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岩波ホールでの『海の沈黙』の上映は既に終了しましたが、4月17日からは吉祥寺バウスシアターで上映されます。(11:00の1回のみ。23日まで)
http://www.baustheater.com/jikai.htm

岩波ホールでの上映を見逃した方は是非この機会に!

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3a7e0168.gifいよいよ2月20日から岩波ホールで上映される『海の沈黙』デジタル・リマスター版。
その公式サイトの存在はこのブログにてもお知らせ済みですが、その公式サイトの公式ブログがあり、そこに新たに全国上映館情報が発表されています。

「海の沈黙」「抵抗」公式Blog

これを見ますと、全国公開という看板に偽りなく、本当に全国のいろいろな場所で公開されるのでファンとしては嬉しい限りです。
日本ではこれまで幻の作品であった『海の沈黙』という作品の価値を知らしめる良い機会となるのではないでしょうか。

uminochinmoku.jpgメルヴィルの長編処女作『海の沈黙』(47)のデジタル・リマスター版が2月20日から東京・岩波ホールにて公開されるのはすでにHPでもお知らせ済みですが、その公式サイトを見つけましたのでご紹介します。(予告編も観られます)
http://www.crest-inter.co.jp/selection/

『海の沈黙』は今回これを契機にスタートする“岩波ホールセレクション”なる旧作上映の企画の一環として上映されるようです。
トップページでは“全国順次公開”と銘打っておりますので、いずれ東京以外でも公開されてゆくのではないでしょうか。
情報が分かり次第、このブログでもお知らせするつもりです。

日仏交流150周年を記念した映画祭『フランス映画の秘宝』が9月5日(金)から東京・有楽町朝日ホールで始まりました。

6日、私はジャン=ピエール・メルヴィル監督の『海の沈黙』(47)、クロード・シャブロル監督の『肉屋』(69)の二本を観てきました。
今日は主に『海の沈黙』について書こうと思います。

有楽町朝日ホールで映画を観るのは久々です。
前回は2004年のヴィスコンティ映画祭でした。
その時は『山猫』『若者のすべて』『異邦人』、あとタイトルは忘れましたが、短編を観たと思います。
700人以上入る、映画館としては、かなり大きなホールです。

今回観た二本は、どちらも当日券で観ましたが、朝10時半開始の『海の沈黙』も8割以上の入り、夜6時半開始の『肉屋』は9割以上の入りだったように感じました。
『海の沈黙』は、時間が時間なので、ガラガラも想像していましたが、この時間帯としては大健闘だったと言えるのではないでしょうか。

私の席は後方の真中ほど。
観やすかったですが、スクリーンは必ずしも大きくなく、音声も大きいとは言えないので、できることなら前方で観た方が良いかもしれません。

それにしても、日本初公開の『海の沈黙』に実際接することができ、感無量でした。
気になるプリントの状態は、悪くはなかったと思います。
全篇に渡って、英語字幕が画面下部に映り込んでしまっているのは残念ですが、向かって画面右縦に出る日本語字幕に集中すればそれほど気にならないでしょう。

私が感じた範囲内での欠陥としては、イーブルナックが、フランス文学について語る場面で、ほんの一部ですが、コマ飛びがあったようです。
また、一部で音声のトーンが変化するような場面があり、少々気にはなりました。

そして、この作品をスクリーンで観て、重苦しい緊張感の持続が全篇を蔽う様が実に見事な、大変な傑作だと改めて確信しました。
映画の後方で通奏低音のように始終鳴り響いているエドガー・ビショフ音楽も美しく効果的で、映像との絡み合いが素晴らしく、まるでオペラ映画であるかのような印象すら持ちました。

もちろん、照明が素晴らしいアンリ・ドカによる撮影の見事さも、言うまでもありません。
会場の観客は、おそらくは初めてこの作品を観た人が9割以上だったと思われますが、この作品に強く打たれたのではないでしょうか。

この作品は、12日(金)19:10にもう一度上映されます。

e88e9a0d.gif拙HPに『海の沈黙』のあらすじを書くため、先日久々にこの作品をビデオで観返したのですが、改めてこれは実に感慨深い映画だと感じました。

もちろん、ヴェルコールによる原作自体が優れた作品だということは忘れてはなりませんが、監督の演出、俳優の演技、カメラワーク、音楽の使い方の巧みさなど、どの点を取っても、一流の映画作品だと思います。

