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観てからちょっと時間が経ってしまったが、先日映画『ゲンスブールと女たち』をBunkamuraル・シネマで観てきた。(公式サイト)
『Gainsbourg, vie heroique』(2010年)
監督・脚本:ジョアン・スファール
撮影:ギョーム・シフマン
出演:エリック・エルモスニーノ、ルーシー・ゴードン、 レティシア・カスタ、ダグ・ジョーンズ
あのセルジュ・ゲンスブールの伝記映画であり、私自身フランス本国公開の前から関心があった映画であるが、それはゲンスブール本人を始めとする有名人たち(ジュリエット・グレコ、ボリス・ヴィアン、フランス・ギャル、ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキン等々)を現代の俳優たちがどのように演じているかという、ある種の物まね芸に対する興味が強かったせいかもしれない。
実際、ストーリーは一応伝記だから想像したものと大きく変わらなかったのだが、登場人物が実物にかなり似ており、本人たちにイメージを置き換えるという余計な想像力を駆使せずに済んだという意味では概ね合格だったといえる。
ジュリエット・グレコ、ボリス・ヴィアン役の俳優は似ているという点では今一つだが(グレコ役は先日観たシャブロル監督『甘い罠』のアナ・ムグラリス)、なんといっても、ゲンスブール役のエリック・エルモスニーノがびっくりするほどゲンスブールの形振りの癖をよく取っていて観る者を楽しませてくれたのが第一。
ただ、全編で登場するゲンスブールの分身のような奇妙なキャラクター、これは個人的には余計だった。
監督自身が漫画家であり、そこがこの映画の個性といってしまえばそうなのだろうが…。
また、肝心のゲンスブールの音楽の魅力がこの映画を通して観る者に十分に伝わるかといえば、必ずしもそうとは言いきれない気がした。
取り上げられている楽曲の使い方や数もどこか中途半端だし、あの個性的なヴォーカル・スタイルや圧倒的なまでの音楽の才能、センスといったゲンスブール独特の音楽スタイルがどのように世間に受け入れられて成功に至ったのかという点をもう少し丁寧に描いて欲しかった気がする。
その点が丁寧に描かれていれば結果的にゲンスブールがさまざまな女性たちを虜にした理由がより明瞭になったのではないだろうか。
もっとも、そういった点はフランス本国では言わずもがなということで端折られたのかもしれない。
故クロード・シャブロル監督がレコード会社の製作者?役でちょっとだけ登場したのがサプライズとして嬉しかった。
ちなみに、ゲンスブールの音楽の魅力、ビジュアルや人となりを味わうには、最近再発された二種のDVDがその音楽活動をほぼ網羅しており、やはり最高だ。
例のオークションのシーンなど、映画と全く同じような映像もあって楽しめる。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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