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私自身、ずっと感じていたことですが、メルヴィル作品の魅力として、出演俳優のファッション、着こなしもその一つとして挙げられると思います。
今観ても、そのファッション、着こなしは少しも古臭くなく、むしろ、今観ても、実に格好良いことに驚かされます。
彼らのファッションは古典的といいますか、特別当時の流行を追ったものではありませんが、むしろそれが、今観ても古臭く感じない大きな理由の一つかもしれません。
メルヴィル作品の舞台は主に冬であり、映画の舞台が夏であったり、出演者が薄着をしていたりするシチュエイションは皆無といってよいほどありません。
11月に入り、ようやく冬が近づいてきましたので、これから何回かに渡って、メルヴィル作品における出演俳優のファッションをいくつか検証してゆきたいと思います。
もちろん、検証といいましても、私自身その筋の専門家ではないので限界はありますが、メルヴィル作品の魅力の一環として、参考(?)にしていただければと思います。
メルヴィル作品のファッションとして、中でも目立つアイテムとしては、ソフト帽、トレンチコートが挙げられるでしょうが、まずほとんどのキャラクターがスーツを着ていることを指摘すべきでしょう。
メルヴィル作品のキャラクターは世間的に見ればほとんどがアウトサイダーですが、まず、どんな人物であっても、きちんとスーツを着て、ネクタイを締めているのです。
ほとんどの場合、ダークトーンのスーツやネクタイを着用、ネクタイのノットは小さめに結ばれています。
靴も黒以外はまず見受けられません。
私はそのあたりになんともいえないダンディズムを感じてしまうのです。
デザインはもちろんですが、特に、スーツやコートの着丈、身幅等、俳優の体によく合っているのが、彼らがお洒落に見える理由の一つかと思います。
右上の画像は『仁義』のイヴ・モンタンですが、コートの着丈(膝丈ピッタリ)、袖丈(手がキレイに出ています)、ウエストの加減など、絶妙としか言いようがありません。
事実、自身かなりの洒落者だったというメルヴィルは、出演俳優の着こなしにもかなりうるさかったらしく、それまでほとんどスーツを着たり帽子を被ったことのなかったブールヴィルを『仁義』で起用するにおいて、その着用するスーツや帽子、靴等に至るまで映画用にオーダーで仕立てたらしいです。
一見メルヴィル的な俳優には見えないブールヴィルが、『仁義』において、メルヴィル的な俳優として違和感がないのは、演技力によるところはもちろんでしょうが、その着こなしがスッキリと決まっていたことも大きかったのではないでしょうか。
そして、メルヴィル作品のキャラクターにとってのある種のユニフォームともいえる、トレンチコートについてです。
トレンチコートは、トレンチ(塹壕)というくらいで、もともと軍用であったことから、ハード・ボイルド的な風合いがあり、40年代のアメリカ映画、フィルム・ノワール作品にもたくさん登場します。
とりわけ、ハンフリー・ボガートが『カサブランカ』で着たあたりから、ファッション・アイテムとして、人気が出ました。
日本でも、トレンチコートはここ数年、ファッション・アイテムとして大変人気が高く、特に女性が格好良く着こなしているのが目に付きます。
ところが、男性が着る場合、くたびれた刑事や探偵がトレンチコートを着るイメージが強いせいか、それらはどこかダサカッコ良さといいますか、どこか洗練されきらない、野暮ったさがあるように思います。
他に日本男性が着るトレンチのイメージとしては、くたびれたサラリーマンだとか、学校の先生、あるいはやくざ・・・。
正直、洗練されたカッコ良さとはあまり縁がないように思われます。
ところが、メルヴィル作品の登場人物たちにはそのようなイメージはほとんどなく、実に粋にトレンチを着こなしているのです。
トレンチコートを着ているキャラクターが登場するメルヴィル作品と、俳優をざっと挙げてみましょう。
●『この手紙を読むときは』 フィリップ・ルメール(マックス役)
●『賭博師ボブ』 ロジェ・デュシェーヌ(ボブ役)
