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以前から観たいと思っていたクロード・ソーテ監督の『夕なぎ』を国内盤DVDで観た感想です。
『CESAR ET ROSALIE』(72年)
監督:クロード・ソーテ
脚本:クロード・ソーテ、ジャン=ルー・ダバディ
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フィリップ・サルド
出演:ロミー・シュナイダー、イヴ・モンタン、サミー・フレイ
原題は『セザールとロザリー』。
イヴ・モンタン演じるセザールと、ロミー・シュナイダー演じるロザリーのことですが、『夕なぎ』という、この邦題もなかなかの名邦題ではないでしょうか。
内容は、大人の恋愛模様を描いた映画で、いかにもこの時期のフランス映画らしい作品といえるでしょう。
クロード・ソーテ監督の作品は、以前観た『友情』もそうでしたが、ごく一般的なフランスの中流家庭の人々の悲喜こもごもを魅力的に描いています。
これ見よがしの芸術性とか作家性は感じさせないものの、人物描写がとても丁寧で、安心して観ていられる監督だと思います。
初期の監督作『墓場なき野郎ども』(傑作!)のような犯罪映画を後年撮らなくなったのは個人的には残念なのですが、この『夕なぎ』や『友情』のような作品における登場人物に注がれる視線の暖かさには、どこか小津っぽい雰囲気を感じるといったら言い過ぎでしょうか。
この映画では、男女の三角関係を描いていますが、一番ヒステリックなのが、一番年長のイヴ・モンタンのセザールというのが面白いところ。
ある意味、どうしようもないところのある男なのですが、人間味溢れる人柄をモンタンがイキイキと演じているので観ていて気持ちがよく、役柄に対する嫌悪感を感じさせません。
もう一人、ロミー・シュナイダー演じるロザリーの元彼であるダヴィッド役で出ているのがサミー・フレイ。
他の出演作では、個人的にゴダールの『はなればなれに』くらいしか印象のないサミー・フレイですが、この作品の役柄はどことなく自分勝手で、しかも皮肉な役柄なので、あまり感情移入できない感じ。
役柄のせいもありますが、ほとんどの人がモンタンの方に感情移入して観てしまうのではないでしょうか。
ヒロインのロミー・シュナイダーは、言うまでもなく美しい女優ですが、冷たさよりも、どこか温かさを感じさせる女優なので、クロード・ソーテの作風との相性も良く、役柄にもとても合っています。
それでいて、一人で生きるシングルマザーという自立した強い女性のイメージを演じることにも成功しています。
これは当時としてはとても新鮮に映ったのではないでしょうか。
彼女は、70年代にクロード・ソーテ監督と組んだ作品が他にもあるようなので、もっとDVD化して欲しいものです。
ちなみに、個人的にロミー・シュナイダーで一番好きなのは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ルートヴィヒ』(72)でのエリザベート役なのですが。
クロード・ソーテと長らくコンビを組んでいた作曲家フィリップ・サルドは、この映画でもやはりいいです。
シンセを使ったサウンドにはちょっと時代を感じるものの、その(ある意味)古臭さがなんともいえない魅力ですね。
国内盤DVDの画質も良好でした。
「夕なぎ」のレビュー読ませていただきました。
いつものながらコンパクトかつ読みやすいレビューに敬服いたします。
着眼点がユニークでとても的を得たご指摘ですね。
この作品は私にとってロミー・シュナイダーのベスト3に入る作品です。
とにかく彼女が「美しい」の一言に尽きます。
また相手役のモンタンも人間的な弱さやずるさを、
厭味のないギリギリの範囲で絶妙に演じきっていて非常に魅力的です。
最近フランスではロミーの作品のDVDシリーズが発売されていて随時買い揃えています。
作品ごとに綺麗なブックレットの解説書も付属していますし、
ソーテと組んだ他の作品も初DVD化されていてお勧めです。
http://www.journaux.fr/liste.php?sousfam=100605&collec=1
レビュー読んでいただきありがとうございます。
ロミー・シュナイダーの出演作については、あまり数多く観ているわけではないので(『夕なぎ』ですら今回初めて観たくらいですから…)、恥ずかしい限りですが、彼女の出演作をもっと多くの作品を観たいと思いました。
そういえば『離愁』の彼女も良かったです。
ロミーのDVDシリーズ、ご紹介いただきありがとうございます。
デザイン、価格ともに魅力的ですね。
これからいろいろ調べて、検討してみたいと思います。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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