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新刊本『さらば愛しきサスペンス映画』(逢坂剛・川本三郎著、七つ森書館)を読了。

つい最近出たばかりの本で、お二人のサスペンス映画好きによる対談集
とても面白く、あっという間に読み終わりました。

とにかく著者のお二人がすごい物知りで、会話が弾む弾む。(その分取り留めのない会話になっていると思われる部分もありますが・・・)
アメリカの戦前戦後のフィルム・ノワールを中心に、フランス、イギリスのサスペンス映画についてのお話も多く、もちろん、メルヴィル映画も取り上げられています。(そんなに多くないけど)

タイトルに“サスペンス映画”とは謳っているものの、実際はフィルム・ノワールの本と言ってよいんじゃないかと思います。
かなりおすすめ。
内容についてはこちらを参照

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ロマン・ポランスキー監督の『チャイナタウン』を国内盤DVDで観た感想。

CHINATOWN』(74年)
監督:ロマン・ポランスキー 
脚本:ロバート・タウン 
撮影:ジョン・A・アロンゾ 
音楽:ジェリー・ゴールドスミス 
出演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン、バート・ヤング、ペリー・ロペス、ジョン・ヒラーマン、ダレル・ツワリング

約10年ぶりくらいの再見。
以前観た時は少し難渋な感じもあったのだが、今回は全く魅了された。
やっぱりこれは大傑作。

メイキングによればレイモンド・チャンドラーの探偵小説の世界を参考にしたらしいが、実際ニコルソンが死体を発見するシーンなど、チャンドラーの小説を読んでいるような感覚にとらわれた。
ジャック・ニコルソンはルックスが苦手なので決して好きな俳優というわけではないのだが、演者として、なにか面白いことをしでかしてくれそうな雰囲気が魅力だ。
相手役のフェイ・ダナウェイも当然のことながら演技、存在感ともに素晴らしい。
ただ、親父役のジョン・ヒューストンは、演技が大味というか、どこかワザとらしい感じがして積極的には押せない。

あと、現行のDVDは画質がイマイチなので、早急なブルーレイ化を望みたい。

ロバート・モンゴメリー監督の『湖中の女』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想。

THE LADY IN THE LAKE』(46年)
監督:ロバート・モンゴメリー 
原作:レイモンド・チャンドラー 
脚本:スティーヴ・フィッシャー 
撮影:ポール・C・ヴォーゲル 
音楽:デヴィッド・スネル
出演:ロバート・モンゴメリー、オードリー・トッター、ロイド・ノーラン、トム・テューリー、レオン・エイムズ、ジェーン・メドウズ

 
初見。
このところレイモンド・チャンドラーの小説を読み返していて、『湖中の女』『高い窓』『プレイバック』『かわいい女』の順で読み進んでいる。
どれも実に面白かったのだが、中でも個人的に良かったのが『湖中の女』であった。

それだけに、この映画は楽しみだったが、映画化に際して原作にあったかなりの部分がカットされてしまっており、正直、原作ほどの面白さはない。
なんでも、チャンドラーが自ら書いた脚本は長すぎてボツになり、他の脚本家のものに代えさせられてしまったのだという。
原作では湖からの死体発見シーンがワクワクするような面白いところなのだが、この映画では湖のシーンがすべてカットされてしまっているのでタイトル倒れの感すらある。
また、主演のフィリップ・マーロウ役と監督を務めたロバート・モンゴメリーの視点でカメラが動き、映画が進行するというのはこの映画のユニークな特徴だが、必ずしも成功とまではいえないような感じだ。

とはいえ、映画のタッチはこの時代の典型的なフィルム・ノワールのそれで、映画の雰囲気は大変魅力的だ。
もしかしたら、原作を読まずに映画を観ていたら、もっと楽しめた映画なのかもしれない。

ジョージ・マーシャル監督の『青い戦慄』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想。

THE BLUE DAHLIA』(46年)
監督:ジョージ・マーシャル 
脚本:レイモンド・チャンドラー 
撮影:ライオネル・リンドン 
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:アラン・ラッド、ヴェロニカ・レイク、ウィリアム・ベンディックス、ハワード・ダ・シルヴァ、ヒュー・ボーモント、ドリス・ダウリング 
 
初見。
あのレイモンド・チャンドラーが脚本を書き下ろした作品で、サイコ・スリラーっぽいフィルム・ノワール、とでもいうような雰囲気を感じる映画。
殺人事件の犯人が誰なのかというのがストーリーの大きな要素となっているが、正直なところ、もう一つ入り込めないというか、面白さを感じない作品だった。
さすがにアラン・ラッドヴェロニカ・レイクの二人は魅力的なのだが、ヴェロニカ・レイクの役柄がもう一つ弱いような感じがしたかな。

国内盤DVDの画質は思ったより悪くなかった。

ジョーゼフ・H・ルイス監督の『拳銃魔』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想。

GUN CRAZY』(50)
監督:ジョーゼフ・H・ルイス(ジョゼフ・H・リュイス
脚本:マッキンレー・カンター、ミラード・カウフマン 
撮影:ラッセル・ハーラン 
音楽:ヴィクター・ヤング 
出演:ジョン・ドール、ペギー・カミンズ、ベリー・クルーガー、モリス・カルノフスキー、アナベル・ショウ、ハリー・ルイス

