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TOHOシネマズシャンテで開催されているゴダール映画祭2010で『右側に気をつけろ』を観てきました。

右側に気をつけろ』『SOIGNE TA DROITE』(87年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール  
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ 
音楽:レ・リタ・ミツコ
出演:ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・ペリエ、ジャック・ヴィルレ、ジェーン・バーキン

たぶん初見。
もしかしたら以前DVDで観たかもしれない。(『勝手に逃げろ/人生』あたりと混同しているかも)

それはともかく、これは傑作
もちろんこの時代のゴダール映画だから、ストーリーを追う映画ではない。
が、例によっての映像の洪水、音の洪水、言葉の洪水…が只ならぬ密度の濃さと説得力を備えており、その充実ぶりは60年代の諸作にも劣らない。

名優フランソワ・ペリエ(『サムライ』『仁義』)、ジェーン・バーキンら有名俳優も出演しているが、出番は多くなく、役柄もよくわからない。
本筋?と並行する形でレ・リタ・ミツコの音楽が制作されてゆく過程が捉えられているが、その音楽の魅力で飽きさせない。

結局、今回のゴダール映画祭で観れた作品は『フォーエヴァー・モーツァルト』と『右側に気をつけろ』の2本だけでしたが、80年代以降のゴダール映画の面白さを再認識した感があり、個人的にはその点が大きな収穫。

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TOHOシネマズシャンテで開催されているゴダール映画祭2010で『フォーエヴァー・モーツァルト』を観てきました。

フォーエヴァー・モーツァルト』『FOR EVER MOZART』(96年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:クリストフ・ポロック
音楽:ケティル・ビョルンスタ、デイヴィッド・ダーリング他


初見。
96年の作品ということで、観る前からある程度想像はできたのですが、やはりゴダールらしい難解さが全編を覆った映画です。
タイトルのわりに、モーツァルトを主題とした映画でもありません。(最後にちょっとだけモーツァルトの音楽が登場)
そこはまあ、何か深い意味があるのでしょうが。

しかし、決して観る者を突き放している映画という印象はありません。
ところどころにえにも言われぬ美しい絵が潜んでいます。
(おそらくは)無名の俳優たちもどこか妙に味があります。
映画の展開はかなり強引な印象ですが、その映像の説得力はやはり大したものです。

こんな無茶苦茶な映画、ゴダールが監督じゃなかったら観なかったろうな…と観ている間中感じていましたが、考えてみれば、ゴダール以外の誰がこんな凄い映画を撮れるでしょう?
決して好きな映画というわけではありませんが、映画の出来そのものには圧倒された、そんな気分です。

ジャン=リュック・ゴダール監督の『はなればなれに』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想。

55ff9bce.gifBANDE A PART』(64年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール 
原作:ドロレス・ヒッチェンズ   
撮影:ラウール・クタール 
音楽:ミシェル・ルグラン 
出演:アンナ・カリーナ、サミー・フレイ、クロード・ブラッスール、ルイーザ・コルペイン

再見。
これはDVDも持ってますし、スクリーンでも観たこともある、ゴダール作品の中でも特に好きな作品の一つ
久々に観直しましたが、やっぱり良かったです。

DVDの解説によれば、原題は『はずれた一味』という意味。
犯罪と恋愛を絡めた三角関係モノで、ゴダールにしてはストーリーがシンプルですが、印象に残るシーンといったら、マディソン・ダンスのシーン(アンナ・カリーナの振付)、一分間沈黙するシーン、地下鉄のシーン、アルチュールの叔父との乱闘シーン、ルーヴル美術館を全力疾走するシーン等々、実はストーリーにはあまり関連のないシーンばかり。
主演の三人が皆魅力的ですし、また、その関係のバランス感覚が絶妙。

アルチュール役のクロード・ブラッスールはあの名優ピエール・ブラッスール(『天井桟敷の人々』『リラの門』)の息子で、初めて観た時はなんかもっさりしたアンチャンだな、と思ったものですが、じっくり観ると、実はなんとも味のある魅力的な俳優ですね。

フランツ(サミー・フレイ)の方が分かりやすい二枚目なので、映画の中でオディール(アンナ・カリーナ)がアルチュール(クロード・ブラッスール)の方に惹かれる理由が初めはわからなかったのですが、今回ようやく分かった気がしました。
それにしても、あのロベール・アンリコ監督の『冒険者たち』(67)もそうですが、どうしてフランス映画の女性たちは二枚目よりももっさり系の方になびいてしまうんでしょうか…。

それはともかく、サミー・フレイも魅力的であることには違いなく、黒のソフト帽にベージュのステンカラーコートというファッションがいかにも犯罪モノに合っていて魅力的でした。
ダブルのスーツの着こなしも様になってカッコいい。

