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アンリ・ヴェルヌイユ監督の『太陽の下の10万ドル』を国内盤DVDで観た感想です。

CENT MILLE DOLLARS AU SOLEIL』(64年)
image42.jpg監督:アンリ・ヴェルヌイユ 
脚本:マルセル・ジュリアン、アンリ・ヴェルヌイユ 
撮影:マルセル・グリニヨン 
音楽:ジョルジュ・ドルリュー 
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、リノ・ヴァンチュラ、レジナルド・ケルナン、ゲルト・フレーベ、アンドレア・パリジ、ベルナール・ブリエ

再見。
北アフリカを舞台に、トラック野郎たちの争いを描いた作品で、かなり面白いアクションもの。
ミステリアスなサスペンスタッチとコメディタッチが隠し味としてうまく効いており、こういった娯楽性の高い作品を撮らせると、アンリ・ヴェルヌイユ監督は職人的な巧さを見せますね。
ラストは少々強引ですが…。
ロードムーヴィー的な内容は、どことなく、あの『恐怖の報酬』を思い起こさせる部分もあります。
 

image45.jpgストーリー的には、逃げるジャン=ポール・ベルモンドよりも、追うリノ・ヴァンチュラレジナルド・ケルナンの絡みの方が面白い。
彼らのキャラクターも役柄にピッタリでした。

他にも、ベルナール・ブリエの狂言廻し的存在感が光ります。
ベルモンドの相手役を務めた女優のアンドレア・パリジーは、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』(83年)にも出演しているようです。
ジョルジュ・ドルリューの音楽も映画によく合っていて良かったですね。

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アンリ・ヴェルヌイユ監督の『冬の猿』を国内盤DVD(東北新社盤)で観た感想です。

98eca00e.jpegUN SINGE EN HIVER』(62年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:アントワーヌ・ブロンダン
脚色:フランソワ・ボワイエ
台詞:ミシェル・オーディアール
撮影:ルイ・パージュ
音楽:ミシェル・マーニュ
出演:ジャン・ギャバン、ジャン=ポール・ベルモンド、シュザンヌ・フロン、ガブリエル・ドルジア、ポール・フランクール
 
2度目の鑑賞。
ずっと観直したかった作品の一つ。
意外にもギャバン、ベルモンド唯一の共演作となった作品で、この二人が出ているせいでしょうか、たまに、“フィルム・ノワール”に分類されることもある作品ですが、実際は全くそういった要素は感じられず、同じアンリ・ヴェルヌイユ監督の『ヘッドライト』(55)あたりと共通するような、いかにもフランス映画らしい風情のあるいい作品だと思います。

ストーリー的には特にどうってことないのですが、なんといっても主演の二人が素晴らしい。
二人の酔っ払いぶりも最高で、とにかく彼らの一挙手一投足が魅力的な作品です。
ギャバンもこの作品でのベルモンドの演技を絶賛していたらしく、二人の共演がこの作品だけになってしまったのは意外でもあり、また、いかにも残念な気がします。
また、ギャバンの妻役のシュザンヌ・フロンも魅力的で素晴らしい。

舞台となった冬のノルマンディーの海辺の風景も印象的。
ミシェル・マーニュの音楽も印象的ですし、さり気ないラストも好み。

アンリ・ヴェルヌイユ監督の『シシリアン』を国内盤DVDで観た感想です。

image148.gifLE CLAN DES SICILIENS』 (69年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:オーギュスト・ル・ブルトン
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ、アンリ・ヴェルヌイユ、ピエール・ペルグリ
撮影:アンリ・ドカ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、イリナ・デミック

この作品、以前観た時はレンタル・ビデオでしたが、それはオリジナルのフランス語音声だったような気がします。(確信なし)
今回観た国内盤DVDは、オリジナルのフランス語音声ではなく、英語音声なので、ギャバン、ドロン、ヴァンチュラが英語でセリフをしゃべるという妙なことになっています。
この作品のDVDは、DVD化以前から切望していましたが、発売前に英語音声であることが分かったのでしばらく買う気になりませんでした。(当DVDには日本語の吹き替えも収録されていますが、未聴です)
先日、某中古店で安く売られていたのでようやく購入しましたが、英語音声であることは分かっているので、その点をできる限り気にしないように、期待半分で観始めました。

