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ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』を国内盤DVDで観た感想です。

image84.jpg監督:ロバート・アルトマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
出演:エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン、ニーナ・バン・パラント

レイモンド・チャンドラーの原作小説『長いお別れ』を映画化したもの。
原作の小説は数年前に読みましたが、私が読んだのは当時大変話題になった村上春樹訳のものではなくて、清水俊二訳のものでした。(ハヤカワ文庫)
単に文庫で安かったからそうしたのですが、訳には特に不満もなく、というか、普通に楽しめました。
小説そのものも、ちょっと長かったですが大変面白かったです。

あの複雑な小説の内容を2時間弱の映画に収めるのはそもそも無理な話で、この映画はストーリー的には本当に骨格だけなぞっているに過ぎないように思われます。
よって、ストーリーだけを追っていては、この映画にはかなりの不満があることは確かです。

image87.jpgしかし、この映画の“キモ”は雰囲気描写ではないでしょうか。
もちろん、原作自体、雰囲気描写が大変に魅力的でしたが、この映画では、それをそのまま再現しているわけではなく、むしろ、この映画独特のムードを新たに作り出しているように思われます。
例えば、マーロウが住んでいる家のエレベーターの感じだとか、隣に住んでいるヤク漬けの女性たちの描写とか、どことなく70年代的な(?)退廃的な雰囲気が印象的でした。

そして、フィリップ・マーロウといえば、一般的にも『三つ数えろ』のハンフリー・ボガートのイメージが当然大きいでしょうし、私もそうです。
この作品でマーロウを演じているエリオット・グールドは、写真で見る限りは、とてもマーロウのイメージに合うとは思えなかったのですが、実際映画を観てみると、思ったより違和感がなく…というか、意外と良いですね。
これは嬉しい驚きでした。
また、飲んだくれの流行作家ロジャー・ウェイドを演じたベテラン俳優スターリング・ヘイドン(『アスファルト・ジャングル』『現金に体を張れ』)がなかなか良かったと思います。

ところで、この映画を観たのは実は半年くらい前なのですが、また観直してみたいという気持ちが強くなっています。
ラストは好みが分かれそうです。

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ベルナルド・ベルトルッチ監督の『暗殺の森』(完全版)を国内盤DVDで観た感想です。

image73.jpgIL CONFORMISTA』(70年)
監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ドミニク・サンダ、ステファニア・サンドレッリ、ピエール・クレマンティ、イヴォンヌ・サンソン、エンツォ・タラシオ、ジュゼッペ・アドバッティ
 
再見。
これは…ある意味神がかった作品と言えるのではないでしょうか。
素晴らしい色彩感覚を持ったヴィットリオ・ストラーロによる映像美、作品全体を覆う退廃的な雰囲気、編集の妙、哀感漂うジョルジュ・ドルリューの音楽、そしてジャン=ルイ・トランティニャンを始めとする俳優の魅力など、どれも大変なものだと思いました。

それをここまで見事にまとめ上げたこの頃のベルナルド・ベルトルッチ監督の力量たるや、やはり並みのものではありません。
とりわけ、映像の美しさはこの世のものとも思えないほどで、絵画のように美しく印象的なシーンが続出します。

5e9eb030.jpegそれを彩るドミニク・サンダステファニア・サンドレッリ二人のエロチックな魅力が凄い。
二人のダンスシーンは何度観ても溜め息もの。
映画史に残る名シーンの一つでしょう。
とりわけ、当時若干二十歳そこそこだったとは信じがたいドミニク・サンダの美しさには溜め息しか出ません。

ステファニア・サンドレッリは意外にもデビュー時、メルヴィルの『フェルショー家の長男』(62)に出ています。
拙HPのキャストの項も参照。

むやみに“笑わない”ジャン=ルイ・トランティニャンはマルチェロという役柄に相応しく、その“無表情”だけで見事に作品の核としての役割を担っています。
ちょっとだけ出演しているピエール・クレマンティが観られるのも嬉しい。
a94bf3a4.jpeg
少しだけ写るエッフェル塔の美しさも印象的で、イタリア映画でありながらも、これほどまでにエッフェル塔が、そしてパリが美しく撮られた映画も少ないのではないかと思ってしまいます。

