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グラント・グリーン『サンデイ・モーニン』のご紹介。
GRANT GREEN『SUNDAY MORNIN'』(ブルーノート)
①フリーダム・マーチ②サンデイ・モーニン③栄光への脱出④ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド⑤カム・サンライズ⑥ソー・ホワット
グラント・グリーン(g)、ケニー・ドリュー(p)、ベン・タッカー(b)、ベン・ディクソン(ds)
61年4月録音
一般的にグラント・グリーンの名盤としてはまず『フィーリン・ザ・スピリット』(62)、そして以前このブログでも紹介した『アイドル・モーメンツ』(63)が挙げられるだろう。
確かにその2作は素晴らしいが、この『サンデイ・モーニン』は個人的にその二つに劣らぬほど好きなアルバムである。
好きな要素としては、まず何よりグリーン本人のリラックスした演奏の良さとギターの音色の魅力、そして、アルバム全体の流れの良さと適度に明るい雰囲気、『栄光への脱出』の名演、ベースのベン・タッカーの良さなどが挙げられる。
ことに③『栄光への脱出』はアーネスト・ゴールド作曲、オットー・プレミンジャー監督、ポール・ニューマン主演による映画のサントラのジャズ化だが、これが実にいい。
もともと私はこの曲が好きなのだが、ここではサラッとした小粋なアレンジに仕上がっており、それが決して原曲の良さを損なっていない。
なんともセンスの良い演奏である。
一方で、マイルス・デイヴィスの⑥『ソー・ホワット』は悪くはないという程度。
むしろ、グリーンのオリジナル②と⑤の良さを推したい。
グリーン以外のメンバーではケニー・ドリューのピアノも効いているが、なんといってもベン・タッカーのズンズン響くベースプレイが魅力的であり、グリーンとの相性も抜群である。
またもやリー・モーガンのリーダー・アルバムのご紹介。
LEE MORGAN『TOM CAT』
①Tom Cat②Exotique③Twice Around④Twilight Mist⑤Rigormortis
リー・モーガン(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、カーティス・フラー(tb)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショウ(b)、アート・ブレイキー(ds)
録音:64年8月(ブルー・ノート)
何故か長らくオクラ入りだったアルバムで、そのせいか、いまだに国内盤のCDは発売されていない。
しかし、これはリー・モーガンの隠れた名盤である。(タワレコやHMVの大手輸入盤店ならばRVGリマスターのアメリカ盤が比較的容易に入手できる)
お蔵入りになったのが信じられないほど参加メンバーも魅力的だが、とにかくこのアルバムは内容が素晴らしい。
④だけがマッコイ・タイナーの作品で、他はすべてリー・モーガンのオリジナル。
収録曲全てがいいが、やはりというか、御大アート・ブレイキーのスケールの大きさ、“雰囲気作り”に魅了される。
①の冒頭から一挙に惹きつけられるが、こういった演奏を聴くと、他のドラマーとは格が違うと改めて思わされてしまう。
そして、続く②がアルバムのクライマックスと思いきや、③が更に素晴らしい。
リー・モーガンのソロもいいが、ジャッキー・マクリーンのソロが短いながら最高。
これぞジャズ、これぞハード・バップといった最高の曲、演奏である。
④はバラードだが、ここではピアノのマッコイ・タイナーが信じがたい美音を聴かせる。
前にも書いたが、ブルーノートのマッコイは本当にいい。
⑤は前半3曲に比べれば若干テンションが落ちるが、このトラックが悪いというより前半3曲が良過ぎるのである。
個人的に好きなジャズCDということで今回はリー・モーガン『デライトフリー』のご紹介。
LEE MORGAN『DELIGHTFULEE』(ブルーノート)
① カ・リー・ソ②ザンビア③イエスタデイ④サンライズ、サンセット⑤ナイト・フライト⑥ザ・デライトフル・デジー
リー・モーガン(tp)フィル・ウッズ(as)ウェイン・ショーター、ジョー・ヘンダーソン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショウ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ、ビリー・ヒギンズ(ds)他