とはいえ、観始めると、やはり英語には違和感があります。
英語音声であることにとりわけ違和感が強いのはリノ・ヴァンチュラです。
声も明らかに別人の吹き替えでしょう。
ヴァンチュラのあの渋い声が聞けないのは残念です。
ギャバンの英語は別人かどうか判断がつかないくらい本人に近い声で、ヴァンチュラほどの違和感は感じません。
ドロンの英語はおそらく本人でしょう。
実際、ギャバンとドロンはハリウッド映画に出ていた経験がありますから、本人の英語であっても不思議ではありません。

と、いきなり作品の内容、ストーリーよりも音声に関することばかり書き連ねてしまいましたが、このフランス三大スターが揃った唯一の大作が英語音声というのは、どうしても納得いかないからです。
ただ、英語のセリフに口の動きがよく合っているようにも感じましたので、英語での配給をもともと念頭に置いて撮影されたのかもしれません。
アメリカ資本が入った映画なので(20世紀フォックス配給)、この点は仕方なかったのかもしれません。
作品の面白さは改めて言うまでもありませんし、国内盤DVDの画質もとてもキレイでしたから、フランス語音声にこだわらない方にはこのDVDは自信を持ってオススメできます。

image149.gifフレンチ・ノワールを代表する三人の名優が出演したこの映画の原作者は、あの『男の争い』(ジュールス・ダッシン監督)の原作者であり、メルヴィルの『賭博師ボブ』の台詞も担当していた、あのオーギュスト・ル・ブルトン
脚本にはジョゼ・ジョヴァンニが加わり、また、撮影にアンリ・ドカというフレンチ・ノワールを支えた豪華なスタッフが揃っています。
事実、フィルム・ノワールの大作との世評も高い作品ですが、改めて観ますと、フィルム・ノワール的な雰囲気や緊張感は希薄に感じます。
夜の場面がほとんどないせいでしょうか。
もっとも、脚本を担当した(共同)ジョゼ・ジョヴァンニは、監督のアンリ・ヴェルヌイユが勝手に脚本を変えてしまうので、大いに不満だったそうです。
そのことで20世紀フォックスを通じて抗議したが、受け入れられなかったとのこと。
エンニオ・モリコーネの音楽もアクション映画風で、ノワール的ではありません。
ただ、これはこれで映画にはよく合っており、音楽そのものも魅力的です。(私はサントラCDも持ってます)

豪華なメンツが揃ったキャストでは、アラン・ドロンの二枚目ぶりが際立っています。
髪を振り乱してのアクションシーンの数々は大きな見もの。
リノ・ヴァンチュラ演じる刑事の禁煙のエピソードは、ユーモラスなタッチを作品に加えています。
そして、この二人を向こうにまわしても、ジャン・ギャバンの重厚な存在感はやはり凄い。
旧友のトニーと空港で待ち合わせするシーンや、二つに破ったお札が一致するエピソードなど、印象的でした。
ギャバンとヴァンチュラによるラストシーンはいかにもフランス映画的で堪能できましたが、名優三人並び立つ場面が一つもないのは、やはり残念です。

他には、ジャンヌ役のイリナ・デミックの色気や下世話な感じも良かったですし、メルヴィルの『リスボン特急』で冒頭の銀行強盗のシーンで行員に撃たれるギャングを演じていたアンドレ・プッスが、『シシリアン』では偽造パスポート用のカメラマン役で出ています。(ヴァンチュラに殴られる役)
あと、『サムライ』のピアニスト役だったカティ・ロジェが、この作品では、NYのドロンの部屋に飾られた大きなポスターにて登場しています。
そのポスター自体はストーリーとは何の脈絡もないので、ドロンが絡んでいる点からも、『サムライ』へのオマージュと受け取れないこともありませんが、どうなのでしょうか。

