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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『暗くなるまでこの恋を』。
『LA SIRENE DU MISSISSIPPI』(69年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
撮影:ドニ・クレルヴァル
音楽:アントワーヌ・ドゥワメル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド(ルイ・マエ)、カトリーヌ・ドヌーヴ(マリオン)、ミシェル・ブーケ(コモリー)
123分、カラー
ウィリアム・アイリッシュの原作「暗闇へのワルツ」をトリュフォーが映画化したもの。
(前作『夜霧の恋人たち』でホテルの夜番をしているアントワーヌが、この原作を読んでいるシーンがあります)
ジャン=ポール・ベルモンドとカトリーヌ・ドヌーヴの顔合わせという、トリュフォーの作品には珍しく大物俳優二人を起用した大作志向の作品で、ミステリアスなサスペンス作品です。
全体的に、面白い場面、美しい場面も多いですし、映画の前半でマリオンが失踪する辺りから、かなり面白い展開になりそうな気配があるのですが、後半はストーリーがどういう方向に向かっているのか少々読みにくいというか、役の心理が今一つ伝わってこないもどかしさがあり、この作品の評価が低いのもその辺に理由がありそうです。
また、その設定というかストーリー展開に、どこかヒッチコックの『めまい』を思わせるところがあり、ベルモンドが夢にうなされるシーンなど『めまい』のジェームズ・スチュワートそっくり(笑)。
カトリーヌ・ドヌーヴは言うまでもなくその美しさが大変魅力的なのですが、マリオンという役柄が今一つ理解しがたい役柄。
その心理と行動もなんとも同調しかねるところがあり、これならいっそ悪女に徹した方が面白かった気も・・・。
ジャン=ポール・ベルモンド演じるマエという役柄に対し、トリュフォーはベルモンドはミスキャストで、シャルル・デネだったら…と述べているようですが、確かに性格的に弱さを感じさせるマエという役柄はベルモンドらしい男性的な魅力が活かし切れない役柄のような気がします。
結局、ベルモンドのトリュフォー作品出演はこの1作のみとなりましたが、トリュフォー作品に登場する男性像は、残念ながらベルモンドの持つイメージとはもともと掛け離れていたのかもしれませんね…。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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