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来る5月、あのルネ・クレマン監督の、というかアラン・ドロンの『太陽がいっぱい』(60)の国内盤DVDが最新デジタル・リマスター版として紀伊国屋書店から再発、その上ブルーレイもついに発売されることになりました。

私はパイオニアから出たDVDを所有しておりますが、正直画質には不満がありました。
今回は紀伊国屋書店からの発売ということでクオリティには大変期待が持てますが、個人的にはブルーレイを是非購入したいと考えています。

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ルネ・クレマン監督の『パリは霧にぬれて』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

LA MAISON SONS LES ARBRES』(71年)
監督:ルネ・クレマン 
脚本:ルネ・クレマン、ダニエル・ブーランジェ 
撮影:アンドレア・ウィンディング 
音楽:ジルベール・ベコー 
出演:フェイ・ダナウェイ、フランク・ランジェラ、バーバラ・パーキンス、モーリス・ロネ、カレン・ブラック

初見。
以前紹介した『雨の訪問者』(70)と同様のロマンティックな雰囲気濃厚な、この時期のルネ・クレマン独特のムード・サスペンス
オープニングのタイトルバックが美しく印象的。
随分前に観た『ラスト・コンサート』(76)とかもそうだったけど、70年代ってこういうソフト・フォーカスの撮影って流行だったのかなぁ。
まぁ、映画の内容は全然違うが…。

この作品は前半がどうにも暗く、物語に入り込みにくいが、中盤あたりから盛り返す。
とにもかくも、フェイ・ダナウェイが美しく撮られた映画で、そのお姿を拝めるだけでも満足度は高い。
そのせいもあって、一般的な評価はあまり高くない作品なようだが、個人的には好きな作品である。
夫役のフランク・ランジェラも悪くない。
特別出演のモーリス・ロネはワンシーンのみの出演で、“組織”のボスらしき人物を演じている。

ルネ・クレマン監督の『狼は天使の匂い』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想。

LA COURSE DU LIEVRE A TRAVERS LES CHAMPS』(72年)
d9985525.jpeg監督:ルネ・クレマン
原作:デヴィッド・グーディス
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ
撮影:エドモン・リシャール
音楽:フランシス・レイ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ロバート・ライアン、レア・マッセリ、アルド・レイ、ティサ・ファロー、ジャン・ガヴァン

実に味わい深い作品である。
ハッキリ言って、派手さはない。
全体を流れる空気もどことなくユルいし、ハラハラドキドキの緊迫感もほとんどないから、サスペンス映画として観れば物足りなさを感じる人も多いかもしれない。
もっともこの作品にサスペンスとかミステリーとかいったジャンル分けは無意味に思えるし、ましてや傑作とか名作とかの形容すらも似合わないような気がする。
人目につかないところで秘かに愛でたい、そんな作品である。

それにしても、チャーリー役のロバート・ライアンの魅力はなんなのだろうか。
3bd518df.jpeg最晩年の出演作だが、若い頃から老け顔だった人だから、ここではあまり老けた感じはない。
しかし、年を重ねたことによって一層渋みが増し、同時に死期の近い年代の男性ならではのセンチメンタリズムも感じさせるのがなんとも魅力的である。
それでいて、決して甘ったるい感傷ではないところにこの作品のロバート・ライアンの個性がある。

そして、そのロバート・ライアンと見事な共演を見せるのがトニー役のジャン=ルイ・トランティニャン
この人の魅力もまた、一体なんなのだろうか。
美男?演技が巧い?存在感がある?どれも当たっているようでいて、もう一つピタッとこない。
先日このブログで紹介した離愁を見た時も思ったが、この人の出演作を見ていると、もしかしたら、この俳優が他のどの俳優よりも好きなのではないかという思いすら抱く。
そう感じる俳優は他にも何人もいるから私の感覚など当てにならないが、ともかくも、そう感じるほどにここでのこの人が魅力的な俳優であることは間違いない。

