てくるナイトクラブの名前。
フルートを用いた穏やかな曲調の音楽。
映画のラストのナイトクラブの場面で、ヴァレリーが登場する前にバンドが演奏する曲に似ているが、このCDヴァージョンは映画本編では使われていないようだ。

15 『La blessure』
“怪我”という名の通り、ジェフが殺し屋に襲われた後、怪我の手当ての場面に使われている、トランペットが印象的な音楽。
眠りから覚め、再び手当てをする場面でも使われている。

16 『Hotel sandwich』
アコーディオンを用いたパリのムードに溢れた音楽。
映画の前半で、ジェフがアリバイ作りのために場末のホテルにポーカーの様子を見に行く場面で使われているが、映画の後半で、ジェフがヴァレリーに電話するために入るカフェの場面にも使われている。

17 『Costello dans la ville』
曲の前半部分(00:25-01:08あたり)が、映画冒頭でジェフがトレンチ・コートを着て帽子を被ってアパートの部屋を出る場面に使われている。
一番最初にジェフがジャーヌのアパートに行く場面でも、この曲の冒頭部分が使われている。
また、曲の後半部分(01:06-01:30あたり)が、車を盗んだ直後のジェフが、車に乗った女性の視線を無視する場面にも使われている。

18 『Jeff et valerie』
映画中盤、ジェフがヴァレリーの様子を見にナイトクラブへと現れる場面で使われる。
ナイトクラブで、ヴァレリーがピアノトリオでこの曲を演奏しているという設定である。
この曲を演奏中のヴァレリーとジェフは見つめ合う。

19 『Fatalite』
“宿命”という意。
曲の冒頭部分のみ(フルート?が使われている)、ジェフがガレージのオヤジから拳銃を受け取る場面に使われている。(2度とも)
曲の前半部分(00:18-01:03あたり)が、ジェフがヴァレリーの元から自分のアパートに帰り、電話をかけようとする場面に使われている。
そこでジェフは、鳥の様子から盗聴器の存在に気づく。
不安げで暗い曲調から、後半快活な曲調と変わるが、その部分(01:03-最後まで)が、ジェフがオリヴィエ・レイの元へ行くため、アパートから街へと出る場面に使われる。
ここから有名な地下鉄狩りが始まる。

20 『Jeff et jeanne』
サムライのテーマのピアノ変奏曲風で、ピアノの響きが印象的。
ジェフとジャーヌが最後に部屋で別れる場面で使われているが、タイトルに反して、ジェフとヴァレリーが一緒に車に乗る場面にも使われている。

21 『Le destin de costello(final)』
エンドクレジットで流れる。
15トラック『La blessure』の双子のような曲だが、こちらは映画のラストに相応しい終わり方をしている。
哀愁に満ちたトランペットがコステロの死を悼んでいるかのよう。

22 Le samourai se remixe(partie 1)
ニコラス・エレーラ
によるリミックス、ピアノ演奏で 『Le samourai』を叙情的にピアノで演奏したようなヴァージョン。

23 Le samourai se remixe(partie 2)
22トラック同様、ニコラス・エレーラによるリミックスで、いくつかのトラックがつなぎ合わされている。
ビートの効いた現代的な印象のリミックス・ヴァージョン。

ちなみに、先日ユニバーサル・フランスから発売された『Jean-Pierre Melville Le Cercle Noir』には『サムライ』から2トラック収録されております。
Le samourai』と『Fatalite/La blessure』ですが、『Fatalite/La blessure』は二つの曲がつなげられたトラックですので、実質3トラック収録されていると考えてよいかと思われます。

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素晴らしい解説
マサヤ様トラバありがとうございました。
私も古い記事を送らせていただきました。
よろしくお願いします。
今改めてこの記事を読みながらCDを聞きなおしています。
さすがマサヤ様はプロの演奏家だけあって
劇中の使用場面を完璧に解説されていますね。
(恥ずかしながら私の記事では19と20が不十分なものでした。)
素晴らしい記事をありがとうございました。
チェイサー 2008/07/02_Wed_22:38:56 編集
『サムライ』サントラ
チェイサー様
こちらこそありがとうございました。
お褒めに預かり恐縮です。
コメントにも書きましたが、曲の部分部分が細かく切られて使われているので、映画のどの部分に使われているのかを検証するのはなかなか骨が折れますね。
マサヤ@管理人 URL 2008/07/03_Thu_00:40:43 編集
トラックバック
皆様
原因は分からないのですが、私からのトラックバックが上手く送れなかったり、逆に受け取れなかったりという現象が起こっているようです。
ご迷惑お掛けします。
マサヤ@管理人 URL 2008/07/03_Thu_00:48:30 編集
分かりやすい解説!
お見事なまでの曲目解説、有難うございます。
ユニバーサルのCDのライナーにマサヤさんの解説を加えたいですね。
”この曲、どこで流れてたっけ? また今度、確認しよう”って状態でほったらかしっ放しのワタシにとってこの解説は本当に有難いです。
ジュリアン 2008/07/03_Thu_18:10:11 編集
邦盤ライナー
マサヤさん
『サムライ』サントラ検証
実に興味深いタイトルと内容ですね
このCDの邦盤が発売される時の解説者はマサヤさんに決定ですね
私用にプリントアウトしておきます

TBもありがとうございました<(_ _)>
皆様とは比べ物にならないただこのCDを紹介しているだけの記事ですが
TBさせていただきます
Astay 2008/07/03_Thu_19:50:03 編集
CDライナー
ジュリアンさん
トラバもありがとうございました。
ユニバーサルのCDのライナーには個々の曲目解説がありませんので、この検証は私自身のためでもありました。
喜んでいただけると嬉しいです。
改めて聴いてみると、音楽の使い方が深いなァ~と実感しましたね。
マサヤ@管理人 URL 2008/07/04_Fri_09:24:48 編集
邦盤も
Astayさん
トラバもありがとうございました。
メルヴィルのファンサイトとしては遅過ぎた解説?ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
邦盤もできれば出して欲しいですね。
結構売れると思うのですが。
マサヤ@管理人 URL 2008/07/04_Fri_09:35:12 編集
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フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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