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ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『旅路の果て』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『LA FIN DU JOUR』(39年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、シャルル・スパーク
撮影:アレックス・ジョフェ、クリスチャン・マトラ
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:ヴィクトル・フランサン、ルイ・ジューヴェ、ミシェル・シモン、マドレーヌ・オズレー、ガブリエル・ドルジア、オデット・タラザク、シルヴィー
再見。
私は以前からジュリアン・デュヴィヴィエ監督の作品を好んで観ていますが、戦前の作品でどれか1作を選ぶならこの『旅路の果て』、戦後の作品なら『埋れた青春』(53)を挙げたいですね。
この監督の戦前の作品では、世間的にも圧倒的な知名度を誇るジャン・ギャバン主演の『望郷』(37)を始め、以前このブログでも紹介した『地の果てを行く』(35)や、『我等の仲間』(36)、『舞踏会の手帖』(37)など他にも素晴らしい作品が目白押しです。
それらを差し置いて、私がこの『旅路の果て』を挙げるのは、この作品を初めて観た時の感動が他の作品以上に圧倒的だったからです。
今回久々に再見してみましたが、その感動は少しも変わらず、やはりこの作品は大変な傑作だとの思いを強くしました。
デュヴィヴィエ監督のみならず、フランス映画史上の傑作の一つではないでしょうか。
舞台は南仏の老人ホーム、しかも、俳優が引退後に入居する老人ホームです。
そこで、悲喜こもごものドラマが展開されますが、この作品を初めて観た時、なんというか、ある意味、人生の真実を見てしまったような感覚に囚われました。
もちろん、映画ですから、誇張もありますが、ここに描かれている“苦み”こそが人生ではないかと…。
詳しく書くとネタバレの恐れがありますので、これ以上は避けますが、とにかく、これほど深い作品も少ないのではないかと思います。
内容的には暗い作品のように思われるかもしれませんが、決して暗い作品でもなく、ユーモアのあるシーン、美しいシーンも多いですし、ラストの皮肉な味わいなんて最高です。
俳優の演技も圧倒的。
とりわけルイ・ジューヴェとミシェル・シモンの二人は凄すぎますね。
ルイ・ジューヴェの演技は完全にイっちゃってますし、ミシェル・シモンなんてこの映画の実質的な主役ですよ。
もちろん、ヴィクトル・フランサンの端正な佇まいと演技も魅力的でした。
ルイ・ジューヴェの昔の恋人役を演じたシルヴィーの気品ある容姿と演技も良かったです。
フランソワ・ペリエ(『サムライ』『仁義』)が演劇好きの新聞記者役で出ていますが、とにかく若い!
この映画の国内盤DVDは現在廃盤のようです。
私が今回観たDVDは一応は国内盤正規品ですが、画質はかなり不満。
デュヴィヴィエ監督の戦前の作品はほとんどこのメーカーから出ていますが、デュヴィヴィエ・ファンの一人としてはその点が残念です。
是非、他のメーカーから出し直して欲しいものです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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