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ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『暗黒街のふたり』を国内盤DVDで観た感想です。
『DEUX HOMMES DANS LA VILLE』(73年)
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:ジャン=ジャック・タルベ
音楽:フィリップ・サルド
出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ミムジー・ファーマー、ミシェル・ブーケ、イラリア・オッキーニ、クリスチーヌ・ファブレガ、アリエル・ドンバール、ジェラール・ドパルデュー
久々に観ました。
オリジナル脚本も書いたジョゼ・ジョヴァンニ監督の警察権力批判が如実に出た作品で、アラン・ドロンが製作も兼ねています。
ストーリーはなんともやるせないというか、たまらない映画であり、少々ステレオタイプな描写が気にならなくもありませんが、映画としては実に良いと思います。
ただ、原題は『街の二人』とでもいうべきで、“暗黒街”というのはヘンですね。
特にギャバンは、暗黒街とは直接無縁な役柄ですし。
それにしても、この映画のジャン・ギャバン、アラン・ドロンはホントにいいです。
ジャン・ギャバンは、犯罪者の保護司役ですが、貫禄といい、懐の大きさといい、男の優しさといい、実に素晴らしい。
観る限りは自然な感じで、特にどう演技しているという感じではないのですけどね。
なんというか、佇まいがすでに魅力的。
アラン・ドロンはこの作品がメルヴィルの『サムライ』『仁義』『リスボン特急』より後の作品なのに、この作品の方が若く見えます。
それが実に役柄に合っています。
いくつものシーンで目を見張るような素晴らしい演技を披露していますが、全体として感情を物語る目の演技が絶品だと思います。
ドロンとギャバンの共演作は、『地下室のメロディー』、『シシリアン』に続いて3作目となりますが、二人の関係の緊密性(?)という意味ではこの作品が一番なのではないかと思います。
ミシェル・ブーケの演じる警部がとにかく憎たらしい。
ある意味、映画的にはそれだけ演技が上手いということでしょう。
メルヴィルの『ギャング』(66年)でマヌーシュ役を好演していたクリスチーヌ・ファブレガがギャバンの妻役で出ています。
彼女の映画出演作は少ないのでこれは貴重。
想像しますに、『ギャング』の彼女の演技を絶賛していたドロン(製作)が彼女にオファーを出したのではないでしょうか。
また、映画を観れば誰しも気づくと思いますが、あのジェラール・ドパルデューがチョイ役のチンピラ役で出ています。
ドロンと対峙するシーンは緊張感のあるいいシーンでした。
あと、最後までドロンを庇う印刷所の雇い主の俳優グイド・アルベルティも良かったです。
そのほか、またもピエール・コレ(『仁義』でドロンに宝石強盗を持ちかける看守役)がこの映画では警察署長役で出ています。
これがまた重厚な演技を披露していて印象的でした。
今回、私は廃盤になった国内盤DVDで観ました。
今度ニューマスター版と銘打った国内盤DVDが再発されますが、以前のものを持っている人はそれでもいいんじゃないかと思います。
観た感じですと、画質はほとんど問題ないと思うので。
フィルップ・サルドのほの暗く美しい音楽は、映画の行く末を暗示しているかのようですが、実に魅力的です。
これはサルドの傑作の一つではないでしょうか。
この作品を高く評価されていて嬉しくなりました。
私は社会人になって初めての給料でレーザーディスク・プレイヤーを購入し、
同時にこの作品のディスクを買って繰り返し繰り返し見ました。それほど好きな作品です。
ドロンさんの演技にはお芝居を超越したものを感じます。
ドパルデューとの共演も今となっては大変貴重なものですね。
関連記事をトラバしましたのでよろしくお願い申し上げます。
見ていただいてありがとうございます。
ジョバンニのファンでらっしゃるのですね。
旧盤を持っているので今度のニューマスター版はとりあえず見送りますが、画質の良し悪し、特典など、どんな内容なのか私も興味あります。
コメント&TBありがとうございます。
この作品にはそんな深い思い入れがあるのですね。
それに比べたら私の観方など浅いものですが、今回観直してみて、ドロンさんがこの作品を自身のベスト5に入れた理由がわかったような気がいたしました。
それくらい良い作品だと思います。
ドロンさんの演技では、交通事故の直前の表情も凄いですね。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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