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ジョン・ヒューストン監督の『マルタの鷹』をDVDで久々に観ました。
『THE MALTESE FALCON』(41年)
監督・脚本:ジョン・ヒューストン
原作:ダシール・ハメット
撮影:アーサー・エディスン
音楽:アドルフ・ドイッチ
出演:ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター、ピーター・ローレ
言うまでもなく、フィルム・ノワールの元祖とも言われる作品で、実際のところ、私も何回も観ている映画ですが、ふとした時に、またその雰囲気を味わいたくなる作品です。
DVDを持っているので、今回もなんとなく観始めたのですが、あまりの面白さに途中で止められなくなりました。
実は何度観ても、相棒の探偵の殺人事件から、鷹の捜索に至るまでのストーリーの展開に付いてゆけないのですが(笑)、ジョン・ヒューストン(これが監督デビュー作!)のスピーディーな演出は観ていて気持ちよく、爽快さを感じるほどです。
キャストの魅力も言うまでもなく、ボギーが良いのは当然として、メアリー・アスターの謎めいた存在感、色っぽさもたまらなくいいですし(男に懇願する時のあの目!)、なんといっても、ピーター・ローレ、シドニー・グリーンストリート、イライシャ・クック・JR、探偵事務所の秘書を演じるリー・パトリックといった一癖も二癖もある助演陣が実に素晴らしい。
とりわけ、シドニー・グリーンストリートの見事なまでの巨漢ぶりと、余裕を扱いたあの独特の笑い、ピーター・ローレのギョロ目とパーマ(異様に痩せている!)、ボギーにとことんコケにされ涙目になるイライシャ・クック・JR…この3人が揃っただけでも、個人的には、この作品が唯一無二の作品となっているのです。
本当に『マルタの鷹』でこの3人を観る度にワクワクする気持ちが抑えられなくなるんですよね。
アドルフ・ドイッチの音楽も素晴らしいですし、とにかく、これは最高の映画としか言いようがないですね。
ジョルジュ・ロートネル監督、アラン・ドロン主演作の『チェイサー』を国内盤DVDで観ました。
『Mort d'un Pourri』(77年)
監督:ジョルジュ・ロートネル
撮影:アンリ・ドカ
音楽:フィリップ・サルド
出演:アラン・ドロン(製作も兼任)、モーリス・ロネ、クラウス・キンスキー、ネルネラ・ムーティ、ミレーユ・ダルク、ステファーヌ・オードラン、ミシェル・オーモン
政界の汚職を描いた、ノワール的な色合いの濃いサスペンス映画です。
正直なところ、ドロン氏の主演作は、70年代後半以降のものはあまり観ていないのですが、これは内容が実に面白い。
数多いドロン主演作の中でも、傑作の部類に入る作品ではないでしょうか。
ここでアラン・ドロンが演じているのは、政治家の友人フィリップ(モーリス・ロネ)の死の謎を探ろうとする実業家グザヴィエ。
ジョルジュ・ロートネル監督作品だけあって、カーチェイスや銃撃シーンなど、アクション的な見せ場も用意されていますが、この映画を貫くものは、友人の死に対するグザヴィエの“怒り”です。
その感情は、常はクールな表情の下に抑えられていますが、映画後半では、友人の死に対する怒りが、一瞬垣間見えるところがあります。
その迫力が凄い。
しかも、『太陽がいっぱい』以来の因縁のあるアランドロンとモーリス・ロネの共演、友情物語であるところが泣かせます。
映画冒頭で、愛人(実生活の愛人であるミレーユ・ダルクが演じているのがミソ)にベッドで『私のこと愛してるって言ってくれないの?』としつこく聞かれてウンザリ気味のドロンが、政治家を殺した友人ロネのためには、偽証罪の危険を犯しつつも虚偽のアリバイを主張したり、その後、ロネを殺した犯人を自らの命をかけてまでも探し出そうとします。
おそらくは、ドロン演じるグザヴィエにとって、大切なものは女、あるいは仕事よりも友人、友情なのです。
このグザヴィエという人物の行動理念には、ある種の日本人的価値観の発想が感じ取られ、その意味においては、映画のストーリーも“忠臣蔵”的仇討ち物語と感じられなくもありません。
これは、いかにも飛躍した考えかもしれませんが、過去に“Samourai”を演じたドロンであればこそ違和感なく演じられる役柄と言えるような気もしないでもないのです。
また、豪華なキャスティングもこの映画の大きな魅力で、皆個性を発揮しています。
中でも、先日このブログでも紹介したクロード・シャブロル監督の『肉屋』の主演女優ステファーヌ・オードラン、怪優クラウス・キンスキーが印象的。
とりわけ、ドロンとキンスキーの共演は新鮮で見ごたえがあります。
製作もドロンが兼ねていますから、キンスキーの出演は、ドロンのリクエストだったのではないでしょうか。
