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フランソワ・トリュフォー監督の『恋愛日記』を国内盤DVDで観た感想。

L’HOMME QUI AIMENT LES FEMMES』(77年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン、ミシェル・フェルモー
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:シャルル・デネ、ブリジット・フォッセー、ネリー・ボルジョー

女たらしの一人の根暗男の可笑しさと悲しさを描き、トリュフォーの女性に対するオマージュをそのまま映画化したような作品。
方向性としては『私のように美しい娘』を思わせる、一種のブラックコメディとも言える内容で、ストーリー的にもかなり面白い映画です。

ベルトランを演じる主演のシャルル・デネは『黒衣の花嫁』、『私のように美しい娘』に続くトリュフォー作品への出演。
相変わらずの怪演ぶりですが(笑)、風貌といい、声といい、かなり個性的な俳優なので、それを好むか否かでこの映画に対する好みがハッキリ分かれそうです。
しかし、ジャン=ピエール・レオーのような優男風の美男子を起用せず、シャルル・デネを起用したことで、映画そのものにまた別の意味での滑稽味とリアリズムが加わったことも事実でしょう。

ストーリーも決して滑稽なだけではなく、同じ男性として考えさせられるシーンも多く(笑)、なかなか奥行きのある映画だと思います。
特に、パリのホテルで昔の彼女とバッタリ会い、会話を交わすシーンはなかなか深いなぁーと感じてしまいました。
他にも様々な女性が登場する映画でもありますが、やはり後半に登場するブリジット・フォッセーが美しく、役柄としても魅力があります。

ラストで、ブリジット・フォッセーが一人一人の女性の論評をするシーンも笑えますし、私自身はこの作品、かなり好きです。

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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『トリュフォーの思春期』。

poche.gifL’ARGENT DE POCHE』 (76年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:子供たち多数、ジャン=フランソワ・ステヴナン(リシェ先生)
105分、カラー

赤ん坊から思春期手前の少年少女たちまで、子供を主人公に、いくつかのエピソードをスケッチ風に描いた作品。
原題の意味は「おこづかい」。

邦題はそれほど内容に忠実とは言えませんが、これは“子供という存在”に寄せるトリュフォーの思いが一つに結晶したような映画。
実際、出演している子供たち一人一人が本当に可愛く、子供好きな人には堪らない映画ではないでしょうか。
内容的にも、子供たちに注がれる、トリュフォーならではの暖かい視線が画面を通して伝わってくるようで、いわゆる“傑作”とか“名作”とかいうような作品ではないかもしれませんが、観ていて実に楽しく、私も大好きな作品です。

何人かの子供たちのエピソードが主なストーリーを形成していますが、子供たちの演技が自然で、小手先に走ったところが無いのも良いと思います。
それぞれ、思わず笑ってしまうようなエピソードがほとんどで、特にグレゴリー坊やとシルヴィーのエピソードは楽しかったです。

学校のリシェ先生と生徒の関係もとても良い関係に描かれており、夏休み前に先生が生徒に語る部分はトリュフォー自身の言葉のよう。
ただ、中には現代にも通じる深刻なテーマを含んだものもあり、そこにかつての『大人は判ってくれない』の匂いを感じたりもします。

以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『アデルの恋の物語』。

5d67684a.jpegL’HISTOIRE D’ADERE H. (75年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン・グリュオー、フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:イザベル・アジャーニ(アデル・ユゴー)、ブルース・ロビンソン(ピンソン中尉)
98分、カラー

フランセス・V・ギールの原作『アデル・ユーゴーの日記』を元に、フランスの大作家ヴィクトル・ユゴーの次女アデルの恋愛物語をトリュフォーが映画化したもの。

主人公アデルの行動は「そこまでやるか!」と言いたくなるほど強烈の一言で、これがすべて実話に基づいているというのがスゴイ。
ありとあらゆる手段を使って男の気持ちを自分に向けようとするそのやり方は今で言うと立派なストーカーで、その行動力は必ずしもすべてが観る者の同情を引くものではありませんが、とにかくその執念というか相手の男性に対する執着には恐れ入ります。
相手のピンソン中尉もここまで惚れられたら本望でしょう…実際は怖くてそれどこではないかもしれませんが。