この主役二人の共演を得ただけでも、この作品の成功は大方約束されたと言えるだろうが、脇を固める俳優たちも素晴らしい。
3dcb0b61.jpegシュガー役のレア・マッセリアンリ・ヴェルヌイユ監督シシリアン(69)での色っぽさが印象に残っているが(ギャバンのセリフ『おい、カミサンにまともな服を着せろ!』は最高)、この作品でも自身の役どころにピタリと合った好演である。
ペッパー役のティサ・ファローのつぶらな瞳もこの作品の世界によく合う。
また、フランシス・レイの音楽も作品を雰囲気を強く彩っている。
国内盤DVDの画質が良好なのも嬉しい。
 

ルネ・クレマン監督の『雨の訪問者』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。

b8c2ccdf.jpegLE PASSAGER DE LA PLUIE』(70年)
監督:ルネ・クレマン
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ
撮影:アンドレア・ヴァンダン
音楽:フランシス・レイ
出演:チャールズ・ブロンソン、マルレーヌ・ジョベール、ジル・アイアランド、コリンヌ・マルシャン

初見。
なんともいえないムーディーな魅力を持ったルネ・クレマン流のサスペンス。
舞台となった南仏の不思議なまでの静けさにもこの映画ならではの雰囲気があり、謎が謎を呼ぶストーリー展開も文句なく面白いです。
とはいえ、少々テンポがゆったり気味で、映画中盤の主演二人のところなど、観る側の緊張感が切れかかるところもあるのですが、そこがまたこの時代のフランス映画らしい魅力と言える気がします。

bd841a37.jpeg脚本を担当したセバスチャン・ジャプリゾは、あの『さらば友よ』(68)の脚本を担当した人物で、DVDのパッケージによれば“フランス推理小説界の重鎮”。
『さらば友よ』で気に入ったというチャールズ・ブロンソンに宛ててこの作品の脚本を書いただけあって、この作品でもブロンソンの魅力を最大限に引き出しています。
ブロンソンもハリー・ドブスという謎めいた役柄を独特の存在感をもって好演。

ヒロインのマルレーヌ・ジョベールは以前観た『最後のアドレス』(69年。ジョゼ・ジョヴァンニ監督、リノ・ヴァンチュラ共演)も良かったのですが、この作品でも実に素晴らしい演技。
88dfcec2.jpeg彼女は派手さこそありませんが、堅実な演技と可憐な存在感は大変魅力的で(そばかすがちょっと気になりますが…)、70年代にフランスで人気があったというのも肯けます。

パリのシーンでちょっとだけ出てくる女優コリンヌ・マルシャン、どこかで観た覚えがありましたが、あの『5時から7時までのクレオ』(61年。アニエス・ヴァルダ監督)の主演女優でした。
『クレオ』以外ではほとんど観た記憶がないので、これはちょっと得した気分。
全篇を飾るフランシス・レイの音楽もさすがに素晴らしく、作品のミステリアスな面を盛り立てています。

HDマスターという国内盤DVDの画質もまずは満足できる仕上がりのように思えます。

ルネ・クレマン監督の『禁じられた遊び』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。(ネタバレあり

aa98398e.jpegJEUX INTERDITS』(51年)
監督:ルネ・クレマン
脚本:ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト、ルネ・クレマン
撮影:ロベール・ジュイヤール
音楽:ナルシソ・イエペス
出演:ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、リュシアン・ユベール、ジュザンヌ・クールタル、ジャック・マラン

再見。
先日ルネ・クレマン監督の『雨の訪問者』の国内盤DVDを購入したのですが、ルネ・クレマンと聞いて突如として気になったのがどういうわけかこの『禁じられた遊び』でした。

もちろん、この作品は何度か観ています。
前回観たのは5~6年くらい前だったでしょうか。
不思議なことに、その時どうも思ったほどには感動できなかった自分がいたのです。
あれほどの名作なのに。
その理由が今までずっと気になっていたのと、あの映画の世界に久々に浸りたいという思いもあって、この作品を観直してみました。