そして、やっぱりアンナ・カリーナですね。
この人は表情の作り方が実に上手いですよ、ほんと。

それにしても、この映画のミシェル・ルグランの音楽は素晴らしい。
オルガンとかギター、ドラムの使い方なんか最高です。

オープニング・クレジットのミシェル・ルグランの名前のところに“最後の映画音楽”という文字が出ますが、事実、ゴダールとルグランのコラボはこの後に短編ではいくつか続きますが、長編ではこれをもって打ち切りとなるわけです。

山田宏一著『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(ワイズ出版)には、当時ハリウッド進出で多忙を極めたルグランが、ゴダールに条件(ギャラ)の見直しを求めたのが件の一文(“最後の映画音楽”)の原因ではないかという関係者の証言が紹介されていますが、真相は藪の中です。

ところで、カフェのシーンで、トイレでメイクをしているのはシャンタル・ゴヤ(『男性・女性』)ですよねぇ?
他にもワンシーンどこか出ていたような気が。

ジャン=リュック・ゴダール監督の『男性・女性』を国内盤DVD(ギャガ・コミュニケーションズ)で観た感想。

MASCULIN FEMININ』(65年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール 
撮影:ウィリー・クラン 
音楽:フランシス・レイ 
出演: ジャン=ピエール・レオー、シャンタル・ゴヤ、マルレーヌ・ジョベール、カトリーヌ=イザベル・デュポール、ミシェル・ドゥボール、ブリジット・バルドー、フランソワーズ・アルディ 
 
  
再見。
ゴダールでは『気狂いピエロ』と『メイド・イン・USA』の間のモノクロ作品となる。
この作品を観るのは今回で3回目くらいだが、正直言って、以前観た時はつまらないという印象しか残らなかった。
ところが、今回観直してみて、意外なほど楽しめた。
ほとんど期待しないで観始めたせいだろうか。

確かに男女間の会話がほとんどの内容で100分あまりの長さは冗長な感は否めないのだが、パリのロケ撮影の生々しさと出演俳優たちの若々しさが相俟って、なんとも惹きつけられたのである。
撮影が珍しく盟友ラウル・クタールではなくウィリー・クランなのだが、これが決して作品の弱点にはなっていない。
それどころか、ドキュメンタリー・タッチでパリの表情を切り取った映像は大変魅力的だった。

主演のジャン=ピエール・レオーシャンタル・ゴヤもいい。
この映画においても、やはりジャン=ピエール・レオーはいつものジャン=ピエール・レオーであり、その意味において彼らしいとしか言いようのない役柄だが、ここまでイキイキと(彼自身?を)演じ切っていると観ていて気持ちいい。
ジャン=ピエール・レオーといえば、どうしてもトリュフォー作品のイメージの方が強いわけだが、(『メイド・イン・USA』『中国女』等、他のゴダール作品の印象も含め)ゴダール作品との相性は良いと思う。

ヒロインのシャンタル・ゴヤはアップになると意外なほど角張った顔立ちなのが気になるが、可憐さは申し分ない。
アンナ・カリーナの不在を物足りなく感じさせないだけでも上出来である。

そして、今回観ていて初めてマルレーヌ・ジョベール(『最後のアドレス』『雨の訪問者』のヒロイン)がこの映画に出ていることに気付いた。
あまり目立つ役ではないが、常にシャンタル・ゴヤに寄り添っている関係はどことなくレズビアンの匂いが漂っている。

また、レオーの友人役のミシェル・ドゥボールがいい。
映画の冒頭でのカフェのシーンにおけるレオーとのやり取りもいいが、カトリーヌ=イザベル・デュポールを口説いている時のニヤついた表情が最高。

ところで、山田宏一著『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(ワイズ出版)によれば、

ゴダールの「政治の季節」がはじまるのは『男性・女性』からである。(327p)

ということで、実際、この後のゴダールの映画の内容はどんどん政治的になってゆくわけだが、この作品は政治的な色合いは確かにあるものの、それ一辺倒というわけではなく、まだなんとか気にせずに観ていられるレベルだと思う。

3f2a33cf.jpeg今月刊行されたばかりの本『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(山田宏一著、和田誠・絵、装丁、ワイズ出版)を購入しました。
ちょうど『軽蔑』のところまで読んだところです。

題名の通り、アンナ・カリーナが主演した時代のゴダール作品(『勝手にしやがれ』から『ウィークエンド』まで)が取り上げられている本ですが、アンナ・カリーナの主演作以外の作品も含めて論じられているのが特徴。
よって、『カラビニエ』『軽蔑』『男性・女性』『中国女』といったようなアンナ・カリーナが主演していないゴダール作品も取り上げられています。