アンリ・ヴェルヌイユ監督の『追悼のメロディ』をユニバーサル盤DVDで観たのでその感想。

image134.gifLe Corps de Mon Ennemi』(77年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
脚本:アンリ・ヴェルヌイユ、ミシェル・オーディアール、フェリシアン・マルソー
撮影:ジャン・パンゼル
音楽:フランシス・レイ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、マリー=フランス・ピジェ、ベルナール・ブリエ

ジャン=ポール・ベルモンド主演の復讐サスペンスの名作!”とDVDのパッケージには記されている。
観た感じとしては、正直言って、傑作とか名作という形容はできかねるが、それなりに楽しめる作品であることは確か。
DVDの画質も良いと思う。

無実の罪で服役したベルモンドが、7年の刑期を終え出所するところから物語は始まるのだが、さまざまな時系が錯そうするので少々分かりにくい。
私の理解不足かもしれないが、一度観ただけでは意味不明の登場人物も何人かいるし、サスペンスという割には緊張感が今一つ。
復讐というには怒りとか恨みとか行動を駆り立てる感情的な原動力が必要だと思われるが、ベルモンド演じる主人公のクールなキャラクターからはその感情はあまり伝わってこない。
まあ、そういう側面を前面に出そうという気がそもそもないのだろうけど。

それにしても、この邦題は映画の内容からいっても意味不明。

77年の作品ということで、ベルモンドも少々老けた感も無くは無いが、さすがにまだまだ魅力的。
マリー=フランス・ピジェも彼女らしい役柄で好演。
ベルナール・ブリエは今一つキャラクターが伝わってこないが、これは脚本のせいか。
他には、ジャン・パンゼの撮影も良く、また、フランシス・レイの音楽も印象的である。

image78.gifところで『地下室のメロディー』には、主に端役でメルヴィル作品に関係する俳優が数多く出演しています。
以前HPのBBSにいただいた情報を元に、どんな人たちがどんな役で出演しているのかまとめてみます。

●『賭博師ボブ』ジャン役のクロード・セルヴァル警察署長
●『いぬ』バーテンダー役のシャルル・ブイヨー旅行客
●『ギャング』ルイ・バルテル役のシルヴァン・レヴィニャック列車の乗客
●『サムライ』ジェフのアパートの隣人役、『仁義』ビリヤード場の管理人役のエドワール・フランコムマルセル
●『サムライ』ナイトクラブの客役のジョルジュ・ビリー列車の乗客
●『サムライ』でジェフを犯人だと断定するナイトクラブの客役のジャン・ゴールドレストランの給仕長
●『サムライ』ナイトクラブの客役、『影の軍隊』ドゴール将軍役のアドリアン・カイラ=ルグランカジノ使用人役
●『仁義』看守役ピエール・コレカミーユ

もしかしたら、まだまだいるかもしれません。
ちなみに、以前も紹介したことですが、『地下室のメロディー』の編集を担当したフランソワーズ・ボノは、メルヴィル作品の多くの編集を担当したモニーク・ボノの娘であり、『影の軍隊』の編集も担当しています。
そして、監督アンリ・ヴェルヌイユの奥さんでもありました。

image77.gifこの名作を久々に観直しました。

Melodies En Sous-Sol』(63年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
原作:ジョン・トリニアン
脚本:アンリ・ヴェルヌイユ、アルベール・シナモン、ミシェル・オーディアール
撮影:ルイ・パージュ
音楽:ミシェル・マーニュ
助監督:クロード・ピノトー
出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー、カルラ・マルリエ

前回観たのはレンタル・ビデオのカラー版だったかと思います。
今回は紀伊国屋書店から発売されているモノクロ版DVDで観ました。
結果としては、全くカラーである必要性を感じませんでしたので、やはり、この作品はモノクロで味わいたいと改めて思いました。

この映画に関しては、結末を知っていると面白さが半減するような思いもありましたが、やはりというべきか、それでも面白かったです。
かえって、ストーリー以外の部分も集中して観ることができたかもしれません。

image76.gifそれと、今回観て改めて気づいたことですが、映画前半のジャン・ギャバンとヴィヴィアーヌ・ロマンスの夫婦の場面が実に良いんですよね。
ギャバンにいかにも出所後というような風情がありますし、それを淡々として受け止める妻のヴィヴィアーヌ・ロマンスに、中年夫婦のなんとも言えない腐れ縁的信頼感(?)が感じられて良かったです。

