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ボブ・ディランが来年4月に来日公演を行います。
ウドーのHP
東京の会場はオーチャードホール

今のディランの音楽を聴くにはオーチャードホールは適していると思います。
ただチケット代が・・・。
チケットはすでに売り出されていますが、取るかどうか迷い中です。
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ボブ・ディランのニューアルバム『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』(『SHADOWS IN THE NIGHT』)が発売になったので、さっそく国内盤を買って聴いてみた。

以前のブログで、このアルバムにはあまり期待していないというようなことを書いた。
簡単に言えば、ここ20年くらいのディランの声が苦手だからだ。
しかし、実は数日前にあるサイトで収録曲『ステイ・ウィズ・ミー』を聴いて感動してしまったのである。
なにより声が違う歌い方が違う
このアルバムに対する期待が一気に高まった。

全10曲、収録時間35分はCD時代のアルバム収録時間としてはかなり短い方だろう。
全曲がアメリカン・スタンダードの作品ばかりのようで(私もほとんど知らない曲ばかりだ)、菅野ヘッケル氏のライナーノーツを読む限り、やはりフランク・シナトラへのトリビュートの色合いが濃いようだ。
全曲が一発録りで、オーバーダビング等もないという。

アルバム全体の印象は極めて地味で、ロック・ビート皆無のバラード・アルバムである。
それも、同じような雰囲気のバラード・ナンバーが現れては消える。
バック・バンドの演奏もどの曲もほとんど変わり映えがない。
こんなアルバムはディラン史上一枚もなかった。

このアルバムを聴いたディラン・ファンは面食らうのではないか。
もちろん、私もその一人だが、このアルバムを理解する鍵はやはりシナトラではないかと思う。
このアルバムはロサンゼルスのキャピトル・スタジオで録音されたという。
シナトラは50年代前半から60年代前半にかけてキャピトル・レコードに所属し、まさしくこのスタジオで多くのアルバムを録音した。

この時期はシナトラのジャズシンガーとしてのまさしく絶頂期で、スイング・アルバムとバラード・アルバム両方に傑作がひしめいている。
そして、この『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』はキャピトル時代のシナトラのバラード・アルバムにインスパイアされたのではないかと思われるのだ。
アルバムの空気感、雰囲気がとてもよく似ているのである。

もっとも、キャピトル時代のシナトラのアルバムはネルソン・リドルビリー・メイゴードン・ジェイキンスといった優れたアレンジャーがアレンジを担当しており、バラード・アルバムの多くはストリングスのアレンジに印象的なものが多かった。
ところが『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』にはストリングスは一切ない。
ごく控えめな管楽器奏者の他は、いつものディラン・バンドの面々だけである。

ディランはこう語っている。
『こういうものをずっと前からやりたいと思っていたが、30人編成向けの複雑なアレンジを5人編成のバンド用に精製する勇気をもつことがなかなかできなかった』

想像するに、ディランはシナトラのキャピトル時代のバラード・アルバムを参考としながらも、全く同じものを作ろうという気はなかった。
シナトラのような大編成のバックは起用せず、あくまでも自身のバック・バンドを起用して同じような音楽世界を描き出したいと思ったのではないだろうか。

この試みが成功しているかどうかは私もまだ判断が付かない。
しかし、私個人はこのアルバムが大変気に入っている
買ってからもう何度聴いたか分からない。
収録時間が短いこともあるが、あっという間にアルバム一枚聴き通してしまうのである。

これまで他人の曲も数多く歌っているディランだが、これほど真摯に歌っているディランは久しぶりではないか。
声は私の苦手な近年のダミ声ではなく、意外なほど伸び伸びとした声質である。
ライナーノーツの菅野ヘッケル氏によれば、この数年ディランの声はどんどんクリアになっているという。
私が知らない間にディランは変貌しつつあるのかもしれない。

また、ライナーノーツによれば、ディランと生前のシナトラには親交があり、折につけディランはシナトラからアドバイスを受けていたという。
こうしたエピソードは双方のファンとしては嬉しい。
シナトラに限らないが、ディランという人は先人に対する畏敬の念を隠そうとしない。
私がディランの好きなところである。

偶然かもしれないが、今年はシナトラ生誕100年
シナトラに対するディランの信奉の念が、このような真摯な一枚を作らせたのではないだろうか。

参考:シナトラのキャピトル時代のバラード・アルバム
●『Songs For Young Lovers』(53年)
●『In The Wee Small Hours』(55年)
●『Close to You』(57年)
●『Where Are You?』(57年)
●『Only The Lonely』(58年)
●『No One Cares』(59年)
●『Point Of No Return』(61年)