観直してみて、前回感動しきれなかった理由が分かった気がしました。
子供たちの“遊び”のせいで、親たちが無用の争いに巻き込まれていく様が気の毒になってしまい、子供たちに今一つ同情できなかったせいだと思います。
映画のラスト近く、十字架が無くなった真相が判明してからの親たちの怒りは至極尤もであり、当然それは十字架を持って行った子供たちが悪いわけで、その悪い子供たちを不憫とはどうしても思えなかったのですよね。

で、今回観直してみて、前回感じたこととは全く別の思いが頭に浮かびました。
子供たちが大人たちを争いに巻き込んだのではなくて、むしろ、もともとは大人たちが子供たちを自分たちの争いに巻き込んだんじゃないか、と。
つまり、戦争ですね。

もちろん、戦争を起こしている責任者たる政治家たちと、この映画で描かれている村民たちは全く別の人種であるといっていい。
しかし、戦争(爆撃)が原因で、ポーレットは両親と愛犬を亡くし、あの村に一人で辿り着きます。(あの爆撃シーンの激烈さよ)
そこでミシェルという少年と知り合い、その家族に養われるようになり、やがて二人で十字架集めと墓作りという“遊び”を繰り広げるようになるわけですが、決してそれだけでは近隣住民の喧嘩にまでは至らないはずです。
もともと仲の悪い両家だからこそ、小さなキッカケが原因であらぬ疑いが生じ、大喧嘩へと至ってしまうのではないでしょうか。

a8cf13ed.jpegとなれば、十字架集めをした子供たちが一方的に悪いわけではない。
そのキッカケが原因で大喧嘩が生じてしまう、大人たちの心理状況、交友関係も大いに問題なのです。

つまり、この両家の状況を二つの国家に当てはめてみれば、現実世界で戦争を起こしている国々となんら変わらないのです。
それを思えば、この村の大人たちを国家間の戦争を起こしている政治家たちと全く無縁と考えることはできない。
“戦争”は国家だけが行っているわけではないのです。

そう考えると、この映画で描かれている被害者は大人たちではなく、やはり子供たちだと考えられます。
ルネ・クレマンの胸のうちにもそのような思いは当然あったでしょう。
まぁ、この程度のことは、勘の良い方なら、一度この映画を観たら気付くことなのでしょうが…。

それにしても、これは何たる名作でしょうか。
二人の子役ブリジット・フォッセージョルジュ・プージュリーの“演技”の見事さ、村とその住民たちの牧歌的な美しい描写、哀しくも厳しいラスト、そしてサントラを飾るナルシソ・イエペスの名演奏等、その要素は揃いに揃っています。

最後に国内盤DVDについて。
500円DVDまで含めると世に数種類出ていますが、私が観たのは一応ちゃんとしたメーカーの正規(?)盤。
にもかかわらず、画質は到底良好とは言えません。
パッケージに断りこそあるものの、部分的に画面に乱れも出ますし、なにより全篇を通して音が歪んでいて聞き苦しいことおびただしい。
これではイエペスのギターの音色に心から浸ることはできません。
どこか、この名作をしっかりした品質で提供しようというメーカーはないものでしょうかね…。

ルネ・クレマンの70年代の作品が紀伊国屋書店から次々とDVD化される予定なのは以前もお知らせした通りですが、ついに待望の『狼は天使の匂い』の国内盤DVDの発売が決定しました!
Amazonへのリンク

発売は7月25日の予定です。
同日にはジャン・ルノワール監督の大傑作『草の上の昼食』の国内盤DVDも紀伊国屋書店から発売されます。
Amazonへのリンク
さすがは紀伊国屋さん、やってくれますね。