●『いぬ』 ジャン=ポール・ベルモンド(シリアン役)、セルジュ・レジアニ(モーリス役)、エメ・ド・マルシュ(ジャン役)
●『ギャング』 リノ・ヴァンチュラ(ギュ役)
●『サムライ』 アラン・ドロン(ジェフ・コステロ役)、ジャック・ルロワ(殺し屋役)。
●『仁義』 アラン・ドロン(コーレイ役)、イヴ・モンタン(ジャンセン役)、ブールヴィル(マテイ警視役)、他にもジャック・ルロワ、ジャン=ピエール・ポジェ(刑事)、リコの手下など
●『リスボン特急』 リチャード・クレンナ(シモン役)、マイケル・コンラッド(ルイ・コスタ役)
これを観て分かるように、トレンチコートは、メルヴィル作品、とりわけ、そのフィルム・ノワール作品に必需品といってよいアイテムであり、主役クラスであればあるほど着用率(?)が高くなります。
もちろん、メルヴィル本人も愛用者の一人で、ステットソンハットにトレンチコートという出で立ちが私生活においても彼独特のスタイルでした。
次回は、『サムライ』のアラン・ドロンのトレンチコートの着こなしを中心に、メルヴィル作品に見られるトレンチコートの特徴をいくつか指摘してみたいと思います。
今回のテーマとても興味深いです
靴は黒が定番でしたか・・・気が付きませんでした
メルヴィル監督のトレンチコート姿
多分拝見した事が無いように思いますので
資料がありましたらUPお願い致します<(_ _)>
次回の『サムライ』のトレンチコート考について楽しみにしてます
あ、ちょっと質問なのですが・・・
メルヴィル監督作品ではありませんが
『フリック・ストーリー』と『スコルピオ』で
ドロンさんが着用しているトレンチコートは似てますよね
私には同じ物に見えるのですが
マサヤさんいかがでしょうか?
以前からずっと思っていた事なのですが
『いぬ』でベルモンドがトレンチを着て
登場していましたが
トレンチがやけに大きく思えて…
体型のせいですかね?
だから余計にこの作品のベルモンドが
可愛く見えてしまうんです!
あら、メルヴィル監督のトレンチ姿、ご覧になったことありませんか。
次回にでもUPいたしますね。(^^)
ご質問についてですが、『スコルピオ』の映像資料が手元にありませんのでちょっと確認できません・・・。
すみません。
『フリック・ストーリー』の緑のトレンチは印象的でしたね。
確かに『いぬ』のベルモンドのトレンチはちょっと大きめな気がしますね。
実際、丈も長めですし。
私の想像ですが、かぶっている帽子のツバが短めで、ベルモンドの顔が体格に比べ小さいこともコートが大きめに見える理由の一つかもしれませんね。
可愛く見えてしまうというジュリアンさんのご意見も確かで、個人的には、映画の中盤で着ている黒のチェスターコートの方が似合っていたと思います。
私、メルヴィル監督の画像や映像ってあまり持ってません・・・
なのでトレンチのイメージも浮かばないのです・・・
ドロンさん着用の
『フリック・ストーリー』と『スコルピオ』のダークグリーンのトレンチコート
やはり気になったのでブログに書いてみました
皆さん似ているとの感想を持たれたみたいです
多分同じかと
トレンチ特集、ちょっとUPするまで時間が掛かるかもしれません・・・。
その代わりといってはなんですが、監督のトレンチ姿をアップしました。
いろいろ画像はあるのですが、ドロン氏と一緒の画像がよいだろうと思いました。
結構出回っている画像かと思います。
『フリック・ストーリー』と『スコルピオ』のトレンチコートの違いについて、ブログに書かれたのですね。
これから見に伺います!
メルヴィル映画は、まだ半分も観てないのですが着こなしがきまってますよね、押し付けがましくなくシンプルで古くなくてその時のものって感じで。でも、「仁義」でのアランドロンのトレンチコートは丈が短かすぎたように思えます、その当時の体型に合わせたのかもしれないですが。あと、「いぬ」でのセルジュレジアニの仲間のコートはちょっと大きくて変だと思いました、わざとそういうふうにしたのかもしれませんが。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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