昔、私はこれらすべてのアルバムを聴いた。
内容をすべて覚えているわけではないが、どれも優れた出来栄えであったと記憶している。
個人的な一押しは『In The Wee Small Hours』。
シナトラのみならず、ジャズ・ヴォーカル史上の傑作。
続いて『Only The Lonely』だろうか。

2月4日にボブ・ディランのニューアルバム『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』が発売される。

収録曲を見る限り、オリジナル楽曲は含まれず、主にフランク・シナトラのレパートリーのカバー曲集のようだ。
カバー集であるにしろ、ニューアルバムの発売はディランのファンとしてはもちろん楽しみだ。
私はある時期シナトラもかなり好きで聴いたから、ディランがシナトラの曲をどのようにカバーしているのかという興味もある。

ところが正直、意外と心がときめかないのである。
カバー集だからか?
それも全くないとは言えない。
全曲ディランのオリジナル曲だったら、もう少しときめいていたはずだ。
しかし、詳しくはここで述べないが、それも事実上期待できない状況では何をか言わんや。
第一、いくらディランがシナトラの楽曲が好きだとはいえ、シナトラの歌のイメージとディランのそれは違い過ぎるではないか。

しかし、理由はそれだけではない。
90年代後半以降、つまりは『タイム・アウト・オブ・マインド』(97年)で華麗な“復活”を遂げて以降のディランにさして魅力を感じていないからである。
答えは簡単だ。
あの“”である。

もちろん、私はディランの近年のアルバムもすべて聴いている。
中には『ラヴ・アンド・セフト』(01年)のような素晴らしいアルバムもあった。
しかし、90年代以降のディランのあの声がどうしてもダメなのである。
かなり無理して好きになろうとしたが、無理だった。(みんな、あの声をどう思っているのだろうか?)

その意味でも、個人的な見解だが、『タイム・アウト・オブ・マインド』以降のディランは過大評価されている気がする。
現段階での最新アルバム『テンペスト』(12年)も最近なんとなく良さが分かってきたが、発売直後に聴いた時は全然良さが分からなかった。
いや、良さが分かってきたというより、むしろ声に慣れてきた、という方が正しいかもしれない。

結局のところ、私はディランを“シンガー”として好きなのだ、と思う。
もちろん、ソングライターとしてもこの上なく偉大であるし好きなのだが、歌手としての魅力が大きくなかったら、ここまで聴いていなかっただろう。
そして、“シンガー”である以上、声にこだわるのは当然のことだろう。
シャドウズ・イン・ザ・ナイト』が私の期待を良い意味で裏切ってくれることを望む。

ブートレッグ・シリーズについて。

先日、『ザ・ベースメント・テープス・コンプリート:ブートレッグ・シリーズ第11集』が発売になった。
いうまでもなく、ディランとザ・バンドの67年の伝説的なレコーディング・セッションを体系化した6枚組CDボックスである。
2枚組のハイライト盤も同時発売されており、私は両方購入してしまったのだが、仮に迷っている方がいたなら断然コンプリート盤を奨める。
ハイライト盤は長年『地下室』を聴いていた者にとっては”これまで聴いたことのある音楽”が大半を占めるが、コンプリート盤にはこれまで聴いたことのなかった、本当に幻の楽曲、演奏が目白押しであり、実際その楽曲が良いからだ。
 
ディランのブートレッグ・シリーズはここに至るまですでに11集を数えるが、私個人の現在の愛聴盤を一つ挙げるとするならば、第9集にあたる『ザ・ウィットマーク・デモ』である。
これは62~64年に音楽出版社用に録音されたものを集めたデモ録音集であり、基本的にレコード用に録音されたものではない。
録音状態も良好なものから劣悪なものまで様々である。
したがって、数あるブートレッグ・シリーズの中でもあまり話題にならず、私も聴く前はほとんど期待していなかった。
しかし、私はこれを聴いて、久々にボブ・ディランを聴く”醍醐味”を味わった気がしたのである。
 
何を醍醐味と感じたか?
この録音が行われた時期はディランのファースト・アルバムから4thアルバム『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』までの時期に当たり、つまりはディランのフォーク期を網羅しているわけだが、簡単に言うとこの時期のディランの声と歌い方が最高なのである。
私はこのCDを聴きながら、なんだ、この時期のディランが結局最高なのかよ!?と複雑な思いの自問を繰り返した。
自分としては60年代中期のロック転向後のディランや70年代中期のディランが最高なのだとばかり思い込んでいたからだ。

実際、このような魅力的な声はおそらくディラン自身これ以降一度もない。
分かりやすい例を挙げれば、『フリーホイーリン』収録の『北国の少女』、これが私の言う典型的なディランの声である。
 『ザ・ベースメント・テープス』でのディランの声も確かに魅力的だが、『ザ・ウィットマーク・デモ』の声と比べれば数段落ちる。

