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『サムライ』といえばアラン・ドロンのソフト帽にトレンチコート姿の印象が大変強いのではないでしょうか。
実際、ドロンが『サムライ』でトレンチコートを着ていたシーンは、殺し屋に陸橋の上で銃撃されるまでの映画前半だけなのですが、なにか映画の中でずっと着ていたような強い印象すら残ります。
今回は、『サムライ』におけるアラン・ドロンのトレンチコートの着こなしや、その特徴を中心にメルヴィル作品におけるトレンチコートの特徴などについて述べてみたいと思います。
専門用語も使いますが、それについては、アクアスキュータムのページ(リンク)を参考になさるとよろしいかと思います。
最近はシングル・タイプのトレンチも街角でよく見かけますが、メルヴィル作品に登場するのはまずほとんどがダブルのタイプのものです。
もちろん、ダブルの方が主流といいますか、本流でしょう。
トレンチコートの特徴の一つに、ベルトが挙げられると思いますが、登場人物たちはきちんとベルトを留めています。
当然のことながら、最近街でよく見かける、後ろでベルトを結ぶような変則的(?)なことはしません。
エポーレット(肩章)もトレンチの特徴の一つですが、例えば、アラン・ドロンは『サムライ』ではエポーレットのある伝統的なタイプ、『仁義』ではエポーレットのないタイプのものを着ています。
両作品でのソフト帽の有無も含め、おそらくは役柄のイメージの重複を避けたためでしょう。
素材はおそらく、綿100%、ないしは、綿ポリ混のものと思われます。
画像でお分かりだと思いますが、『仁義』で着用していたものは『サムライ』のものに比べ少しヨレっとしており、綿ポリ混の可能性が高いでしょう。
着る人が着ると、このヨレっとした感じがまた格好良いのですけどね。
ところで、トレンチコートで有名なところでは、バーバリー、アクアスキュータム製のものが有名です。(ハンフリー・ボガートがアクアスキュータム製のものを愛用していたのは有名)
デザインもこの二つのブランドのものが完成形と言ってよく、実物を見ても、他のブランドのものとは桁違いの、問答無用の貫禄、オーラがあります。(それだけに値も張りますが)
実際のところ、メルヴィル作品に出てくるトレンチコートのブランドはどこが多かったのでしょうか?
インナーのチェック模様によって、ハッキリ識別できたものは次のもの。
●『サムライ』ジャック・ルロワ着用(バーバリー)
●『リスボン特急』リチャード・クレンナ着用(アクアスキュータム)、マイケル・コンラッド着用(バーバリー)
そして、『サムライ』におけるアラン・ドロンです。
『サムライ』においてアラン・ドロンが着ているトレンチコートは極めて伝統的なデザインのもので、我々がトレンチコートに持っているイメージに非常に近いものです。
襟は立てられ、ベルトももちろんきちんと締められています。
全体のシルエットは細めであり、着丈は膝丈ぐらいでどちらかというと短めに感じられます。(これはドロンの高い身長のせいもあるかもしれません)
見た目、ダブついた感じがなく、体によく合っていると思います。
『サムライ』でドロンが着用していたトレンチはどこのブランドのものだったのでしょう?
たいていインナーのチェック模様で判別できるのですが、ちょうど取り調べの最中に他の容疑者とコートを取り替えるシーンでインナーの模様が映るシーンがあります。
残念ながら、インナーのチェック模様ではどこのものかハッキリ判別できませんが、デザインを検証する限り、ズバリ、アクアスキュータム製のものである可能性が極めて高いと私は思っています。
その理由は以下の通り。
近年のアクアスキュータムのトレンチコートはどういうわけかガンフラップが大きく、第2ボタンにかかるくらい下にきてしまっていますが(↑で紹介したアクアスキュータムのページのものもそうです)、昔のアクアスキュータムのトレンチコートは、ガンフラップは小さかったのです。
『リスボン特急』でのリチャード・クレンナ着用のアクアスキュータムのトレンチを参考。
●襟(後ろ)部分についているスロートタブがボタン留めになっている点。
例えばバーバリー製のものはスロートタブがストラップ留めになっています。
ボタン留めになっているのはアクアスキュータムのトレンチコートの特徴の一つです。
●左右のストームポケットに、ボタンが上下二つある点。
上の部分と下の部分に二つボタンがあるのはアクアスキュータムのトレンチコートの特徴の一つです。
●背翼がまっすぐ横一直線になっていること。
この点もアクアスキュータム製トレンチコートの特徴の一つ。
例えばバーバリーのものはなだらかにU字型を描いているものが多いです。
ただ、アクアスキュータムでは、一時的にアンブレラカットという傘の形を模したものが売られていたこともありました。(数年前に私が購入したものもそうです)
ちなみに、『いぬ』においてジャン=ポール・ベルモンドが着用していたトレンチはアクアスキュータム製ではないと思われますが、その背翼はアンブレラカットです。
また、このベルモンドのトレンチは、襟部分のスロートタブがストラップ留めになっていることが画像でお分かりいただけるでしょう。
このように、『サムライ』において、アラン・ドロンが着用していたトレンチコートは、エポーレット(肩章)やボタンの位置、形状など、他の部分もアクアスキュータム製トレンチコートの特徴と完全に一致しますので、その可能性は非常に高いと思います。
ただ、我々が知らないブランドだとかショップもパリには当然あるわけで、それ以外のブランドのものである可能性ももちろん否定はできません。
他に、『ギャング』のラストにおいてリノ・ヴァンチュラが着ていたトレンチコートもアクアスキュータム製のものと特徴が一致しますので、私はそうではないかとにらんでいます。
TBありがとうございました<(_ _)>
『サムライ』でのトレンチ画像も以前HPの方でご紹介してましたので
そちらの記事も合わせてTBさせていただきます
お書きになってますように『サムライ』でジェフがトレンチを着用していた時間は僅かだったんですよね・・・
でも、後半の黒のコートより印象に残ってるのは確かです
それだけ”決まっていた!”ということでしょうか
惚れ惚れ致します^^v
『仁義』でのラフな着こなしもそれなりにステキです
『リスボン・・・』ではR・クレンナ氏がトレンチを着用
本当にメルヴィル監督作品にはトレンチがたくさん登場いたしますね
前回の記事に監督のトレンチ姿追加していただきありがとうございます<(_ _)>
『地下室のメロディー』でのギャバン氏のトレンチ姿を何故か思い出してしまいました・・・
どちらも貫禄ありですね
奥が深いんですね。
ドロンはトレンチの前を開けて着てるイメージが
ずっと強かったんですが、数々の画像等を見ると
きっちり着込んでるですね。
どこでこんなイメージついたんだろ?
また自分なりに調べてみます。
『いぬ』のベルモンドの後姿の画像 アンブレラカットって
いうんですか。勉強になります。
こちらこそトラックバックありがとうございました。
メルヴィル作品にはホントにたくさんトレンチが登場しますので、まとめるのが大変ですが、とりわけ印象的なのが『サムライ』のドロン氏だと思います。
そういえば、ギャバン氏もトレンチよく似合いますね。
最近観た『筋金を入れろ』でも着ていました。
監督も含め、ちょっとふっくらした人のトレンチ姿も貫禄があって、また一興です。
トレンチは細かいところで相違があるので、意外と深いんですよね。
記事の内容がちょっと専門的になってしまったかなとも思います。
『サムライ』でのドロン氏は、前を開けているよりはあまり開けずに着てますね。
そこがまた格好良いのですが。
アンブレラカットのことは、以前雑誌で知りました。
そういわれてみれば、傘の形をしてますよね。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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