ストーリーは極めてシンプルで、また出演者の少ない映画でもあり、それだけにこの映画はヒロインを演じるイザベル・アジャーニの魅力に尽きる気がします。
当時無名に近いながらもトリュフォー監督によって抜擢された、当時19歳の彼女の鬼気迫るような素晴らしい演技、そして、“女優魂”というか気迫に圧倒される作品です。
また、その信じられないほどの美貌も見物といってよいでしょう。
相手役のピンソン中尉を演じるブルース・ロビンソンも、冷たい容姿が役柄によく合って好演しています。
トリュフォー監督自身、映画の前半に兵士役でワンシーンだけですが出演しています。

他に、ネストール・アルメンドロスによる美しい映像、モーリス・ジョーベールの音楽とスタッフも揃っています。
なにしろテーマがテーマですので、正直、何度も観たくなるような作品ではありませんが、作品の古典的風格、その痛切極まりない物語はトリュフォーならではと言えます。

以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『アメリカの夜』。

fd1104fe.jpegLA NUIT AMERICAINE』 (73年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・ルシャール、シュザンヌ・シフマン
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャクリーン・ビセット(ジュリー・ベーカー)、ジャン=ピエール・レオー(アルフォンス)、ヴァレンチナ・コルテーゼ(セヴリーヌ)、フランソワ・トリュフォー(フェラン監督)
115分、カラー

映画撮影のトラブル続きの日常をスケッチ風につづりながら、すべての映画を愛する人々に捧げられた作品。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、トリュフォー中期の代表作ともいえる作品であり、一本の映画が撮影、製作されるまでを映画の題材にすることで、トリュフォー自身の映画に対する愛情を表した一本。
タイトルの“アメリカの夜”とは、レンズにフィルターをかけて昼間の撮影でも夜のシーンに見せてしまうことで、いわば虚構の象徴であり、また映画の本質と魅力を物語っています。

当のトリュフォー自身も映画監督役として出演していますが、俳優のみならず、周囲のスタッフの映画製作にかける情熱と苦心をユーモラスに描いていて実に楽しい映画となっています。
映画の性質上、ストーリー的な面白さはあまりないのですが、映画に対する愛情をこれほどほのぼのと感じさせてくれる作品も稀なのではないでしょうか。

キャストではジャクリーン・ビセットの美しさが印象的。
70年代最高の美女と言われた当時の美しさは一見の価値あり。
ジャン=ピエール・レオーの役柄はアントワーヌ・ドワネルではないものの、それそのものといってよいほどの相変わらずのもの。
これはもう“お約束”?
ジョルジュ・ドルリューの明るく開放感に満ちた音楽(バッハ風?)もとても魅力的です。

フランソワ・トリュフォー監督の作品紹介の続きですが、今回は 『私のように美しい娘』。

19b5b54a.jpegUNE BELLE FILLE COMME MOI』 (72年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン=ルー・ダバディ、フランソワ・トリュフォー
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ベルナデット・ラフォン(カミーユ・ブレス)、アンドレ・デュソリエ(社会学者スタニスラス・プレヴィン)、シャルル・デネ(害虫駆除人アルチュール)、クロード・ブラッスール(弁護士ミュレーヌ)
98分、カラー


トリュフォー作品の中でも特にコメディ方向に弾けた作品で、下品と言ってよいほどの下ネタ満載の映画。
ちょっとトリュフォー作品とは思えないほどの内容ですが、映画そのものは面白いとしか言いようがありません!

とにかく、ヒロインのベルナデット・ラフォンの奔放な魅力に尽きる作品です。
トリュフォーの処女作「『あこがれ』で全くセリフのなかった彼女がここではしゃべる、しゃべる…。
ヌーヴェルヴァーグの“ニンフ”とまで言われた彼女ですから、こちらの方がニンにあることは間違いありませんが、それにしても彼女のコメディの才能がここでは最大限に発揮され、その素晴らしい弾けっぷりに脱帽です。

見るからに真面目そうな社会学者が犯罪者の女性(ラフォン)を取材するという設定も面白く、学者が次第に彼女に惹かれていく様が面白おかしく描かれています。
後に『恋愛日記』に主演するシャルル・デネも、害虫駆除の仕事をしているという設定が彼のキャラクターにピッタリで、その身振り手振りがなんとも可笑しい怪演ぶり。
ベルナデット・ラフォンの歌のシーンも最高に笑えますし、登場人物が皆まともでないという、ちょっと(かなり?)イカレた映画です。

