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クロード・シャブロル監督の『いとこ同志』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『LES COUSINS』(59年)
監督:クロード・シャブロル
脚本:クロード・シャブロル
撮影:アンリ・ドカ
音楽:ポール・ミスラキ
出演:ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ジュリエット・メニエル、クロード・セルヴァル、ステファーヌ・オードラン、ギイ・ドゥコンブル、ヴィルジニー・ヴィトリ
久々の再見。
最近ヌーヴェル・ヴァーグの作品を観る機会がなかったせいでしょうか、久しぶりに観ますと、やっぱり若者の映画って感じがしますねぇ。
オープニングのスネアドラムのリズムからして、それ以前の映画には感じられなかった息吹が感じられます。
ご存知の通り、ストーリーはなんともやりきれないものなんですが、キャストが実に魅力的。
ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ共に素晴らしいですが、特にジャン=クロード・ブリアリの立ち振る舞いの存在感の見事さったらないですね。
フロランス役のジュリエット・メニエルも、一見堅物っぽいのに、実際はエロいところがなんとも言えずイイです。
友人役のクロード・セルヴァル(メルヴィルの『賭博師ボブ』にも出演)もいかにも彼らしい味を出してますし、本屋の店主役のギー・ドゥコンブル(同じくメルヴィルの『賭博師ボブ』に出演)はもう素晴らしいとしか言いようがないです。
後にシャブロルと結婚、そのミューズとなるステファーヌ・オードランもチョイ役で出ていますが、(この頃はジャン=ルイ・トランティニャンと結婚していた時期でしょうか)後の“エレーヌもの”の頃に比べて、当然ですが若いです。
また、アンリ・ドカの撮影はひたすら魅力的で、“これぞヌーヴェル・ヴァーグの絵”という感じ。
ポール・ミスラキの音楽も、ワーグナーの音楽を絡めつつ、独特の雰囲気を作っています。
私がフランス映画に魅了された切っ掛けが、ヌーヴェル・ヴァーグの監督達の作品でした。
個人的に主役のジェラール・ブランの風貌と、役柄なんでしょうが、何処となく頼りがいがなく、終始苦悩している姿が、何とも歯がゆく野暮ったく感じられてしまいまして…。
逆に対照的にジャン=クロード・ブリアリの堂々とした大袈裟すぎる程の演技力の方に魅了されてしまいました。
またパーティー後、みんながかなり泥酔した状態で車をドライブしに行くシーンなんかは、ちょっと今時の映画では考えられないような…ある意味許された古き良き時代なんだなぁと感じましたが…(苦笑)。
それにヌーヴェル・ヴァーグならではのこのモノクロの映像美も素晴らしいですよね。ヌーヴェル・ヴァーグ作品の名カメラマンと言ったらラウール・クタールとこのアンリ・ドカですかね。
そしてポール・ミスラキの音楽もこの映画でも良い感じです。
個人的には、ゴダールの『アルファヴィル』での『悲しきワルツ』が最高に好きですね。
実は私もフランス映画にはまったキッカケはヌーヴェル・ヴァーグの諸作でしたので、この作品はかなり好きな作品です。
個人的に、ベルモンドやジャン=ピエール・レオーよりもジャン=クロード・ブリアリに”ヌーヴェル・ヴァーグ”を感じてしまいます。
役のせいか、常に好きで見ているわけではないんですが、いつしかその立ち振る舞いに魅了されてしまうんですよね。
一方、この映画のジェラール・ブランの役柄は、見ていてもどかしいというか、もうちょっと何とかしろよ!と観ていて感じてしまいます。
だからこそのあの映画のラストではあるのですが…。
ヌーヴェル・ヴァーグ作品の名カメラマンといったら、ご指摘の通り、ラウール・クタールとこのアンリ・ドカの二人に尽きるでしょうね。
もちろん、他にも良いカメラマンはいますが、この二人が飛びぬけているということで。
ただジェラール・ブランが影響されているのか分からないですが、この役柄の終始苦悩している、あの繊細な感じの表現方法は、もう既にジェームズ・ディーンとかがやってるじゃん…と、少し冷ややかに感じてしまったところがありまして、ちょっと感情移入出来ない部分がありました…(苦笑)。
しかし対照的にジャン=クロード・ブリアリのあの大胆さこそが、斬新に見えて、これぞ求めていたヌーヴェル・ヴァーグと感じましたし、フランス人ならではの表現力だなと感じところです。
どうしてもヌーヴェル・ヴァーグ作品にはどこか斬新を求めてしまう傾向があるものでして…(笑)。
しかしジェラール・ブランの演技力は素晴らしいですし、この『いとこ同志』ヌーヴェル・ヴァーグを代表する素晴らしい作品の一つに間違いはありません。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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