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フランソワ・トリュフォー監督の『終電車』を国内盤DVDで観た感想。
『LE DERNIER METRO』(80年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャラール・ドパルデュー、ハインツ・ベンネント
80年のセザール賞を10部門独占したことでも知られる、トリュフォー後期の大名作。
130分にも及ぶ(彼としては)大作であり、劇場を舞台にした、ある意味『アメリカの夜』の演劇版といえなくもない作品です。
作品の時代背景からいって当然ナチ批判もあり、彼にしては珍しい政治的な色彩の濃い作品ですが、それだけにトリュフォーらしさに欠けるという見方もあるようです。
しかし、人間愛に満ちた内容の手応え、俳優陣の素晴らしい演技も手伝って、観終わった後、なんとも爽やかな感動があるのは彼の作品ならでは。
「ドワネルもの」のような小洒落た雰囲気こそありませんが、綿密なドラマ構成が見事な、大人の恋愛劇となっています。
キャストではやはりカトリーヌ・ドヌーヴの素晴らしさを第一に挙げねばなりません。
演技はもちろん、その美しさもキャリアの中でも頂点に位置する作品ではないでしょうか。
『シェルブールの雨傘』の時のような若さこそ当然ありませんが、この映画の方が女性としてずっと魅力的に見えるのは女優としての年輪の積み重ねのなせる業と言ってよいでしょう。
他にもワキの小さい役に至るまで丁寧に描かれているのもトリュフォー作品らしいですし、ところどころに流れるシャンソンに彼なりの愛国心を感じ取れなくもありません。
ラストの意外な展開と、後味の良さも実に素晴らしいものがあります。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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