切れ者のモロ警部を演じたミシェル・オーモンは、ロバート・デ・ニーロをブ男にしたような顔つきですが、かえってそれらしく、味のある存在感を見せます。
ロネの愛人を演じたオルネラ・ムーティも色っぽくて良いです。
ただし、アンリ・ドカの撮影は、往年の冴えは今一歩のように感じましたが、これは、DVDの画質が今一つ良くないということも原因かもしれません。
また、注目すべきはフィリップ・サルドの音楽で、サックスを担当したのがジャズのスタン・ゲッツ。
映画冒頭のタイトルバックに、音楽と共にいきなり彼の演奏風景が登場しますが、そのあたりに彼の音楽への敬意が感じられます。
事実、全篇でゲッツ独特の柔らかいテナーの音色が印象的に鳴り響きます。
言うまでもなく、ゲッツのバラード演奏には、晩年のケニー・バロンとの見事なデュオが示すように、余人には代え難い魅力があります。
そのゲッツの資質が、この作品のサントラでは見事に発揮されていると思います。
あと、この作品の国内盤DVDは残念ながら廃盤となっていますが、私が観たところ、先に指摘したように画質は決して良くありません。
パイオニアのDVDは質の良いものが多いだけに、これは期待はずれでした。
このパイオニア盤が廃盤となっていることもあり、新たな国内盤DVDが待たれるところです。
23日、都内某デパートにて、フランス人デザイナーのアニエス・ベー女史に遭遇しました。
どうやらブランドの日本上陸25周年記念ということで来日中らしいです。
関連サイトへのリンク
基本的にミーハーな私ですが、他の人たちのように一緒に写真を撮ってもらうような勇気もなく、女史の姿を遠目に眺めるだけでした。
実際、このブランドのものはほとんど買ったことがないのですが、フランス製のものが多い割には、価格は比較的手の届きやすいという印象があります。
ここ数年はショップを覗くこともほとんどありませんが…。
ところで、アニエス・ベーといえば、シネフィルとしても知られていて、ゴダールの『右側に気をつけろ』(87年)の製作にもかかわったということです。
このことは、山田宏一氏の『山田宏一のフランス映画誌』(ワイズ出版)にも書かれていますが、その記事中(14~20ページ)で紹介されているアニエス・ベー選出によるフランス映画のセレクションがなかなか興味深いです。
アニエス・ベーによって選ばれたフランス映画は以下の7本…(製作年代順)
●『ランジュ氏の犯罪』(ジャン・ルノワール監督 1935)
●『セザール』(マルセル・パニョル監督 1936)
●『快楽』(マックス・オフュルス監督 1952)
●『はなればなれに』(ジャン=リュック・ゴダール監督 1964)
●『サムライ』(ジャン=ピエール・メルヴィル監督 1967)
●『終電車』(フランソワ・トリュフォー監督 1980)
●『冷たい水』(オリヴィエ・アサイヤス監督 1994)
なんといっても、メルヴィルの『サムライ』が選ばれているのが嬉しいところですが、他の作品のラインアップも、一般的なフランス映画の名作のセレクションとは一味違っているのが、かえって女史の映画への造詣の深さを感じさせます。(7本という本数に何か意味があるかどうかは不明)
ちなみに、私がこの中で観たことがある作品は、当然『サムライ』、そして『はなればなれに』『終電車』の3本だけです。
なお、『はなればなれに』『終電車』はどちらもスクリーンで観たことがありますが、『サムライ』はいまだにスクリーンで観たことはありません…。
他の作品では、特にルノワールの『ランジュ氏の犯罪』は以前から是非観たい作品の一つです。
紀伊国屋書店から発売されているルノワールのDVDボックスにこの作品が入ることを期待していましたが、どうやら叶わなかったようですね…。
レイモンド・チャンドラーの原作小説を映画化した、ディック・リチャーズ監督の『さらば愛しき女よ』を観たので簡単な感想。
『FAREWELL,MY LOVELY』(75年)
監督:ディック・リチャーズ
脚本:デヴィッド・Z・グッドマン
撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:デヴィッド・シャイア
出演:ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジョン・アイアランド
以前読んだ原作小説が面白かったこともあり、この映画を観るのがずっと楽しみだった。
評判の良いロバート・ミッチャムのフィリップ・マーロウ役がどうなっているのかが興味の大半。
観た印象としては、想像以上に魅力的な映画だったという印象。
冒頭のデヴィッド・シャイアによる哀感に満ちたスコアから映画に惹きこまれるが、ストーリー的にも、原作と違和感があまりないし、マーロウを演じたロバート・ミッチャムが期待以上に良かったから。
撮影当時58歳だったというミッチャムは、マーロウ役としては老けていることは間違いないのだが、思ったよりも老けた印象がなかった。
