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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『家庭』。
『DOMICILE CONJUGAL』 (70年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、クロード・ド・ジヴレー、ベルナール・ルヴォン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:アントワーヌ・ドゥワメル
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、クロード・ジャド(クリスチーヌ・ドワネル)、キョーコ・ヤマダ(松本弘子)
98分、カラー
『夜霧の恋人たち』に続く、“ドワネルもの”第4弾。
アントワーヌとクリスチーヌは一見人も羨むような幸せな新婚夫婦…その結婚生活の様がコミカルに描かれています。
私は特に前半の明るさと楽しさが好きです。
2人の夫婦生活のみならず、アパート住人(変人だらけ!)の生活の様子も生き生きと描かれていて、それらのエピソードも楽しいの一言。彼らは中庭に面したアパートに住んでいますが、その舞台設定がいかにもフランス映画らしいというか、トリュフォーの映画らしく、その賑やかで明るい雰囲気が本当に魅力的なのです。
アパートの住人は、カフェの主人、外出嫌いの退役軍人、アントワーヌに言い寄る女、時間に厳しいオペラ歌手と、対照的に時間に愚図な妻、“絞殺魔”と呼ばれる男・・・。
それに、これはアパートの住人ではありませんが、『夜霧の恋人たち』でも出てきたアントワーヌの旧友で、会う度にアントワーヌから金を借りる“借金男”…。
そして、特別出演(?)のユロ氏・・・(残念ながらタチ本人ではない)。
いってみれば映画の役柄としては脇役の連中ばかりですが、彼らの存在感が大変面白く、この作品の大きな魅力なのです。
そして、肝心のドワネル夫妻。
映画の前半でアントワーヌは花の着色、クリスチーヌはヴァイオリンの教師をして生計を立てていますが、アントワーヌは例によって、仕事の方はイマイチ落ち着かず…。
いつまでたっても“大人”になりきれていないのは相変わらずで、日本人女性との浮気も火遊びなのかなんなのか自分でもよく分かってなさそう…。
一方、妻のクリスチーヌは堂々としたもの。
彼女を演じるクロード・ジャドが2年前の『夜霧の恋人たち』の頃に比べ、すっかり女らしくキレイになっているのにもビックリです。
アントワーヌの浮気相手となるキョーコ(松本弘子)の描写は少々滑稽で、これが当時のフランスにおける日本人女性の姿だとしたらちょっと寂しい気もします…。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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