私が所有している国内盤DVDは現在廃盤で中古市場では価格も高騰しているようですが、画質も最高とまでは言えなくとも、まずは満足のいくものです。

昨日、新宿の紀伊国屋書店のDVDアイランドを覗きましたら、いつの間にか恒例の(?)紀伊国屋レーベルのDVDの40%オフキャンペーンが始まっていました。
今回はセール対象商品が120点に及ぶという、なかなか規模の大きなものです。(半年前の40%オフ情報の記事

対象商品120点とはいっても、個人的に半分ほどはさして興味のないものでしたが、ざっと見た感じで今回気になったDVDは次の通り

ジャン・ルノワール:『ピクニック』『ボヴァリー夫人』
ルネ・クレール:『夜の騎士道』『リラの門』
ハワード・ホークス『僕は戦争花嫁』
アンリ・ヴェルヌイユ:『ヘッドライト』
サミュエル・フラー:『四十挺の拳銃』
ニコラス・レイ:『ビガー・ザン・ライフ』
ジャン・ルーシュ:『人間ピラミッド』
ジャック・ドレー:『友よ静かに死ね』
ルイ・マル:『アトランティック・シティ』『ルシアンの青春』
ジョルジュ・ロートネル:『ジャン=ポール・ベルモンドの警部』
フィリップ・ガレル:『恋人たちの失われた革命』
アルノー・デプレシャン:『DVD-BOX 』(バラ売りあり)
エリック・ロメール:『DVD-BOX Ⅰ~Ⅲ』(バラ売りあり)
ルキーノ・ヴィスコンティ:『DVD-BOX Ⅰ』(バラ売りあり)
オタール・イオセリアーニ:『DVD-BOX 』(バラ売りあり)
クシシュトフ・
キェシロフスキ:『ふたりのベロニカ スタンダード・エディション』『デカローグ DVD-BOX 』
フィルム・ノワール・シリーズ:『男の争い』『キング・オブ・ニューヨーク』『ビッグ・コンボ』『歩道の終わる場所』

忘れているものや間違っているものもあるかもしれませんが、とりあえず目に付いたのはこのようなものでした。

個人的に、今回の目玉として挙げられるのは、ジャン・ルノワールの『ピクニック』と『ボヴァリー夫人』、ジュールス・ダッシンの『男の争い』、アンリ・ヴェルヌイユの『ヘッドライト』といったところでしょうか。
もっとも、私はこの中で『ボヴァリー夫人』以外は所有していますが…。
フィルム・ノワールシリーズでは唯一所有していない『キング・オブ・ニューヨーク』に興味あります。

一方で、前回セールになっていても、今回はセールになっていないDVDもあります
例えば、ルイ・マルの諸作(『死刑台のエレベーター』など)もそうですし、エリック・ロメールの中期以降の作品、フィルム・ノワールシリーズの『フィルム・ノワール傑作選』や『キッスで殺せ』もそう。
これらはまだ定価で売れるということなのでしょうか。

ところで、メルヴィルの『マンハッタンの二人の男』は今回もセールになっていません。
これは、ファンとすれば複雑ながらも、正直嬉しかったですね。
ほぼ同時期に発売された『男の争い』と『キング・オブ・ニューヨーク』が今回セールになったのに、『マンハッタンの二人の男』がセールにならなかったのはある意味奇跡的だという気もするからです。
こういったセールは、メーカー的には在庫過剰品の整理という側面は否定できないでしょうし、逆に言えば、セールにならなかった商品はまだ定価で売れる可能性が高いということでしょうから。(ということで、持ってない人は買いましょう。)

そんな中、私が今回購入したのは、『友よ静かに死ね』、『ジャン=ポール・ベルモンドの警部』の2枚。
かなり迷いましたが、こういった場合、一番観たい作品、好きな俳優の作品になりますね。
ルノワールの『ボヴァリー夫人』にもかなり迷わされましたが…。