そして、個人的な考えなのだが、こういったハードボイルド映画の一つの条件、それは、帽子を見事に被りこなしているか否かである。
被り方はもちろんだが、帽子の形、サイズ、色などがその人にキチンと合っていなければならないというのは絶対条件。
ハワード・ホークス監督の『三つ数えろ』において、同じくマーロウを演じたハンフリー・ボガートが魅力的なのは、帽子姿があまりにカッコ良くサマになっているということもあるのではないか。
もちろん、トレンチコートの着こなしのカッコ良さも大きいが。
その意味において、この映画のロバート・ミッチャムの帽子の被り方、カッコ良さは見事である。
顔と帽子のバランス、薄いカーキっぽい渋い色目もよく似合っている。
それに加えて、トレンチコートの着こなしぶりも実にサマになっている。
個人的には、これだけでマーロウ役として十分合格。
なんともいえない色気を感じさせるのも、この役には相応しいと思う。
これだけ魅力的だと、あまりにタフでシャープなイメージの強いボギーのマーロウよりも、ミッチャムのマーロウの方が好きだという人がいても不思議ではない。
ちなみに、マーロウと懇意の刑事ナルティを演じたジョン・アイアランドの帽子の被り方も見事であった。
ストーリー的には、小説の面白さに映画は明らかに及んでいないが(あの小説の内容を95分に収めるのは土台無理)、こういった視覚的な魅力が小説にはない大きな魅力である。
もちろん、原作を読んでから観たほうが楽しめるとは思うのだが、映画だけ観ても内容は理解しやすいに違いない。
アムソー役が大女なのは映画ならではの発想だが、これはこれで強烈な印象が残る。
原作にはないジョー・ディマジオの連続安打のニュースがところどころに顔を出すのは余計な感もあるが、40年代の雰囲気が見事に再現されているセットは良かった。
シャーロット・ランプリングは、どうしても『脱出』あたりのローレン・バコールとイメージがダブるが、いかにも退廃的な雰囲気は、当時としても貴重であったと思われる。
あと、シルヴェスター・スタローンがチンピラ役で出演しているのだが、緊張感のない表情に興をそがれる。
ヴィム・ヴェンダースやデイヴィッド・リンチの映画の常連、ハリー・ディーン・スタントンも出ていたみたいだけど、どこに出ていたか気が付かなかった。
それにしても、こんな魅力的な映画がどうしてDVDにならないのか不思議でならない。
11月には初の国内盤DVDとなる『リスボン特急』、12月には新国内盤DVDとなる『いぬ』の発売と、年末にかけてメルヴィル作品のDVD発売が相次ぎますが、米Amazonに予約注文していたCriterion盤『いぬ』『ギャング』のDVDがようやく届きました。
今回は、主に『ギャング』について。
言うまでもなく、『ギャング』のCriterion盤発売はメルヴィル・ファンにとって大きなニュースです。
これまで英語圏では『ギャング』のDVDは未発売でしたので、英語字幕の入った『ギャング』のDVDは、今回が初めての発売となると思われるのです。
今回のCriterion盤の発売により、『サムライ』『影の軍隊』『仁義』など後の作品に比しても全く引けを取らない傑作である『ギャング』が、世界的に再評価される可能性も高いのではないでしょうか。
ひいてはメルヴィル監督の再評価にもつながることも大いに期待されます。
ところで、この2枚のCriterion盤DVDは、都内の輸入DVD店では1週間ほど前からすでに発売されていて、某ショップでは価格は4900円ほどでした。
今回私は米Amazonで購入したわけですが、DVD1枚の価格が$27・99、郵送料が$10・97、合計$66・95かかった計算になります。
日本円にして7千円程度でしょうか。
国内で購入していれば、1万円ほどはかかったはずですので、安く収まった方だといえるでしょう。
気になる内容ですが、『ギャング』だけ本編の冒頭10分ほど観ました。
さすがにCriterion、画質は優れています。
気になるのは、『ギャング』のパッケージに、本編の時間が144分と表示されていることです。
国内盤VHSでは150分ほどだったと思います。
あのルイ・ノゲイラ著『サムライ』でも150分となっています。
気になって、私が持っている仏盤DVD(Rene Chateau盤)を調べてみましたら、140分となっています。
Criterion盤DVDのパッケージの裏には、“Under exclusive license from editions Rene Chateau.”と記されていますので、内容はRene Chateau盤と変わらないと思われます。
このあたりの謎に関しては、また改めて確認の必要がありそうです。
もっとDVDの内容を紹介したいところなのですが、このところ、仕事がますます立て込んできまして、なかなかゆっくりと内容を確認する時間もありません。
