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シネマヴェーラ渋谷にてクロード・シャブロル監督の『不貞の女』を観てきましたのでその感想を書きます。
(シネマヴェーラ渋谷の関連ページへのリンク)
現在、シネマヴェーラ渋谷では“シャブロル三部作発売記念「紀伊國屋書店レーベルを讃える」”と題して、紀伊國屋書店レーベルから発売されているDVDを上映しています。
紀伊國屋書店レーベルのDVDの価格は高めなので、買おうか買うまいか迷っている映画の場合、今回のような特集は助かります。
この特集は、通常二本立てで一般1400円という入場料ですが、併映されていた『家宝』には私はさして興味がなかったので、『不貞の女』だけ観てきました。
『不貞の女』『La Femme Infidele』(69年)
監督・脚本:クロード・シャブロル
撮影:ジャン・ラビエ
音楽:ピエール・ジャンセン
出演:ステファーヌ・オードラン、ミシェル・ブーケ、モーリス・ロネ
俗に“エレーヌもの”と呼ばれるステファーヌ・オードラン主演の連作の第二作に当たる作品で、連作の第三作で今回の特集でも上映される『肉屋』も私は昨年観ています。
(その時書いた『肉屋』の感想)
前回観た『肉屋』に関しては、この時期のシャブロルの作風に馴染んでいないこともあってか、ひと言で言って苦手な作品という印象でしたが、今回の『不貞の女』は、前回で多少免疫も出来たせいもあってか、好き嫌いはともかく、大変な傑作だと思いました。
ストーリーは極めてシンプル、妻の浮気と夫の嫉妬という古今東西いくらでもある題材ですが、それだけにシャブロル監督の演出の妙が光ります。
カメラの使い方など、表現過多とでも言いましょうか、少々どぎついくらいのところもありますが、シャブロル作品特有(?)のドロっとした粘っこい表現が実に上手く活かされています。
主演のステファーヌ・オードラン、ミシェル・ブーケの二人も名演です。
オードランは『肉屋』以上にその美貌と肢体の美しさが魅力的ですし、表情の演技も素晴らしい。
ミシェル・ブーケの演技は、ある意味それ以上に見事で、平凡な人間の狂気を演じて天下一品です。
この二人にモーリス・ロネが、あの『太陽がいっぱい』以来の“モーリス・ロネらしい”役柄で絡み、キャストは完璧と言えるでしょう。
また、『肉屋』でも印象的だったピエール・ジャンセンの現代音楽風の音楽は、ここでも作品の重苦しさを伝えて余すところがありません。
ジャン・ラビエによるカメラワークも見事で、様々な解釈を可能とさせるラストの絵はとりわけ凄かったです。
映画の雰囲気は重苦しく、正直、DVDを購入して何度も観たくなるような映画ではありませんが、一映画作品としての出来栄えは文句の付けようのない傑作だったという印象です。
あと、今回の上映はDVDでの上映であったこともあり、大画面のスクリーンで観ると解像度は今一つだったように思います。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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