個人的には、今さらゴダール?という思いも正直ありましたし、税込2940円という、決して安くはない価格に躊躇したのは確かなのですが、冒頭のアンナ・カリーナのインタビューを読み始めてすぐに、この本は全然高くない!と感じましたね。
それくらい面白いし、作品論の内容も大変な労作。
ゴダール作品はしばらく観ていませんが、また観直したくなりました。

中には驚くべき新事実?も。

アルベルト・モラヴィア原作の『侮蔑』は、ゴダール監督、ミシェル・ピコリブリジット・バルドー主演で『軽蔑』として映画化されましたが(63年)、ゴダールが監督に決まる前はジャン=ピエール・メルヴィル監督がジャン=ポール・ベルモンド、ジャンヌ・モロー主演で映画化する予定があったということです。
また、ゴダールは初めはフランク・シナトラキム・ノヴァク主演で撮りたかったのだとか…。

他にも初めて知る事実が多々あり、この先読み進めるのが楽しみな本です。

ジャン=リュック・ゴダール監督の『気狂いピエロ』を国内盤DVDにて観た感想。

PIERROT LE FOU』(65年)
監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
音楽:アントワーヌ・デュアメル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ、グラツィエラ・ガルヴァーニ、ダーク・サンダース、ジミー・カルービ、サミュエル・フラー

 
再見。
ずっと観直したかった作品。
これまで何度か途中で睡魔によって挫折しましたが、今回ようやく初志(?)貫徹。
しかし、観終わった後の印象は『やれやれ…』。
見直してみて、改めて思いましたが、正直なところあまり好きな作品ではありません。
ゴダールらしい強烈な色彩感覚等に魅力を感じることもまた事実ですが、それでも、やはり私には退屈なシーンが多い。
好きな人には楽しめるのでしょうが…。
このあたりがゴダールとの相性の悪さなのかもしれません。

アンナ・カリーナはさすがに魅力的ですが、ジャン=ポール・ベルモンドはどこか醒めて演じているように感じられるところもありました。

ジャン=リュック・ゴダール監督の『ゴダールのマリア』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。

image40.jpgマリーの本
LE LIVRE DE MARIE』(84年)
監督・脚本:アンヌ=マリー・ミエヴィル
撮影:ジャン=ベルナール・ムヌー、カロリーヌ・シャンプティエ、ジャック・フィルマン、イヴァン・ニクラス
楽曲:ショパン、マーラー
出演:ブルーノ・クレメール(父親)、オロール・クレマン(母親)、レベッカ・ハントン(マリー)

d7905ea3.jpegゴダールのマリア
JE VOUS SALUE, MARIE』(84年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ジャン=ベルナール・ムヌー、ジャック・フィルマン
楽曲:バッハ、ドヴォルザーク
演:ミリエム・ルーセル(マリー)、ティエリー・ロード(ジョゼフ)、フィリップ・ラコスト(ガブリエル)、ジュリエット・ビノシュ(ジュリエット)

『ゴダールのマリア』という映画作品は、その序篇ともいえる『マリーの本』(アンヌ=マリー・ミエヴィル監督。28分)と『ゴダールのマリア』(ジャン=リュック・ゴダール監督。80分)の2本合わせて一作品という捉え方のようです。
『マリーの本』の監督アンヌ=マリー・ミエヴィルは、この時代の(現在も?)ゴダールの公私共にパートナーだとのこと。

処女懐胎をテーマとした『マリア』は当時それなりに話題になり、物議を醸した作品のようです。
映画のトーンはこの2作品共に近く、陰気臭いところなどそっくりです。
ストーリー的な面白さを追ってもしょうがないのはいつものゴダール作品の通り。
80年代以降のゴダール作品ではましな方だとはいえ、一言で言うとあまり面白くありません。
空気も重苦しく、この作品を観終わった後は爽快なハリウッド映画を観たくなります(笑)。
cb6488e8.jpegしかし、映像美としてそれなりに見ごたえはあるのは事実。
とりわけ、マリー役を演じたミリエム・ルーセルが魅力的でした。

クラシック音楽の使い方がどちらも上手く、『マリーの本』ではマーラーの第9交響曲(第4楽章)が、『ゴダールのマリア』ではバッハの諸作(マタイ受難曲の終曲など)やドヴォルザークのチェロ協奏曲(たぶん)が効果的に使われています。

『マリーの本』で母親役を演じているオロール・クレマンは、やけに見覚えのある顔だなと思って観ていましたが、調べてみましたら、『エル・スール』や『パリ、テキサス』に出ている女優でした。
『マリア』には若き日のジュリエット・ビノシュがチョイ役で出演しています。

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テンプレ作った人:おみそ
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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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