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ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『埋れた青春』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『L'AFFAIRE MAURIZIUS』(53年)
監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ
撮影:ロベール・ルフェーヴル
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
出演:ダニエル・ジェラン、マドレーヌ・ロバンソン、シャルル・ヴァネル、ジャック・シャバッソール、エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、アントン・ウォルブルック、ベルト・ボヴィ
再見。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の戦後の作品中でも傑作の一本だと思います。
緻密に組み立てられた脚本やドラマ構成が見事で、ミステリアスな殺人事件の真相の謎を、男女関係の複雑な恋愛模様や弁護士一家の家庭環境などを絶妙に絡ませながら描き出しています。
世間ではあまり知られていないようなのが残念なのですが、個人的にも大好きな映画の一本。
キャストも素晴らしい。
大学教授役のダニエル・ジェランは、清潔感のある雰囲気、物腰がいいですし、美術評論家ワレムを演じたアントン・ウォルブルックの人間味丸出しの演技も見もの。
また検事役の名優シャルル・ヴァネルの老獪な演技、存在感はさすがですし、その一人息子役ジャック・シャバッソールの迫真の演技も素晴らしい。
女優では、エリザベート役のマドレーヌ・ロバンソンもいいですが、アンナ役のエレオノラ・ロッシ=ドラゴがとにかく印象的。
この女優は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『女ともだち』(55)にも主演していますが、大柄な体格や美貌がイングリッド・バーグマンをどこか彷彿とさせ、とにかく美しい。
それでいて、清潔感のある風貌の裏に淫靡な色気もあり、これでは男は狂うはず(笑)。
その意味において、この作品での彼女の役柄はファム・ファタールと言えなくもありません。
ちなみに彼女に関心があるならば、ジャン=ルイ・トランティニャンと共演したヴァレリオ・ズルリーニ監督のイタリア映画『激しい季節』(60)も必見。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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