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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『アデルの恋の物語』。
『L’HISTOIRE D’ADERE H.』 (75年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン・グリュオー、フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:イザベル・アジャーニ(アデル・ユゴー)、ブルース・ロビンソン(ピンソン中尉)
98分、カラー
フランセス・V・ギールの原作『アデル・ユーゴーの日記』を元に、フランスの大作家ヴィクトル・ユゴーの次女アデルの恋愛物語をトリュフォーが映画化したもの。
主人公アデルの行動は「そこまでやるか!」と言いたくなるほど強烈の一言で、これがすべて実話に基づいているというのがスゴイ。
ありとあらゆる手段を使って男の気持ちを自分に向けようとするそのやり方は今で言うと立派なストーカーで、その行動力は必ずしもすべてが観る者の同情を引くものではありませんが、とにかくその執念というか相手の男性に対する執着には恐れ入ります。
相手のピンソン中尉もここまで惚れられたら本望でしょう…実際は怖くてそれどこではないかもしれませんが。
ストーリーは極めてシンプルで、また出演者の少ない映画でもあり、それだけにこの映画はヒロインを演じるイザベル・アジャーニの魅力に尽きる気がします。
当時無名に近いながらもトリュフォー監督によって抜擢された、当時19歳の彼女の鬼気迫るような素晴らしい演技、そして、“女優魂”というか気迫に圧倒される作品です。
また、その信じられないほどの美貌も見物といってよいでしょう。
相手役のピンソン中尉を演じるブルース・ロビンソンも、冷たい容姿が役柄によく合って好演しています。
トリュフォー監督自身、映画の前半に兵士役でワンシーンだけですが出演しています。
他に、ネストール・アルメンドロスによる美しい映像、モーリス・ジョーベールの音楽とスタッフも揃っています。
なにしろテーマがテーマですので、正直、何度も観たくなるような作品ではありませんが、作品の古典的風格、その痛切極まりない物語はトリュフォーならではと言えます。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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