キャロル・リード監督の『邪魔者は殺せ(けせ)』を国内盤DVD(東北新社)で観た感想です。
2ad63be5.jpeg
監督:キャロル・リード
原作:F・L・グリーン
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:ウィリアム・オルウィン
出演:ジェームズ・メイスン、キャサリン・ライアン、ロバート・ニュートン、シリル・キューザック、ダン・オハーリヒー


久々の鑑賞。
キャロル・リード監督の作品では『第三の男』が有名だが、この作品は『第三の男』に勝るとも劣らぬ作品として指摘されることもある作品。
初めて観た時は、正直なところ『第三の男』のレベルにはとても達していないと思ったものだが、今回観直してみて、こんなに面白く、凄い作品だったのかと再認識した次第。

初めて観たときの印象では、負傷したジェームズ・メイスンがウロウロしているだけの映画だという印象だったのだが、彼の周囲の人々の葛藤がこれほどまでに面白く描かれている映画だったとは。
その脇役たちも実に芸達者が揃っており、一つ一つのエピソードがなんともおもしろい。

もちろん、中心人物たるジェームズ・メイスンの存在感がしっかりしていなければ映画として締まらないと思うが、実際はジェームズ・メイスンの演技も文句のつけようのない素晴らしい出来である。
ヒロイン役のキャサリン・ライアンの冷たい風貌がいい。
他のキャストも誰しも印象的である。

内容はシリアスなようでいて、ところどころユーモアが効いているのはいかにもイギリス映画といったところか。
映画後半の画家のアパートや場末のバーの雰囲気、ラストの雪の光景、またロバート・クラスカーによる陰影深い撮影、ウィリアム・オルウィンの音楽など、どれも素晴らしい。

ルイス・ギルバート監督の『暁の7人』をレンタルビデオで観た感想です。

image29.jpgOperation Daybreak』(75年)
監督:ルイス・ギルバート
脚本:ロナルド・ハーウッド
音楽:デヴィッド・ヘンチェル
撮影:アンリ・ドカ
出演:ティモシー・ボトムズ、ニコラ・パジェット、アンソニー・アンドリュース、マーティン・ショウ、ジョス・アックランド、アントン・ディフリング

今回が初見となる75年のアメリカ映画。
第二次世界大戦におけるチェコスロバキアとイギリスの間で計画されたナチス・ドイツの指揮官ラインハルト・ハイドリヒの暗殺作戦を映画化した作品。
ラインハルト・ハイドリヒの暗殺を描いた映画といえば、先日このブログで紹介したフリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』もそうでしたが、二つを観た印象としては、『暁の7人』の方がキャストの魅力も含めリアリティがあって個人的には好みです。
テーマこそ近いものの、製作年代も全く異なる別の映画なので、比べることはあまり意味のないことではありますが…。

タイトルは“7人”と銘打っており、実際に作戦に参加したのは7人のようですが、映画的にはほとんど3人の人物を中心に描いています。
映画的な脚色も当然あるようですが、ほぼ事実を映画化した作品とのことです。
実際、ずっしりとした見応えの作品で、観始めると途中で止められません。

image30.jpg映画の内容は、大まかに暗殺実行までの前半と、ナチスによる報復の後半に分けられますが、ハイドリヒ暗殺からその死まで特に誇張せずに、淡々と描いているのが特徴。
実話としては、全体的にストーリーとしてもかなり強烈な内容で、後半のナチスの報復は観ているのが辛くなります。
主役の3人は皆が印象的な演技でした。

撮影はあのアンリ・ドカで、ほとんどが実際のプラハで撮影されたとのこと。
雨に濡れた石畳が実に美しい印象です。
デヴィッド・ヘンチェルの音楽も良かったと思います。

この10月、東京日比谷のシャンテシネにて「シャンテシネ 21周年記念 旧作特別上映」が行われます。
ビクトル・エリセテオ・アンゲロプロスらの作品をスクリーンで観られるチャンスです。
関連ページへのリンク

上映作品
ベルリン・天使の詩』(ヴィム・ヴェンダース)、『悲情城市』(ホウ・シャオシエン)、『こうのとり、たちずさんで』(テオ・アンゲロプロス)、『エル・スール』(ビクトル・エリセ)、『ミツバチのささやき』(ビクトル・エリセ)、『ユリシーズの瞳』(テオ・アンゲロプロス)、『永遠と一日』(テオ・アンゲロプロス)、『ヘヴン』(トム・ティクヴァ)、『長江哀歌』(ジャ・ジャンクー)