リー・モーガンは大好きなトランペッターなので所有しているリーダー作のCDは10枚を下らないが、この『デライトフリー』はこれまで全く聴く機会のなかったアルバムである。
聴く気にならなかったのは…録音時期が67年、ビートルズの『イエスタデイ』のカバー収録、ビッグ・バンドの起用、あまりカッコ良くないジャケット…等々の理由から勝手に駄盤だと決め付けていたためだ。
今回、この『デライトフリー』がたまたま中古店で安く出ていたので、買って初めて聴いてみたのだが、ビックリするくらい内容が充実している。
なんというか、アルバムが進行するにつれて曲と演奏が充実してくる感じで、③『イエスタデイ』も悪くないが、アルバムのハイライトは④⑤⑥だろう。
特に⑤⑥はリー・モーガンのオリジナルだが、どちらも名曲。
この時期の他のアルバムを聴くと分かるが、この時期の彼の作曲能力は相当のレベルに達していたと思う。
オリジナル・フォーマットとしてはクインテット編成が4曲、オリヴァー・ネルソンのアレンジによるビッグ・バンド編成が2曲という6曲入りのアルバムなのだが、私が買ったCD(RVGリマスター、1700円盤)にはボーナス・トラックとして4曲のビッグ・バンドの演奏も含まれている。
この4曲がえらくいい。
とりわけ、この編成ではフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスが大爆発している。
このアルバムでテナーサックスを担当しているのはジョー・ヘンダーソンとウェイン・ショーターの二人で、編成によって担当が替わるが、どちらのソロも魅力的。
また、全曲でピアノを担当しているマッコイ・タイナーについても是非指摘しておきたい。
いつも思うことだが、このアルバムに限らず、ブルーノートにおける彼のプレイはなんとも活き活きとして素晴らしい。
コルトレーン・カルテットでの彼とは別人のようだ、と言ったら言い過ぎか。
個人的に好きなジャズCDということでフレディ・ハバード『ゴーイン・アップ』(ブルーノート)のご紹介。
FREDDIE HUBBARD『GOIN'UP』(60年)
フレディ・ハバード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
フレディ・ハバードの初リーダー作『オープン・セサミ』に続く第2弾。
フレディ・ハバードのリーダー作といえば、その『オープン・セサミ』(60)がとりわけ有名だが、その分、他のリーダー作の知名度との落差が激しいように感じる。
そのせいか、『オープン・セサミ』は事あるごとに再発売されているが、このアルバムなどは発売されることはあまり多くない。
しかし、ブルーノートらしい典型的なクインテット編成、しかも、これほど魅力的なメンバーが揃っていながらあまり知られていないのは不思議なほどである。
実際聴いてみても、いかにもハードバップらしいカッコいいテーマを持った楽曲ばかり揃っており、聴かないのが勿体無いくらいの素晴らしい演奏内容だ。
リーダーのフレディ・ハバードはこの頃はまだ力任せの傾向があるが、勢いのある力一杯の吹奏ぶりは聴いていて気持ちいい。
一方で、『I WISHED I KNEW』では見事なバラード演奏を聴かせてくれる。
他にはハンク・モブレーのテナーが素晴らしい。
この人のテナーはたまにフニャフニャして頼りなく聴こえることもあるが、この日は好調だったのか楽器の鳴りが良く、音やフレージングが実にハードボイルドだ。
こんなカッコいいモブレーを聴いたのも久しぶりですっかり嬉しくなってしまった。
リズム・セクションも今更言うまでもない見事さであり、特にフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスが変幻自在の演奏でさすが。
ちなみに私が持っている国内盤CD(99年発、紙ジャケ&RVGリマスター)は現在廃盤だが、中古CD店やAmazonでは購入可能。
9月に国内盤が1100円で再発されるが、RVGリマスターでないようだ。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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