第二次大戦中のフランスのレジスタンス活動を描いた仏米合作映画『パリは燃えているか』を観ましたので、その簡単なメモです。

●『パリは燃えているか』『Paris brûle-t-il?』『IS PARIS BURNING?』(英題)(66年)

監督:ルネ・クレマン
撮影:マルセル・グリニヨン
音楽:モーリス・ジャール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ボワイエ、グレン・フォード、アラン・ドロン、カーク・ダグラス、ゲルト・フレーベ、オーソン・ウェルズ、レスリー・キャロン、シモーヌ・シニョレ、ジャン=ピエール・カッセル、ジョージ・チャキリス、イヴ・モンタン、アンソニー・パーキンス、ジャン=ルイ・トランティニャン、ロバート・スタック、ミシェル・ピコリ、ピエール・ヴァネック 他

この映画にはオリジナル版と英語版があるようですが、私が観たのは英語版です。
フランシス・フォード・コッポラが脚本に参加していることでも知られているこの作品は、レジスタンス組織内部の葛藤と、ヒトラーからパリ壊滅を命令されたドイツ軍司令官の葛藤などを描いています。
時期は44年8月と、ドイツ軍によるパリ占領末期からパリ解放までを描いていますが、他の戦争映画のような、ドンパチドンパチの戦闘シーンはそれほど多くありません。
ナチス・ドイツによるパリ壊滅作戦がなぜ行われなかったかの事情が詳しく描かれていないなど、それなりの不満はありますが、私はかなり面白く観ました。
3時間近い映画ですが、ほとんど退屈なシーンもなく、解放前後のパリ市民の高揚した精神が描かれているのが大きな見ものだと思います。
実際の映像もところどころ加えられていますが、モノクロの映像ということもあって、大きな違和感はありませんし、それを観られるのはむしろ貴重でしょう。
超豪華キャストで有名な作品であり、もちろん、それが映画の大きな魅力でもありますが、少々持て余し気味で、ちょっと勿体無い感はあります。
必ずしも皆に大きな見せ場が用意されているわけではありません。

個人的に印象的だったキャストを挙げてみます。

ドイツ軍の監視をかい潜ってアメリカ軍にパリの窮状を知らせに行くレジスタンス活動家を演じたピエール・ヴァネック
この俳優は、先日観た『勝負をつけろ』(ジャン・ベッケル監督)にも出ていましたが、超豪華キャストを向こうに回して、ここではほとんど主演に近い扱いです。
パリに憧れるアメリカ兵を演じたアンソニー・パーキンスの存在感も忘れがたい。
出演場場面は少ないですが、独特の持ち味が出ています。
また、ドイツ軍司令官コルティッツ将軍を直接降伏に追い込むジャン=ピエール・カッセルも儲け役。
そして、なんといっても、映画の影の主役といえるのが、コルティッツ将軍を演じたゲルト・フレーベ
パリの街が“主役”の映画でもあり、ヒトラーの命令に背いて、そのパリの街を救った彼こそが映画の本当の主役であるとも言えるでしょう。
アラン・ドロン、ジャン=ポール・ベルモンドの数少ない共演作でもあり、二人が同じ画面に写る嬉しいシーンもありますが、残念ながら二人の見せ場と言える場面はほとんどありません。
観たのが英語版ということもあって、特にベルモンドの吹き替えに違和感があります。

それにしても、これを観ると、同じレジスタンスを描いたメルヴィルの『影の軍隊』がいかに渋く、地味な作品かがよく分かります。
同じ第二次大戦中でも、描かれている時期が、『影の軍隊は』42年10月から翌年にかけて、『パリは燃えているか』は44年8月とすでに解放の光明が見え始めている時期なので、レジスタンスに携わる人々の気分が全く違うということはあるのですが、こちらは仏米合作ということで、ハリウッド資本も入っている映画なので、当然のことながら、映画としての“見せ方”が全く異なります。
私個人はどちらも好きです。

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マサヤ
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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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