以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『恋のエチュード』。

image68.jpgLES DEUX ANGLAISE ET UN CONTINENT』 (71年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン・グリュオー、フランソワ・トリュフォー
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ピエール・レオー(クロード・ロック)、キカ・マーカム(アン)、ステイシー・テンデター(ミュリエル)
132分、カラー

突然炎のごとく』と同じ原作者アンリ=ピエール・ロシェによるベストセラー小説を映画化したもの。
そのせいか設定やストーリーもどこか『突然炎のごとく』を彷彿とさせるところがありますが、個人的にはかの名作よりも尚一層強い印象の残った作品です。

ストーリーは19世紀末、フランス人青年とイギリス人姉妹との15年に及ぶ愛の軌跡を描いたもので、一言でいって三角関係モノですが、そこに描かれているのは現代の私達がどこか忘れがちな恋愛の純粋ともいえる歓喜と苦悩、そしてセックスの歓びと痛み…。
邦題からはもっとメルへンチックな物語を想像しがちですが、これはなんとも痛々しくも激しい愛の物語なのです。

時代背景を感じさせる美術や衣装、そして舞台となったイギリスの海辺の風景も美しく、音楽も実にロマンチックですし、自転車、ロウソク、手紙などトリュフォー作品に欠かせない小道具も大活躍。

871c7e3f.jpegキャストでは、その行動にちっとも感情移入できないのに存在感だけはしっかりあるジャン=ピエール・レオー演じるクロード。
そして何よりイギリス人姉妹ののアンとミリュエルを演じる二人、その周囲の女優陣も皆美しい。
特に姉妹役のキカ・マーカムステイシー・テンデターの2人は本当に素晴らしく、どちらがどうと言えない魅力があります。

トリュフォー自身によるナレーションも印象的で、優れた文学作品の読後感のような芳醇な味わいを得ることができる作品。
公開時は酷評され、商業的にも成功しなかった作品ですが、トリュフォー作品でどれか一つと言われたら、私はこの作品を挙げたいです。

以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『家庭』。

c71513f4.jpegDOMICILE CONJUGAL』 (70年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、クロード・ド・ジヴレー、ベルナール・ルヴォン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:アントワーヌ・ドゥワメル
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、クロード・ジャド(クリスチーヌ・ドワネル)、キョーコ・ヤマダ(松本弘子)
98分、カラー

夜霧の恋人たち』に続く、“ドワネルもの”第4弾。
アントワーヌとクリスチーヌは一見人も羨むような幸せな新婚夫婦…その結婚生活の様がコミカルに描かれています。

私は特に前半の明るさと楽しさが好きです。
2人の夫婦生活のみならず、アパート住人(変人だらけ!)の生活の様子も生き生きと描かれていて、それらのエピソードも楽しいの一言。彼らは中庭に面したアパートに住んでいますが、その舞台設定がいかにもフランス映画らしいというか、トリュフォーの映画らしく、その賑やかで明るい雰囲気が本当に魅力的なのです。

アパートの住人は、カフェの主人、外出嫌いの退役軍人、アントワーヌに言い寄る女、時間に厳しいオペラ歌手と、対照的に時間に愚図な妻、“絞殺魔”と呼ばれる男・・・。
それに、これはアパートの住人ではありませんが、『夜霧の恋人たち』でも出てきたアントワーヌの旧友で、会う度にアントワーヌから金を借りる“借金男”…。
そして、特別出演(?)のユロ氏・・・(残念ながらタチ本人ではない)。
いってみれば映画の役柄としては脇役の連中ばかりですが、彼らの存在感が大変面白く、この作品の大きな魅力なのです。

そして、肝心のドワネル夫妻。
映画の前半でアントワーヌは花の着色、クリスチーヌはヴァイオリンの教師をして生計を立てていますが、アントワーヌは例によって、仕事の方はイマイチ落ち着かず…。
いつまでたっても“大人”になりきれていないのは相変わらずで、日本人女性との浮気も火遊びなのかなんなのか自分でもよく分かってなさそう…。

一方、妻のクリスチーヌは堂々としたもの。
彼女を演じるクロード・ジャドが2年前の『夜霧の恋人たち』の頃に比べ、すっかり女らしくキレイになっているのにもビックリです。
アントワーヌの浮気相手となるキョーコ(松本弘子)の描写は少々滑稽で、これが当時のフランスにおける日本人女性の姿だとしたらちょっと寂しい気もします…。

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マサヤ
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男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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