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クロード・シャブロル監督の『女鹿』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『Les Biches』(68年)
監督:クロード・シャブロル
脚本:クロード・シャブロル、ポール・ジェゴフ
撮影:ジャン・ラビエ
音楽:ピエール・ジャンセン
出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャクリーヌ・ササール、ネイン・ゲルモン、アンリ・アタル、ドミニク・ザルディ
初見。
先日80歳で亡くなったクロード・シャブロル監督が、当時の妻ステファーヌ・オードランを主役に起用した絶頂期の作品の一つ。
女性二人、男性一人、という三角関係は初期の代表作『いとこ同志』(59)と逆の設定だが、内容もそれを彷彿とさせるものがある。
これまた、シャブロル的、としか言いようのない傑作である。
まず、冒頭の橋のシーンが素晴らしい。
フレデリック役のステファーヌ・オードランの黒尽くめのファッション、表情があまりにカッコ良く、のっけから釘付けになってしまう。
ところで、ステファーヌ・オードランという女優は当時シャブロルの妻だったわけだが、改めてよく見ると、確かに美人といえば美人なのだが、バランスのとれた完璧な美人というわけではなく、どこか癖のあるというか、不思議な顔付きの美人だ。
斜視っぽい目がそう思わせるのだろうか。
しかし、それがシャブロルのミステリアスな映画のテイストに驚くほどよく合っている。
この二人が結婚しただけでなく、映画を何本も撮ったのは当然といえば当然なのかもしれない。(80年に二人は離婚)
オードランよりも若く、顔立ちの整った美人であるジャクリーヌ・ササール(ホワイ役)は、映画の冒頭ではとても魅力的に見えるのに、映画が進行してくると、オードランと比較してしまうせいだろうか、何故かだんだんと物足りなく感じてしまう。
シャブロルの映画には、彼女がフツー過ぎる美人であるためかもしれない。
その二人に惚れられる男ポールを演じているポール役のジャン=ルイ・トランティニャンは、元はステファーヌ・オードランの実生活での夫であった。
そのトランティニャンと、自分の妻オードランを共演させ、ラヴシーンまで演じさせるシャブロル監督というのはちょっと我々日本人の感覚では分からない。
同時に映画の成功のためには、妻の元夫だろうがなんだろうがなりふり構わぬ配役をしてしまうという、監督の底知れぬ意思の強さを感じるのもまた確かだ。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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