ヴィヴィアーヌ・ロマンスはデュヴィヴィエ監督の『地の果てを行く』(35)『我等の仲間』(36)でもギャバンと共演しているとか…年代からいっても、おそらくその頃の彼女はこの映画とは印象が全然違うと思われるのでどんな役柄だったか思い出せないんですが、またいずれ確認してみたいと思います。
それにしても、この映画の彼女は色気があって良いと思います。

それでこの映画、中盤から後半にかけては完全にドロンの映画なんですね。
ちょっと品のない、ギラギラした野心を感じさせるチンピラ風情を実に巧みに演じています。
ただ、前回観た時も感じたのですが、恋人役のカルラ・マルリエにもう一つ存在感がないので、ドロンとの二人のシーンがどうも物足りなく感じます。
一方で、ギャバンとドロンの共演シーンは、二人の関係が素のような自然さでいい感じ。
ギャバンが目を剥き出しにしながらドロンに文句を言う姿を観るだけでもう満足です。
また、ドロンの義理の兄役を演じるモーリス・ビローも、いかにもそれらしい良い味を出してます。

image75.gifミシェル・マーニュの音楽はお馴染みの名曲ですが、とりわけラストシーンでの使われ方がサスペンス感を盛り上げていて見事ですね。

そして、そのラストシーンは、やっぱり何度観ても衝撃的です。
音楽も含め、演出の見事さは言うまでもありませんが、今回、ドロン、ギャバンの抑えた演技が素晴らしいと改めて思いました。

あと、この作品へのメルヴィル関連の出演者に関しては次回取り上げてみたいと思います。

ダンケルク』(『WEEK-END A ZUYDCOOTE』)を観ました。
64年のフランス=イタリア合作映画。
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、カトリーヌ・スパーク、フランソワ・ペリエ
撮影:アンリ・ドカ
音楽:モーリス・ジャール

第二次大戦初期の英仏軍によるダンケルク撤退作戦の様子を描いた作品。
原題は『ズイドコートの週末』の意で、1940年の6月1日(土)と2日(日)の二日間の出来事を描いた映画です。

image43.gif戦争映画とはいっても、英仏軍は空からのドイツ軍の攻撃を頭上に受けて右往左往するだけ。
全篇を通して、ベルモンド演じるマイア軍曹の周囲の人間関係だけが描かれているので、邦題から想像しそうな勇壮な戦闘シーンは全くと言ってよいほどありません。
そういう意味では異色の戦争映画と言えるのではないでしょうか。

ドイツ軍による爆撃シーンなどは、昨今のCG技術全盛の映画に比べたら大したことないのかもしれませんが、逆に、だからこそ、作り物でない本物の迫力を感じます。
撮影も相当大変だったようで、爆撃による波飛沫がキャメラを激しく洗う様は圧巻です。

ジャン=ポール・ベルモンドがほぼ出ずっぱりで、彼の魅力に負うところ大の作品なのですが、アンリ・ヴェルヌイユ監督は、作品に程よいエンターテインメント性を交えつつ、戦場を舞台とした人々の悲喜劇を、あくまで淡々と見せます。
ところどころにユーモアも効いており、ベルモンドの飄々とした持ち味が活きています。
先に述べたアンリ・ドカによる迫真の映像も迫力満点で、彼らしい映像美が楽しめる映画ですし、全篇を覆うモーリス・ジャールの音楽も不思議な味わいがあります。

image44.gifヒロインのジャンヌを演じるカトリーヌ・スパークは確かに美しいものの、存在感としては今一つかな。
出番は少ないものの、マリー・デュボワがイギリス兵のフランス人妻役で出演しています。
また、メルヴィルの『影の軍隊』でビゾン役を演じているクリスチャン・バルビエが、ジャンヌをレイプする二人組の内の一人として出演しています。

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テンプレ作った人:おみそ
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HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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