このような優れた映画が、誰の下にも付いたことのない素人同然の監督、無名の俳優、初の長編映画の撮影となった撮影監督(アンリ・ドカの長編映画デビュー作!)という、条件としてはとても恵まれているとは言えない中で撮られたというのは、今更ながら、驚くべきことではないでしょうか。

原作者のヴェルコールは映画化に反対でしたが、これらの悪条件を顧みれば、それも当然のことであったろうと思います。
先に挙げた悪条件の数々は、製作者でもあったメルヴィルが、予算不足から止む無く取らざるを得なかった措置なわけですが、結果として、手法的には、まさに後のヌーヴェル・ヴァーグに先んじた作品となったのです。

この映画は現段階では国内未公開作品ですが、過去に一度だけWOWOWにて放送されました。
私はWOWOWに加入したことはないので、当然、放映時は観ていませんが、さるお方のご好意で、そのビデオをコピーさせていただいたものを観ています。(感謝の一言!)

先年、英Masters of CinemaからもDVDが発売されており、さすがにDVDの画質はそれよりずっと優れていますが、日本語字幕で観られるコピー盤の方が、内容がダイレクトに伝わるので、観る回数が多いです。

f17408a7.gif映画は、ある男の元へ、別の男がカバンをさり気なく届けるシーンから始まります。
おそらくはどちらもレジスタンス活動家なのでしょう、ゲシュタポの目に付かぬよう、お互いに他人のふりをしながら、地下活動に重要な書類を届け、受け取る、という構図です。
カバンを受け取った男が中を見ると、分厚い新聞紙の束の下に『海の沈黙』の原作本が入れられている、というシーンから映画は始まるのです。

短いシーンながら、占領時代の重苦しい緊張感が見事に表現された、実に印象的なオープニングであり、レジスタンス活動家たちにとっての『海の沈黙』の原作本の意味を如実に示しているかのようです。

ファンの贔屓目かもしれませんが、もし、『海の沈黙』がもっと早い段階で日本で公開されていたならば、ジャン=ピエール・メルヴィルという監督の名声はさらに大きなものになっていたのではないでしょうか。
『海の沈黙』が、あのロベール・ブレッソンにも影響を与えたという事実は、ルイ・ノゲイラ著『サムライ』でも少し触れられていますが、この作品を観る限り、もし、これが日本で公開されていたら、このような意外とも思える事実も、むしろ、ごく当然のこととして捉えられていたのではないかと私には感じられます。

後年、フィルム・ノワールという犯罪映画の分野で確固たる地位と名声を築くことになるメルヴィルですが、監督としてのスタートで、このような文芸作品の見事な映画化を成し遂げていたことは多くの映画ファンに知られて欲しい事実です。
それだけに、この9月、映画祭『フランス映画の秘宝』において、『海の沈黙』が“日本初公開”されるのは、遅過ぎた感はありますが、画期的な出来事であると言えるでしょう。

HPの『海の沈黙』紹介のページ

『影の軍隊』のクライテリオン盤の発売が近づいてきましたが(5月15日発売)、そんな中、まさにビッグニュースが飛び込んできました。
『海の沈黙』の英盤DVD(Masters of Cinema)が6月25日に発売されます!
http://www.amazon.co.uk/Silence-mer-Masters-Cinema/dp/B000PFUBMM/ref=pd_rhf_p_1/202-9048980-7337417
リンク先の英アマゾンではすでに予約が始まっており、発売前に予約すれば25%オフで購入できます。
もちろん、私は予約しました。
リージョンフリーDVDプレーヤーを買った直後にこのニュースですからタイミング良過ぎです(笑)。

2bce235f.gif仏盤でなく、英盤というのも字幕の問題からするとありがたいことです。
仏盤では英語字幕がつかない可能性も高いですが、英盤ですと間違いなく英語字幕が付くはずだからです。
それにしても、この幻の名作のDVDが海外盤とはいえ発売されるとは、多くのメルヴィル・ファンにとってはたまらないでしょう。
日本では過去一度もソフト化されたことはなく、WOWOWでたった一度放送されただけのまさに“幻の”名作であるからです。
それだけに今後の日本盤DVDの発売も大いに期待したいところではあります。
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テンプレ作った人:おみそ
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プロフィール
HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
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