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クライテリオン盤DVD『サムライ』の特典映像に収録されているジャン=ピエール・メルヴィル監督のインタビューを翻訳して紹介する2回目です。
問 映画の編集は楽しいですか?
メルヴィル とてもね。
映画作りで最も楽しいのは、間違いなくこれと脚本を書くことだね。
書くことと編集だ。
別の言葉で言えば、着想と仕上げということだね。
これは、映画作りの上での二つの主要な段階だよ。
問 映画の撮影はお好きですか?
メルヴィル いや、全然。
撮影は大嫌いなんだ。
私は“退屈な行為”と呼んでいるんだよ。
とにかく嫌だな。
退屈な仕事全体の中での唯一の救いは、俳優を演出する素晴らしい瞬間だけだね。
問 あなたは、一緒に働く俳優たちに対して厳しいですか?
メルヴィル いや。
俳優に対してそんなことはないよ。
それは愚かなことだ。
君は俳優たちに厳しくあたってはいけないよ。
それがどんな人たちでもだ。
それは儚いものさ。
キャメラの前で、今私がしようとしているように自然に振舞うことは大変なことなんだ。
私はキャメラの背後でそのことをより求めているわけなんだけどね。
問 あなたはご自身の映画をどう思われますか?
メルヴィル いや、思わないな。
私はあえてそのことを考えないようにしてるんだ。
自分でそれらを作ったからこそ、客観視するのは不可能さ。
唯一、撮影の時、あるシーンを撮った際に起こった問題のことだけ思い出すんだ。
それに、不幸にも、良い思い出だったりする。
だから、自分の映画を判断するのは不可能さ。
問 あなたはご自身を俳優としてはどうお考えですか?
メルヴィル ひどいもんさ。
およそ似つかわしくない仕事をしようとしている素人のようなものだよ。
問 そのことはあなたの演出をより難しいものにしましたか?
メルヴィル そうだね。
演出の点からというよりも、自分自身の位置付けの問題としてね。
あるシーンで、俳優が私に向かって話しているのを見ながら、私が求めたように彼らが演じているかどうかを観察していることは明らかだよ。
この後、『仁義』での編集担当の女性・マリー=ゾフィー・デュブが、フィルムをカットするなど、編集の仕事をしているシーンが映し出される。
画面に流れる音は、『仁義』のジャンセンとコーレイがジャンセンの家で会話するシーンのものと思われる。
(続く)
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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