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アラン・コルノー監督の『マルセイユの決着』の感想ですが、今回はキャストについて書いてみたいと思います。

img_01.jpg物語の主人公、ギュ(ギュスターヴ・マンダ)を演じたダニエル・オートュイユ
主演なのに、どうも存在感が薄いように感じられたのは私の偏見でしょうか。
他に存在感のある俳優が何人か出ているせいでもありますが、なんというか、オリジナルのリノ・ヴァンチュラそっくりの扮装をしている割に、風貌の可愛らしさが目に付いてしまうのですよね。
それと、数年前『あるいは裏切りという名の犬』(オリヴィエ・マルシャル監督)を観た時も感じたことなのですが、私はこの俳優の顔がちょっと苦手なのかもしれません。
理屈ではなく、生理的なものなのですが。
かといって、これだけのギュを演じられる俳優が現在他にいるのかといったら、名を挙げられないのですがね。

マヌーシュを演じたモニカ・ベルッチ
なんといっても、容姿の美しさが最大の強み。
さすがに『ギャング』のクリスチーヌ・ファブレガの味わいこそありませんが、原作により近い妖艶な存在感で、演技も悪くなかった。
ただ、不思議と暗黒街の匂いを感じなかったのですが気のせいでしょうか。
あと、ベルッチだけのせいではないでしょうが、ギュとの別れのシーンは、オリジナルの足元にも及ばないと思いました…。

ブロ警視を演じたミシェル・ブラン
実は一番不安だったのがこのキャスティングでした。
『ギャング』のポール・ムーリッスの名演がなんといっても強烈な印象にあるからですが、ミシェル・ブラン、かなり良かったです。
確かに容姿的にはオーラの感じられない人なので、見た目で損をしていますが、演技に渋い味わいがありましたね。
これはこの映画の大きな収穫だったと思います。

オルロフを演じたジャック・デュトロン
役柄としては老けた感は拭えませんが、この人の存在感は大きかったです。
若い頃の人気歌手だった頃の顔を知っているだけに、年輪を感じさせる面構えに感慨深いものがありましたが、いかにも一匹狼的な虚無的な感じも出ていたと思います。
オリジナルのピエール・ジンメルも素晴らしかったですが、イヴ・モンタンがこの役をやってもさぞ良かっただろうな、とジャック・デュトロンの演技を見ていて思いました。

アルバンを演じたエリック・カントナ
これもオリジナルのミシェル・コンスタンタンの風貌と比較すればスタート時点から既に不利ですが、想像以上に良かったと思います。
何より、ギュとの友情関係が滲み出ている点が好印象です。
演技も元サッカー選手としては上出来じゃないですかね。
ただ、マヌーシュとの主従関係が、オリジナルほどは見えにくいかなと思います。

アントワーヌ・リッパを演じたニコラ・デュヴォシェル
この人は美男ですね。
演技もなかなか良かったです。
金塊強盗の警官銃撃シーンでは、オリジナルに倣って、十字を切っていました。

ヴァンチュール・リッチ(『ギャング』ではポール・リッチ)を演じたダニエル・デュヴァル
この映画で残念な点の一つは、この役柄の存在感が薄いことですね。
演出のせいか、俳優のせいかは分かりませんが。
メルヴィルが『ギャング』を映画化する際、この役にレイモン・ペルグランをキャステイングすることが条件だったというほど、重要な役柄だと思うのですが…。
ちなみに、オリジナルの冒頭(マルセイユのナイトクラブのシーン)のポール・リッチと情報屋との密談シーンはこの作品ではカットされています。
オリジナルでは好きなシーンでしたので、残念でした。

ヴァンチュール・リッチの弟ジョー・リッチを演じたジルベール・メルキ
『ギャング』のマルセル・ボズフィよりも人間臭い感じでしたね。
正直、マルセル・ボズフィのような俳優としての魅力はありませんが、この役の人間的弱さはよく出ていたと思います。
しかし、この人を観ていると、フレンチ・ノワールを観ている感じよりもスコセッシのマフィア映画を観ているような感じを持ったのは私だけでしょうか。
フランス人よりもイタリア人っぽく見えるせいでしょうか。

ファルディアーノ警部を演じたフィリップ・ナオン
なんというか、あまりに粗暴な感じの役作りが気になりました。
オリジナルのポール・フランクールのような奥行きというか深さがないんですよね。

それにしても、こうしてキャストを見てきますと、オリジナルの『ギャング』がいかにキャストの充実した映画であったかを実感しますね。
もちろん、この『マルセイユの決着』のキャスティングもかなり健闘しているとは思います。

以上3回に分けまして『マルセイユの決着』の感想を書いてきましたが、とりあえず感想としては、こんなところです。
書き忘れている点もあるかもしれませんが、また思い出したらコメント欄にでも書き足したいと思います。

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「マルセイユの決着」158分は長い!思い入れが強すぎで重い。
「マルセイユの決着」★★★ ダニエル・オートゥイユ 、モニカ・ベルッチ 、ミシェル・ブラン 、ジャック・デュトロン 出演 アラン・コルノー監督、2007年、フランス、158分 「夜や室内のシーンが多く、 全編モノクロ映画を見たような気分」 先日同じ劇場で「パリ PARIS」を見た時の 予告編が物凄く良かったので 今年二本目のフランス映画だ。 裏切られた事の「おとしまえ」をつけなくては 自分のプライドに関わるからと、 主人公は捨て身の闘いに挑んで行く。 予告...
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