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ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』を国内盤DVDで観た感想です。
監督:ロバート・アルトマン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
出演:エリオット・グールド、スターリング・ヘイドン、ニーナ・バン・パラント
レイモンド・チャンドラーの原作小説『長いお別れ』を映画化したもの。
原作の小説は数年前に読みましたが、私が読んだのは当時大変話題になった村上春樹訳のものではなくて、清水俊二訳のものでした。(ハヤカワ文庫)
単に文庫で安かったからそうしたのですが、訳には特に不満もなく、というか、普通に楽しめました。
小説そのものも、ちょっと長かったですが大変面白かったです。
あの複雑な小説の内容を2時間弱の映画に収めるのはそもそも無理な話で、この映画はストーリー的には本当に骨格だけなぞっているに過ぎないように思われます。
よって、ストーリーだけを追っていては、この映画にはかなりの不満があることは確かです。
しかし、この映画の“キモ”は雰囲気描写ではないでしょうか。
もちろん、原作自体、雰囲気描写が大変に魅力的でしたが、この映画では、それをそのまま再現しているわけではなく、むしろ、この映画独特のムードを新たに作り出しているように思われます。
例えば、マーロウが住んでいる家のエレベーターの感じだとか、隣に住んでいるヤク漬けの女性たちの描写とか、どことなく70年代的な(?)退廃的な雰囲気が印象的でした。
そして、フィリップ・マーロウといえば、一般的にも『三つ数えろ』のハンフリー・ボガートのイメージが当然大きいでしょうし、私もそうです。
この作品でマーロウを演じているエリオット・グールドは、写真で見る限りは、とてもマーロウのイメージに合うとは思えなかったのですが、実際映画を観てみると、思ったより違和感がなく…というか、意外と良いですね。
これは嬉しい驚きでした。
また、飲んだくれの流行作家ロジャー・ウェイドを演じたベテラン俳優スターリング・ヘイドン(『アスファルト・ジャングル』『現金に体を張れ』)がなかなか良かったと思います。
ところで、この映画を観たのは実は半年くらい前なのですが、また観直してみたいという気持ちが強くなっています。
ラストは好みが分かれそうです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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