再見。
ボニー&クライドものの一つ。
ゴダールの『気狂いピエロ』(65)におけるベルモンドとカリーナの車のすれ違いながらのキスシーンはこの映画の影響だろう。

改めて再見してみて、物語の構成、テンポ、演出、撮影、音楽など素晴らしいという印象。
ワンカットで撮られた銀行強盗のシーンはやはり圧巻である。

主演の二人の演技もなかなか。
とりわけバート役のジョン・ドールはいい。
一方で、個人的にどうしてもひっかかるのがアニー役のペギー・カミンズのあまり魅力的とは思えない容姿と、そのキャラに全くといっていいほど感情移入できない点である。
特に後半は見ていて退く。
ある意味、それだけ演技が優れているとも言えるが…。

ジュネス企画から出ているDVDはこのレーベルらしい今一つの画質だが、とにもかくもこのカルト?作品を日本語字幕付で観られるのはありがたい。

ロバート・ワイズ監督の『拳銃の報酬』を国内盤DVDで観た感想。

ODDS AGAINST TOMORROW』(59)
監督:ロバート・ワイズ
脚本:エイブラハム・ポロンスキー
撮影:ジョセフ・ブルン 
音楽:ジョン・ルイス 
出演:ハリー・ベラフォンテ、ロバート・ライアン、シェリー・ウィンタース、エド・ベグリー、グロリア・グレアム

『私を最も魅了したアメリカのポリス・スリラー、それは『アスファルト・ジャングル』と『拳銃の報酬』の2本だよ…』
(Criterion盤DVD『仁義』の特典映像に収録されているジャン=ピエール・メルヴィル監督の1973年のインタビュー映像より)

再見。
ロバート・ワイズ監督といえば、『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』といった名作ミュージカル映画の監督として有名なので、今ではミュージカル映画の監督のように思われる人もいるかもしれませんが、初期はRKOに所属、低予算のフィルム・ノワール作品を監督していました。
主な作品にロバート・ライアン主演のボクシング映画『』(49)があります。
以前『』について書いた記事

この作品は、それまでのハリウッド映画における黒人の描かれ方に不満を感じていた黒人ポップス歌手のハリー・ベラフォンテが、主演の他に製作も兼ね、ワイズに監督を依頼した作品とのことです。

この映画はこれまで国内ソフトが存在せず、海外盤DVDで観ていましたので、今回初めて日本語字幕付きのソフトで観ました。
改めて観直してみて、ハリー・ベラフォンテロバート・ライアンエド・ベグリーの主演3人の存在感、バランスがとてもいいですね。
特にハリー・ベラフォンテとロバート・ライアンの黒人白人の対比がいかにもリアリティがあります。
3人のまとめ役エド・ベグリーもなかなか好演しています。

モノクロ時代の最後のフィルム・ノワールとも言われる、犯罪映画の傑作ですが、全体的にどこか“ドヨン”とした弛緩した雰囲気といいますか、倦怠感とでもいったような独特の雰囲気のある映画です。
この雰囲気を好むか否かで映画の評価はかなり異なることでしょう。
私はこの雰囲気がとても好きですが。

今回見直して特に印象的だった場面は、決行当日ハドソン河で落ち合った三人が決行までの数時間を過ごす間の描写です。
三人がそれぞれ別々に何をするでもなく、じっと時の過ぎるのを待っているだけなのですが、映像だけで三人の不安、焦燥感、銀行襲撃にかける思いといったようなものが見事に伝わってきます。
私はこれを観て、メルヴィルの『ギャング』(66)におけるプラチナ強奪シーンを思い起こしました。

ロバート・ライアン絡みでシェリー・ウィンタースグロリア・グレアムという二人の女優が出演してますが、しどころはあまりありません。
グロリア・グレアムに往年のオーラ?が感じられない点がちょっと残念。

あと忘れてならないのがジョン・ルイスによる音楽の魅力で、作品のムードを見事に表現しています。
メルヴィルの『仁義』(70)の音楽を担当したエリック・ドマルサンは、この『拳銃の報酬』のサントラをメルヴィルに何度も聴かされたということです。
メルヴィル曰く『これこそが私が求めている音色なんだ
事実、『仁義』のエンディング・テーマと『拳銃の報酬』のオープニング・テーマはそっくりです(笑)。

皮肉な結末は今見ても説得力があります。

マックス・オフュルス監督の『魅せられて』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

Caught』(49年)
監督:マックス・オフュルス
脚本:アーサー・ローレンツ
撮影:リー・ガームス
音楽:フレデリック・ホランダー
出演:ジェームズ・メイスン、バーバラ・ベル・ゲデス、ロバート・ライアン、フランク・ファーガソン、ナタリー・シェイファー

初見。
マックス・オフュルス監督のアメリカ時代の作品で、フィルム・ノワールのジャンルに分けられることの多い作品ですが、ストーリー的にはメロドラマ色が強く、それほどノワール色の強い作品とは思えません。
映像的には確かにノワール色を強く感じさせる作品ではありますが…。

ヒロインのバーバラ・ベル・ゲデスは最初全然魅力的に見えなかったのですが、ストーリーが進むにつれ不思議と魅力的に見えてきました。
また、ジェームズ・メイスンがいかにも彼らしい誠実な役柄を演じており印象的です。

ロバート・ライアンの役柄はハワード・ヒューズがモデルと言われているようで、解説などでは“偏執狂的”と評されているようですが、私にはそれほど特殊には見えませんでしたね。
それは私がもしかしたら“偏執狂的”だからなのでしょうか…。

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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