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ルネ・クレマン監督の『雨の訪問者』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『LE PASSAGER DE LA PLUIE』(70年)
監督:ルネ・クレマン
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ
撮影:アンドレア・ヴァンダン
音楽:フランシス・レイ
出演:チャールズ・ブロンソン、マルレーヌ・ジョベール、ジル・アイアランド、コリンヌ・マルシャン
初見。
なんともいえないムーディーな魅力を持ったルネ・クレマン流のサスペンス。
舞台となった南仏の不思議なまでの静けさにもこの映画ならではの雰囲気があり、謎が謎を呼ぶストーリー展開も文句なく面白いです。
とはいえ、少々テンポがゆったり気味で、映画中盤の主演二人のところなど、観る側の緊張感が切れかかるところもあるのですが、そこがまたこの時代のフランス映画らしい魅力と言える気がします。
脚本を担当したセバスチャン・ジャプリゾは、あの『さらば友よ』(68)の脚本を担当した人物で、DVDのパッケージによれば“フランス推理小説界の重鎮”。
『さらば友よ』で気に入ったというチャールズ・ブロンソンに宛ててこの作品の脚本を書いただけあって、この作品でもブロンソンの魅力を最大限に引き出しています。
ブロンソンもハリー・ドブスという謎めいた役柄を独特の存在感をもって好演。
ヒロインのマルレーヌ・ジョベールは以前観た『最後のアドレス』(69年。ジョゼ・ジョヴァンニ監督、リノ・ヴァンチュラ共演)も良かったのですが、この作品でも実に素晴らしい演技。
彼女は派手さこそありませんが、堅実な演技と可憐な存在感は大変魅力的で(そばかすがちょっと気になりますが…)、70年代にフランスで人気があったというのも肯けます。
パリのシーンでちょっとだけ出てくる女優コリンヌ・マルシャン、どこかで観た覚えがありましたが、あの『5時から7時までのクレオ』(61年。アニエス・ヴァルダ監督)の主演女優でした。
『クレオ』以外ではほとんど観た記憶がないので、これはちょっと得した気分。
全篇を飾るフランシス・レイの音楽もさすがに素晴らしく、作品のミステリアスな面を盛り立てています。
HDマスターという国内盤DVDの画質もまずは満足できる仕上がりのように思えます。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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