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ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『ラ・スクムーン』の国内盤DVDがユニバーサルから新たに発売されましたので、勇んで購入、早速観ました。
この映画を観るのは2度目。
“スクムーン”とは“死神”の意。
この映画の国内盤DVDは以前、東北新社から出ていましたが、早々と廃盤、中古市場では長い間高値を付けていました。
私もずっと欲しかったのですが、あまりの価格高騰ぶりに手が出なかったというのが実際のところでした。
今回は何かと悪評高いユニバーサルからの発売ということで複雑な心境ですが、とりあえず1500円という廉価盤での登場を喜びたいと思います。
『La Scoumoune』
監督・原作・脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:アンドレア・ウィンディング
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、クラウディア・カルディナーレ、ミシェル・コンスタンタン
ジョゼ・ジョヴァンニのこの原作は、61年にジャン・ベッケル監督によって『勝負(カタ)をつけろ』として映画化されています。
脚色・台詞をやはりジョゼ・ジョヴァンニが担当、主演はこちらもジャン=ポール・ベルモンド、友人ザビエ役はピエール・ヴァネック、ベルモンドが刑務所に入るキッカケとなる悪党役はミシェル・コンスタンタンが演じていました。
『勝負をつけろ』は、ギスラン・クロケによるモノクロ映像が素晴らしく、内容も特に前半が大層魅力的だったのですが、後半はかなりトーンダウンした印象でした。
このブログで以前書いた『勝負をつけろ』の関連記事
その点、このジョゼ・ジョヴァンニ監督版はそのようなことはなく、前半後半のバランスもうまく取れています。
30年代~40年代を舞台にした映画で、フレンチ・フィルム・ノワールというよりは、イタリアのギャング映画のような雰囲気が濃い作品ですが、銃撃戦もスリリングに描かれており、大変パワフルな演出がされた映画という印象があります。
『勝負をつけろ』もそうでしたが、この映画でも、緊張感のある役柄のジャン=ポール・ベルモンドが観られ、魅力的です。
この映画全篇でとてもいい表情で演じているのが印象的でした。
そのベルモンドとクラウディア・カルディナーレの顔合わせは珍しいですが、相性はとても良いと感じました。
もちろん、ベルモンドとミシェル・コンスタンタンのコンビも素晴らしいです。
また、脇の俳優たちも、とても個性的な面々が揃っており、この作品を盛り上げています。
とりわけ、手回しオルガン弾き兼ベルモンドの用心棒であるミグリ役のエンリケ・ルセロは印象的でした。
他にも、メルヴィルの『仁義』でドロンに宝石強盗を持ちかける看守を演じていたピエール・コレが、この作品では刑務所長役を演じています。
フランソワ・ド・ルーベの手回しオルガンの音楽は、前回観た時はなんとなく映画に合っていないような印象もあったのですが、今回は、免疫があるからでしょうか、とてもよく合っているように感じてしまいました。
それにしても、この映画のテーマの、嬉しいんだか、悲しいんだか分からない、微妙な色合いの音楽は、インパクトが強い。
多少の好き嫌いはあるかもしれませんが、これがド・ルーベの傑作であることは間違いないでしょう。
あと、DVDの画質はとても良いと思いましたです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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