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フリッツ・ラング監督の『復讐は俺に任せろ』を国内盤DVDで観た感想です。
『THE BIG HEAT』(53年)
監督:フリッツ・ラング
脚本:シドニー・ボーム
撮影:チャールズ・ラング
音楽:ミッシャ・バカライニコフ
出演:グレン・フォード、リー・マーヴィン、グロリア・グレアム、ジョスリン・ブランド、キャロリン・ジョーンズ、ジャネット・ノーラン
再見。
オープニングの刑事の自殺シーンから観る者の興味を惹く展開がうまく、このあたりはさすがにフリッツ・ラングという感じ。
しかし、観終わってみると、その後の展開は期待したほどではなかったかな、という印象が残ります。
他の監督なら、文句なく傑作と感じるところでしょうが、フリッツ・ラングだけに評価は辛くなります。
もちろん、内容は大変面白いのですが。
個人的に、この作品の大きな魅力の一つは、グロリア・グレアムの存在感です。
彼女の見せ場的には主に映画の後半ですが、個人的には前半の明るい振る舞いが好き。
改めて気づきましたが、彼女は声もステキですねぇ。
グレン・フォードの刑事役は良いんですが、どことなく魅力に欠けますね。
リー・マーヴィンの悪役がインパクトの強さでグレン・フォードを喰ってしまった感じです。
それにしても、沸騰したコーヒーが恐ろしい凶器となるとは…。
しかも、直接的な描写は避けていますが、凄惨さは充分に伝わってきます。
これは演出力の勝利でしょう。
登場するギャングたちのいかにもそれらしい雰囲気、冒頭で自殺する刑事の妻役のジャネット・ノーランの狡猾さなども印象に残ります。
あと、ヴィンスのアパートのテラスからは高層ビル群の夜景が見渡せるという設定ですが、このような美術はメルヴィルの『マンハッタンの二人の男』(58)にも観ることができます。
もちろん、『マンハッタンの二人の男』の方が後に作られていますから、メルヴィルがこの作品からアイデアを拝借した可能性は充分にあり得るのではないでしょうか。
そんな二枚目でもなく悪人顔でもない、その中途半端なルックス?のせいだからでしょうか…。まあ、個人的な好みもあると思いますが…。
それにしてもグロリア・グレアムはとても魅力的な眼差しをする女優さんで、ニコラス・レイ監督の『孤独な場所で』では、ハンフリー・ボガートと共演しましたが、この作品では二人共とても魅力ある演技をしており、しかもボガートが性格破綻した自己中心的性格なハリウッドの脚本家という怖い役を演じて、もちろんボガートの演技も素晴らしいですが、またグロリア・グレアムがその恐怖に怯える表情が何とも素晴らしいですね。
まあ、魅力という点で、ハンフリー・ボガートと比べては、グレン・フォードも可哀想だとは思いますが…。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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