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フリッツ・ラング監督の『ハウス・バイ・ザ・リヴァー』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『HOUSE BY THE RIVER』(1950年)
監督:フリッツ・ラング
脚本:メル・ディネリ
撮影:エドワード・クロンジャガー
音楽:ジョージ・アンセイル
出演:ルイス・ヘイワード、ジェーン・ワイアット、リー・ボウマン、ドロシー・パトリック、アン・シューメイカー、ジョディ・ギルバート
初見。
DVD付属の解説ブックレットによれば、フリッツ・ラング監督は弱小撮影所での映画製作を余儀なくされ、発表当時もこの映画は当たらなかったらしい。
そのためか、世界的にも長らく知られていなかった作品とのこと。
当たらなかったのは低予算による地味なキャスティングも原因かもしれないが、これはなかなか見ごたえのあるサスペンスである。
19世紀末のニューイングランドが舞台となった作品で、タイトル通り、主人公の家の側を流れる“河”が主人公と言ってもよいような存在感を示している。(これがまたなんともデカイ河なのだ)
とりわけ映画冒頭の“事件”に至るまでの演出が素晴らしい。
何か起こるぞ、何か起こるぞと思わせる、少々くどいくらいの演出がヒッチコックを思わせる。
というか、この作品に限らずフリッツ・ラングに影響されたのはむしろヒッチコックの方か。
映画中盤で、主人公のスティーヴンがボートを漕いで河で布袋を探すシーンもなかなか印象的であり、途中に挟まる法廷シーンもくど過ぎないのがいい。
全体的にフリッツ・ラング監督の演出が行き届いた作品だという印象で、内容も面白いので(DVDは高いが)観て絶対に損のない作品だと思う。
キャストも、主人公の作家スティーヴンを演じたルイス・ヘイワードの意地悪いキャラクターが面白い。
どことなくあのオーソン・ウェルズを思わせるアクの強い風貌が印象に残る。
その妻を演じたジェーン・ワイアットもしっかりした演技で、良かったと思う。
脇役もなかなか味のある存在感の俳優が揃った映画である。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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