[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ロベール・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観たのでその感想です。
『AU HASSARD BALTHAZAR』(64年)
監督・脚本:ロベール・ブレッソン
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:シューベルト
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、フィリップ・アスラン、ナタリー・ショワイヤー、ヴァルテル・グレーン
初見。
正確に言えば再見なのですが、前回は途中で観るのを諦めました。
その簡潔で厳しい世界に面食らってしまい、観通すことができなかったのです。
前回観たのはイマジカから出ていた旧国内盤DVDでしたが、今回観た紀伊国屋から出ている新たな国内盤DVDはさすがに画質が良くなっていました。
それにしてもこれは…大変な作品。
なんというやるせない物語でしょう。
残酷なシーンもありますが、言葉では言い表せないほど美しい映画です。
ロバの眼があんなに美しいとは思いもしませんでしたし、ラストの素晴らしさなんて…。
これまでブレッソン作品をいろいろ観てきた中では『抵抗』がなんといってもダントツに魅力的な作品でしたが、この作品は趣向こそ違えど、それに肉薄する魅力を湛えた作品だと思いました。
ブレッソン監督の大傑作の一つと言ってよいのではないかと思います。
主演はゴダールの『中国女』の主演等でも知られるアンヌ・ヴィアゼムスキー。
素晴らしいです。
演技どうこうというより、なにより存在感が作品の世界観にピッタリ合っています。
ちなみに、私は『中国女』も意外と好きな作品。
『中国女』の後ヴィアゼムスキーとゴダールは結婚しましたが、別れたそう。
全篇で使われているピアノ音楽はシューベルトのピアノ・ソナタ第20番。
たぶん、その第2楽章でしょう。
ブレッソンとシューベルト…相性良過ぎです。
ちょっと話は変わりますが、シューベルトは学生時代好きでよく聴いており、この曲も昔マレイ・ペライアの生演奏をサントリーホールに聴きに行ったこともありますが、肝心の第2楽章で寝てしまった思い出が…。
撮影はジャック・ベッケルの『穴』(60)等でも知られるギスラン・クロケで、この作品でも見事なカメラワークが随所に見られます。
今回観たDVDのブックレットは、作品の内容や製作の経緯、裏話にまで及んだ大変詳しいものなので、大変読み応えがありました。
このあたりはさすがに紀伊国屋。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。