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ジャック・ドレー監督の『ボルサリーノ2』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『BORSALINO AND CO.』(74年)
監督:ジャック・ドレー
製作:アラン・ドロン
脚本:パスカル・ジャルダン
撮影:クロード・ボーゴアン
音楽:クロード・ボラン
出演:アラン・ドロン、リカルド・クッチョーラ、カトリーヌ・ルヴェル、ダニエル・イヴェルネル、アントン・ディフリング
初見。
アラン・ドロンの主演作としてはメジャーな方の作品だと思うのですが、どういうわけか、これまで観る機会がありませんでした。
個人的にはジャン=ポール・ベルモンドと共演した『ボルサリーノ』(70)がもう一つツボにハマらなかったせいもあり、その続編ということもあって敬遠していたのかもしれません。
この度、紀伊国屋書店から国内盤DVD(ニューマスター)が再発されましたので、これを機会に観てみました。
ここに『ボルサリーノ』の明るさはありません。
カペラ(ベルモンド)の葬儀から始まるこの作品は、映画全篇を暗く重い雰囲気が覆っており、内容もギャング同士の復讐をとことん描いています。
その分、ストーリーにどこか奥行きというか深みが無いきらいがありますが、ギャング役のアラン・ドロンがとにかく魅力的で、その表情や佇まいを観るだけでも充分に価値のある作品だと思います。
ストーリーも大変分かりやすく、映画のテンポも良いので、その点でも観る者を惹きつける魅力に溢れています。
ドロンに対するギャングは、メルヴィルの『リスボン特急』(72)でもドロンと共演していたリカルド・クッチョーラ。
クッチョーラは体格も小柄であり、押し出しのそれほど強い俳優ではないので、ドロン相手ではさすがに分が悪いと思っていたのですが、なかなかどうして表情の演技が絶妙に巧く、ギャング役を見事に演じていました。
これは少々意外でしたが、嬉しい誤算。
ドロンの愛人役のカトリーヌ・ルーヴェルは、ジャン・ルノワール監督の『草の上の昼食』(59)やジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『めんどりの肉』(63)でも知られるグラマー?女優ですが、その頃よりずっと年を取っているはずなのに、かなり若く見えて魅力的でした。
出番は少なめなのが少々残念ですが、ドロンとの再会のシーンでの笑顔がいいですね。
他には、ファンティ警視を演じたダニエル・イヴェルネルが、なかなか魅力的な存在感を発揮していました。
あと、ラストの船のシーンで、バーテンダーに出ている俳優は、クレジットはないようですが、メルヴィル作品の常連だったピエール・ヴォディエだと思います。(ピエール・ヴォディエについてはこちらを参照)
ちなみに、ピエール・ヴォディエは、アラン・ドロンが出演したメルヴィル作品『サムライ』『仁義』『リスボン特急』にはいずれも出演していますが、意外にもドロンと直接絡むシーンはありませんでした。
もしかしたら、この二人が直接絡んだ作品は、この作品が唯一かもしれません。
作品を彩るクロード・ボランの音楽は、『ボルサリーノ』を彷彿とさせるサウンドで、重苦しい映画のトーンからは少々浮いている感もなくはありませんが、やはりこれは理屈抜きで魅力的。
気になるDVDの画質ですが、ニューマスターと謳っている割にはまずまずといったところでしょうか。
特別画質が良いという印象もありませんが、大きな不満があるわけでもありません。
やはりアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが共演と言うことで『ボルサリーノ』かなり期待して観ました。しかしせっかくドロンとベルモンドが共演したのだから、もうちょっと…と言う自分が勝手に期待していた感じの雰囲気の作風ではなく、ドロンとベルモンドに明るさは求めていなかったのか、ちょっと軽快な感じに思えてしまった記憶があります…。
個人的に『ボルサリーノ』で共演するよりも『仁義』で共演して頂きたかったかなと…。
ヴォージェル役をベルモンドが演じていたら、どんな感じの『仁義』になっていたのか、ちょっと想像してしまいますけどね…。
私がもう一つ『ボルサリーノ』にハマらなかった理由も、66さんと同じような理由のように思います。
この二人が『仁義』で共演していたら…夢でしかありませんが、ファンとしてはどうしても見果てぬ夢を追ってしまいますね。
ピエール・ヴォディエについての指摘もさすがマサヤ様ですね。
仰るようにベルモンド色の濃い『ボルサリーノ』に比べてこの作品は別物として観たほうが楽しめる作品かもしれないです。
2本の作品を結んでいるのはクロード・ボランの音楽だけのようにも思えます。
関連記事をトラバしましたのでよろしくお願いします。
TBありがとうございます。
カトリーヌ・ルーヴェルは特別美人ではないですが、妙に存在感のある女優さんですね。
ドロンとの相性も良かったと思います。
おっしゃる通り、『ボルサリーノ』とは別物としてとらえるべきなのかもしれませんね。
それぞれカラーが違うので、観る人の好みが分かれるのは仕方ないでしょう。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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