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フレデリック・シェンデルフェール監督の『裏切りの闇で眠れ』を国内盤DVDで観た感想です。
『TRUANDS』(2006年)
監督:フレデリック・シェンデルフェール
脚本:フレデリック・シェンデルフェール、ヤン・ブリオン
撮影:ジャン=ピエール・ソーヴェール
音楽:ブリュノ・クーレ
出演:ブノワ・マジメル、フィリップ・コーベール、ベアトリス・ダル、オリヴィエ・マルシャル、メーディ・ネブー、トメル・シスレー
初見。
昔のものばかりでなく、できるだけ現代のフレンチ・ノワールものも観ていきたいと常に考えていますが、これは公開時から気になっていながらも見逃してしまった作品。
この映画に関しては日本公開時の公式サイトがまだ残っています。
実際にこの映画を観た大雑把な感想としては(いつも大雑把ですが…)、期待していた作風とはかなり異なる出来栄えでした。
続出する残酷なバイオレンス・シーンやファ×ク・シーンには目を背けたくなりましたし(こんなシーンを入れないと昨今の観客は納得しないんですかね…)、裏社会の人間像にもあまり魅力を感じませんでした。
メルヴィルらが活躍していた当時のフレンチ・ノワールの時代は、(映画だからこそなのかもしれませんが)映画の中のギャングたちもどこか気品があるというか、立ち振る舞いにダンディズムが漂っていました。
しかし、この作品の登場人物たちにはそんなものはほとんど感じられず…悪く言えば、誰も彼もチンピラ同然です。
昨今の観客が求めるものがそうであったり、また、製作する側に昔のフレンチ・ノワールをリスペクトしようという意図がないのであれば、それはそれでしょうがないのですが…。
また、主役が誰か、軸となるべき人物が誰なのかどうもハッキリしません。
つまり、誰の立場に身を置いて映画を観れば良いのかよく分からないのです。
本来ならばフランク役のブノワ・マジメルがその立場なのかもしれませんが、観ていて印象が強いのはどう観てもクロード役のフィリップ・コーベールでした。
ブノワ・マジメルは、ルックスもいいのですが(面影が若い頃のロバート・デ・ニーロに似ています)、キャラクターがもう一つ伝わってこないもどかしさを感じました。
一方で、クロード役のフィリップ・コーベールの切れキャラは役柄としてはそれなりの説得力があり、その風貌もどことなくジャック・ニコルソンに似ていました。
まぁ、あまり好きな顔ではありませんが…。
その中では、ジャン=ギィ役のオリヴィエ・マルシャルは魅力的な渋い雰囲気があり、途中まではいい感じだと思っていたのですけどね…。(なんとこの人は『あるいは裏切りという名の犬』(04年)の監督だった人です。作品としてはあっちの方がずっと良かったなぁ…)
クロードの妻役のベアトリス・ダル、どこかで聞き覚えのある名前ですが…なんとあの『ベティ・ブルー』(85年)の主演女優です。
それを知ってから、一挙にあの悪夢のような映画に引き戻されました…。(あの映画は苦手なので…)
肝心のこの映画の演技はなかなか良かったのですけどね。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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