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クライテリオン盤DVD『サムライ』の特典映像に収録されているジャン=ピエール・メルヴィル監督のインタビューを翻訳して紹介する3回目(最終回)です。
メルヴィル 私が最も難しいと思うことは、性について描写することだな。
私は自分の映画で美徳を描いているんだ。
映画を検閲する立場からいえば、私は潔癖主義(ピューリタン)だよ。
いわば、それが質を持ち得る限りにおいては私は許容することができるんだよ。
問 あまりに多くの映画を観ることはあなたの映画製作の邪魔になりませんか?
メルヴィル いや、それは私の栄養なんだ。
それなしでは生きられないな。
一方で、32、33年前と比べると、最近はほとんど映画を観なくなったよ。
当時は、常に一日に5本は映画を観ていたからね。
5本から数が減ると、禁断症状になったものさ。
私は常に自宅に映写室があったから、夕食の後には、2本のアメリカ映画を観るのが日課だったんだ。
問 映画監督は難しいお仕事ですか?
メルヴィル とても、とてもとても難しい仕事だよ。
君も年齢を追うごとに、苦労するはずだし、キャリアを積んでくると、より大変になるはずさ。
この仕事で重要なことは、極めて健康であることだ。
この作品(『仁義』)や、昨年撮った『影の軍隊』のような作品を撮影することは恐ろしく難しいことだったよ。
誰よりも先にセットにいき、誰よりも後に去る、しかも、セットに居るすべての人を自分の後につき従わせるんだ。
実際に命令を発したり、“開始!”を叫ばなければならないんだからな。
問 やくざはあなたにとって何を象徴しているのですか?
メルヴィル 別に何と言うことはないよ。
彼らは哀れな負け犬さ。
でも、たまたまだが、やくざの物語は、アメリカの探偵小説から生まれた“フィルム・ノワール”という現代悲劇の特殊な表現形式にはとても適しているんだ。
柔軟性のあるジャンルなんだよ。
良きにしろ、悪しきにしろ、映画は表現したいことを何でも描くことができる。
だから、その人にとっての大事な物語・・・例えば、個人の自由、友情、または、人間関係について・・・を描くのはかなり容易い手段さ。
それらはつねに友好的とは限らないからね。
また、裏切りも・・・アメリカの犯罪小説の主要な要素の一つだが・・・そうだがね。
問 あなたは実際のやくざをご存知ですか?
メルヴィル ああ。何人かは知ってるよ。
でも、私の映画には、実際のやくざに似た人はいないよ。
私は長く汚いことに手を染めていない。
これまでの人生で全くないわけじゃないが、その時は恥じたよ。
午前3時に部屋に一人でいると、私は慎み深いだけでなく、謙虚になると君に請け負うよ。
私はリスクを犯すのが好きだ。
私の映画は時代の流行を追ったものでは決してないよ。
商業的であることは映画の本分だ。
何よりまず、映画は商品なんだからね。
観る者を楽しませる・・・それが芸術家としての誠実な視点だよ。
私は、私の映画を観終わったお客が映画館から出てゆくところを見るのが好きなんだ。
彼らが私の映画を理解したか否かは確信がないがね。
私は観た人をあれこれ思い巡らしておきたいんだ。
問 あなたは死について考えますか?
メルヴィル いいや。私は死に対しては全く無関心だ。
それがどんなものかはよく知ってるつもりだが、全く関心がないんだよ。
問 死はあなたの映画ではよく描かれるテーマですよね?
メルヴィル そうだよ。
確かに、死は今すぐにも、1分以内にも、2時間以内にも、6ヶ月以内にも起こり得るものだが、それはちっとも重要じゃないのさ。
メルヴィル監督へのインタビュー翻訳完結ですね
お疲れ様でした<(_ _)>
私もあのインタビューは軽く1回見ただけだったんですが
結構濃い内容を語ってらしたのですね
監督として自分の作品をどれあけ愛おしく思っているのか
言葉の中から十分汲み取れます
なのであまりにも早い死が惜しまれます・・・
私が見た時にやはり一番印象に残ったのが
最後の【死】に関しての件でした
まさか、ご自分で死を予感されていたとは思えませんが
今から思うと重みがありますね
BBSの方でMyHPご紹介いただきありがとうございます
【スマスマ】の告知は一旦下げたのですが
またTOPページに復活させておきました(笑)
wowowでドラマの放送もあるみたいで
嬉しい悲鳴です
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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