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ザ・ローリング・ストーンズのライヴ映画『レディース・アンド・ジェントルメン(Ladies & Gentlemen)』をスクリーン(ブルーレイ上映)で観た感想。
(公式サイト)
THE ROLLING STONES "LADIES AND GENTLEMEN" (2010年。1972年収録)
メンバー:ミック・ジャガー(vo)、キース・リチャーズ(g、vo)、チャーリー・ワッツ(ds)、ビル・ワイマン(b)、ミック・テイラー(g)
収録曲:1.ブラウン・シュガー、2.ビッチ、3.ギミー・シェルター、4.デッド・フラワーズ、5.ハッピー、6.ダイスをころがせ、7.むなしき愛、8.スイート・ヴァージニア、9.無情の世界、10.オール・ダウン・ザ・ライン、11.ミッドナイト・ランブラー、12.バイ・バイ・ジョニー、13.リップ・ジス・ジョイント、14.ジャンピン・ジャック・フラッシュ、15.ストリート・ファイティング・マン
初見。
ローリング・ストーンズが音楽的に絶頂期にあったと言われる72年の北米ツアーを収録したライヴ映画。
当時、公開直前にオクラ入りとなってしまった幻の映像です。
この度DVDで発売になるということで楽しみにしていましたが、映画館で期間限定で上映されているということで行ってきました。
この時期のライヴ音源はオフィシャルでは発表されていませんが、私は昔ストーンズの熱狂的ファンだった時期に『NastyMusic』という有名なブートレグで楽しんでいました。
その時期のライヴがこうして映像付きで楽しめるようになったのですから、いい時代になったものです。
この時期がなぜ絶頂期と言われるかというと、ロック史上の最高傑作『メインストリートのならず者』(72)を発表した、音楽創作上で最も充実した時期であること、そして、ギタリストにミック・テイラーが参加していた時期であり、ライヴにおいて素晴らしいギタープレイを行っていた時期であるということ、そして、それに引きずられる形で(?)、ストーンズがバンドとして最強のライヴ・パフォーマンスを行っていた時期であるということが大きいと思われます。
個人的には76年のライブ盤『ラブ・ユー・ライヴ』、81年のライブ盤『スティル・ライフ』(どちらもミック・テイラーがすでに抜け、ロン・ウッドが加入後のライヴ)がストーンズの熱烈なファンになったきっかけであり、今でもそれぞれに強い思い入れがあるので、72年のツアーのライヴをそれほど突出して支持しているわけではありませんが、一般的にはこのツアーがストーンズのライヴの絶頂期であると言われていることには異論がありません。
むしろ、この機会にミック・テイラーという不当に低い評価しか得られてこなかったギタリストが再評価されるならば、こんな嬉しいことはありません。
言うまでも無く、ミック・テイラーのギタープレイはライヴにおいて最高に実力を発揮していたからです。
前置きが長くなりましたが、この映画におけるバンドのパフォーマンスは期待していた通り素晴らしいものです。
映像で観るミック・テイラーのブルージーなギタープレイの素晴らしさ、真面目に演奏している(?)バンドの混成一体となった独特のグルーヴ感がたまらない魅力です。
そして、ビル・ワイマンのベースとチャーリー・ワッツのドラムスの作り出す音楽の高揚感、枯れる前のキース・リチャーズの若々しい容姿、そして、ミック・ジャガーの圧倒的にパワフルなヴォーカルワーク、テナーサックスのボビー・キーズ他のサポートメンバーの熱演、すべてが印象的。
とりわけ『デッド・フラワーズ』で一つのマイクでミックとキースが一緒に歌う場面で胸が熱くなったのは私だけではないでしょう。
私もストーンズの生のライヴは90年の初来日以降何度も経験していますが、二人が一緒に歌う場面はもはやほとんど無くなってしまいました。
後々は通常キース一人のヴォーカルで演奏される『ハッピー』を二人が一緒に歌っているのも個人的には嬉しい。
また、ストーンズの生のライヴの始まる前の緊張感は独特なものがありますが、映画でもそれを味わうことができます。
ただ、一映画作品として観ると、よほどのストーンズ・ファン以外は物足りなさを感じるかもしれません。
舞台も暗めで、映像もかなりボヤケ気味のところがあるし、キャメラワークや編集も決して良いとは言えません。
音もかなりダンゴ状態。
観客席も後半まで全くといってよいほど映らないので、ライヴの観客との一体感みたいなものもほとんど映像から感じることはできません。
特に、マーティン・スコセッシ監督の『シャイン・ア・ライト』(2008年)という素晴らしいライヴ・ドキュメンタリーを観た後では、映画作品としての完成度は比べ物にならないくらい低いといわざるを得ません。
こういったところが、このライヴ映画が長い間オクラ入りとなった理由なのでしょう。
それでももちろん、この時代のストーンズを映像で楽しめる喜びは格別なものがありますので、ファンは必見でしょう。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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