ザ・ウィットマーク・デモ』はデモ録音ということもあってか、歌い方も実に淡々としているのだが、その絶妙な味わいといったらない。
もちろん、この声を味わうにはファーストから『アナザー・サイド・オブ~』までを聴き返すというのも一興だ。
しかし、『ザ・ウィットマーク・デモ』は2枚組のボリュームでディランのこの時期の声を心行くまで味わえるという意味で、私にとっては他に代え難い貴重なアルバムなのである。

前回より続く)

今回ボブ・ディランのアルバムを(ブートレッグシリーズも含めて)一通り聴き直してみて、これまでと評価が変わったアルバムもある。
特に良かったものをざっと挙げると

●『ボブ・ディラン』(62年 ファースト)
●『ディラン』(73年 カバー集)
●『ビリー・ザ・キッド』(73年 映画のサントラ)
●『セイヴド』(80年 キリスト教三部作の一つ)
●『サイド・トラックス』(レアトラック集)

はっきり言えば、世間的評価が今一つでこれまでキチンと聴いてこなかったアルバムばかりだが、ファーストなんてジャケットの眠そうな表情とは正反対のエネルギー溢れる歌とギターのストロークにノックアウトされたし、『ビリー・ザ・キッド』もディランの歌こそ少ないが、一音楽として実に楽しい。
また、カバー集『ディラン』は寄せ集めとは思えぬほど一曲一曲の仕上がりが素晴らしい。

セイヴド』はもう大傑作。
ブートレッグで出ている80年のトロントのライヴDVDを観たが、この頃のライヴは往年の曲こそ皆無だが、新曲が皆良いし、ディランが真面目に丁寧に歌っていて感動させられる。
正規発売されたら評価が一変するはず。

サイド・トラックス』は『バイオグラフ』を始めとするいくつかのコンピレーションものに入っていたレア・トラックがまとめて聴けるのが実に便利。
音質も良い。

逆に期待外れだったのは60年代のアルバムを集めたモノ・ボックス
オーディオの関係もあるのかもしれないが、私には通常のステレオ盤の方が良い。

(たぶん続く)

ここ一年ばかりの間、一番関心があったのはボブ・ディランである。
もともと20年来のディラン・ファンであるが、ここ10年ほどは熱心なファンとは言えなかった。
それが突然ディラン漬けの日々を送ることになったのだ。

きっかけは一年ほど前に観たザ・バンドの映画『ラスト・ワルツ』(マーティン・スコセッシ監督)であったと思う。
この映画も昔から観ている映画だから、今さら何がどうだとか言うこともないのだが、とにかくザ・バンドの音楽の素晴らしさに改めて感動し、再びザ・バンドを聴き始めた。
この10年ほどはディランやザ・バンドどころか、ロックを聴く機会もほとんどなくなっていたから(いうまでもなくジャズばかり聴いていた。新宿のディスクユニオンに行ってもロックの売り場をうろうろした記憶がこの10年ほどはない)、それだけでも大きなきっかけだった。

ザ・バンドと来れば、ディランに行き着くのは自然な流れで、確か共演ライヴ盤『偉大なる復活』(74)の紙ジャケを買ったのだった。
この一年ばかりの間、ディランの紙ジャケがBlu-spec CD2仕様で次々と発売されているが、限定盤ということもあり、それならばと買い揃えていった。
最初はBlu-spec CD2ではなく、数年前に発売された紙ジャケCDを中古で買い揃えていたのだが(その方が圧倒的に安い)、あるきっかけからBlu-spec CD2に換えた。
それは『新しい夜明け』(70)のBlu-spec CD2を聴いてからである。

『新しい夜明け』というアルバムはディランの中でも特別名盤でもなく、むしろ大変地味なアルバムであるが、個人的には大好きなアルバムである。
今でも聴く機会が圧倒的に多い。
このアルバムのリマスターCDの音には不満があった。
特にヴォーカルがもやもやして聞こえた。
それがBlu-spec CD2だとかなり改善されていたのである。

他のアルバムも通常のリマスターCDとBlu-spec CD2で聞き比べてみたが、正直言って、そこまでの違いは感じられないことの方が多かった。
しかし、どうせ買うなら音が良い(良さそう?)なのが良いだろうという単純な考えで買い揃えていった。
中には以前から熱望していた『激しい雨』の紙ジャケリマスター盤なんてのもあって、いっそうコレクション熱?が高まったのだが、結果、現段階でのすべてのディランのアルバムをBlu-spec CD2で買い揃えた。
(続く)

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テンプレ作った人:おみそ
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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
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