入場料が1000円というのも嬉しいところです。
ビクトル・エリセの作品では、『ミツバチのささやき』は数年前、同じシャンテシネで観ました。
今度は『エル・スール』を是非スクリーンで観たいですねぇ。
テオ・アンゲロプロスの作品は未見なので、いずれかを是非。

ちなみに、ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』は過去DVD等で何度か観ていますが、正直苦手な作品です。(ちなみに、ヴェンダースの作品では特に70年代のものは好きなものが多いのですが)
その理由の一つはハッキリしていて、ヒロイン役の女優の容姿がどうも苦手なのです。
なんとなく、またあの作品の雰囲気に浸りたいという気持ちはありますが…。

以前も一度お知らせした紀伊国屋書店レーベルのDVDの40%オフ情報の続報です。

然る6月に、エリック・ロメールルイ・マルサミュエル・フラー他のDVDボックスの40%オフ情報をお伝えしましたが、今回はボックスと同内容のDVDが、それぞれバラ売りでも40%オフで発売されています。
ちなみに、この私の情報は東京・新宿の紀伊国屋書店DVDアイランドの情報です。
前回も書きましたが、他の都市の紀伊国屋書店のDVDショップでも同様のセールが行われている可能性はあると思われます。

今回、私がこの目で確認できた40%オフになっているDVD商品は以下の通り


マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品
『ノン、あるいは支配の虚しい栄光』『神曲』『家宝』

エリック・ロメール監督作品
『クレールの膝』『満月の夜』『緑の光線』『友だちの恋人』『飛行士の妻』『美しき結婚』『海辺のポーリーヌ』『レネットとミラベル 4つの冒険』『木と市長と文化会館』『パリのランデブー』『O候爵夫人』『愛杯伝説』『モード家の一夜』『愛の昼下がり』『獅子座』『モンソ-パン屋の女の子/シュザンヌの生き方』『コレクションする女』

ルイ・マル監督作品
『恋人たち』『鬼火』『ダメージ』『地下鉄のザジ』『好奇心』『ブラック・ムーン』『死刑台のエレベーター』『ルシアンの青春』『アトランティック・シティ』

フィルム・ノワール傑作選
『キッスで殺せ』『ビッグ・コンボ』『歩道の終わる場所』

ロバート・アルトマン監督作品
『イメージズ』『ボウイ&キーチ』『ストリーマーズ』『ニューヨーカーの青い鳥』

ジャン=リュック・ゴダール監督作品
『新ドイツ零年』


他にもいろいろありましたが、個人的に関心のないものはチェックしていません…。
とりあえず、これらのDVDがばら売りでセールになっており、前回のボックス・セールでは(実は現在も続いていますが)セールになっていなかったゴダールの『新ドイツ零年』も今回は加わっています。
言うまでもなく、紀伊国屋書店から出ているDVDは、品質が良い分、概して価格も高めですので、このようなセールは助かります。

また、紀伊国屋書店のセールは、おそらくは在庫一掃という意味合いと同時に、もうこれで廃盤という可能性もあるので注意が必要です。
なぜなら、私は以前50%オフで『狩人の夜』や『まぼろしの市街戦』を購入できたのですが、それらのDVDはその後間もなく廃盤となってしまいました。

同様に『ママと娼婦』を始めとするジャン・ユスターシュのいくつかのDVD、ゴダールの『ウィークエンド』や『フォーエバー・モーツァルト』なども同様の展開の後、廃盤となっています。
これらのDVDが、中古市場で価格が高騰していることは詳しい方ならご存知でしょう。
今回セールになっているDVDが必ず同様の憂き目にあうとは言い切れませんが、過去の実績からいって、全くないとは言えないと思います。

とりあえず、今回、私はルイ・マルの『死刑台のエレベーター』と『鬼火』を速攻ゲットしました。
これらは以前から欲しかったものなので、安く入手できて良かったです。
以前観て印象の強かった『恋人たち』もかなり迷っています。

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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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