また、リージョン問題の事情もありまして、映像をパソコンでキャプチャーすることもすぐにはできません。(上の画像はRene Chateau盤をキャプチャーしたもの)
画質、特典内容等につきましては、またきちんと紹介する機会を作りたいと思います。
『苦い報酬』はフィルム・ノワールの傑作の一つと目される48年のアメリカ映画。
国内DVD化もされていないし、劇場公開もされていない、幻といえそうな作品であるが、先日レンタルビデオで発見、すぐさま借りてみた。
この作品に関心を持ったのは、紀伊国屋書店から発売されているDVDボックス『フィルム・ノワール傑作選』の付属冊子『フィルム・ノワール手帖』に掲載された『カルト・ノワール25選』に選ばれていたから。
そして、あのジョン・ガーフィールド主演作ということもある。
『Force of Evil』(48年)
監督:エイブラハム・ポロンスキー
撮影:ジョージ・バーンズ
音楽:デイヴィッド・ラクシン
出演:ジョン・ガーフィールド、ビアトリス・ピアソン
エイブラハム・ポロンスキーはこの作品が初監督作品であり、ガーフィールド主演、ロバート・ロッセン監督の『ボディ・アンド・ソウル』(47年)というボクシング界を舞台にした映画の脚本家でもあるという。
この作品は半年ぐらい前に観ている。
この『苦い報酬』は、ウォール街を舞台とした、資本主義社会の闇の部分を描いた作品で、ハリウッド映画にしては、実に重苦しい雰囲気を持った作品であり、そのストーリーを簡単に説明するのは難しい。
ナンバーズという数合わせの賭博に不正をすることで、中小規模の胴元を破産させようとするギャングがいて、ガーフィールドが演じる役柄は、そのギャングの弁護士。
ところが、ガーフィールドには小さい胴元を経営する兄がおり、ガーフィールドは兄に不正を前もって知らせて助けようとするのだが、不正を嫌う兄は弟の言うことを聞こうとしない…。
兄弟の対立、兄の秘書の女性(ビアトリス・ピアソン)とガーフィールドの恋愛、そして、ガーフィールドとギャングの対立など様々な要因が絡み合って、かなり複雑な人間模様が展開される。
しかし、演出、演技ともに、とてつもない熱とパワーを感じさせる力作であると思う。
ポロンスキー、ガーフィールドともに、この後赤狩りにあい、ポロンスキーは20年もの間、映画界から締め出され、ガーフィールドは自殺に近い死を遂げることになったといわれている。
そういえば、この作品の社会派的な作風、兄弟のやりとりなど、後のエリア・カザン監督の『波止場』(54)を思い起こさせた。
車の後部座席での会話のシーンなどは、『波止場』の有名なシーンの一つだし(この映画では兄弟の対話ではなく、男女の会話だが)、言うまでもなくエリア・カザンも、赤狩りに深い因縁のある人。
また、ガーフィールドの代表作の一つである『紳士協定』(47)の監督もカザンだった。
赤狩り、赤狩りと、直接映画の内容とは関係のない、時代背景ばかり強調するのは、映画の観方としては、決して正しい?ものとは思えないが(実際、私はよく知ってもいないのだが)、それに深い関係のある人たちがかかわっている作品に触れると、どうしてもそのことが脳裏をかすめてしまうのもまた確かである。
事実、この映画でのガーフィールド演じる弁護士役は、清濁併せ呑むといった印象のタフで複雑な役柄であるが、ガーフィールドは役柄そのものになりきっているかのような熱演ぶり。
その演技は、あまりにリアルで、観ていて少々疲れを覚えてしまうほどである。
ヒロインのビアトリス・ピアソンも可憐で魅力的。
ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『ラ・スクムーン』の国内盤DVDがユニバーサルから新たに発売されましたので、勇んで購入、早速観ました。
この映画を観るのは2度目。
“スクムーン”とは“死神”の意。
この映画の国内盤DVDは以前、東北新社から出ていましたが、早々と廃盤、中古市場では長い間高値を付けていました。
私もずっと欲しかったのですが、あまりの価格高騰ぶりに手が出なかったというのが実際のところでした。
今回は何かと悪評高いユニバーサルからの発売ということで複雑な心境ですが、とりあえず1500円という廉価盤での登場を喜びたいと思います。
『La Scoumoune』
監督・原作・脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:アンドレア・ウィンディング
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、クラウディア・カルディナーレ、ミシェル・コンスタンタン
ジョゼ・ジョヴァンニのこの原作は、61年にジャン・ベッケル監督によって『勝負(カタ)をつけろ』として映画化されています。
脚色・台詞をやはりジョゼ・ジョヴァンニが担当、主演はこちらもジャン=ポール・ベルモンド、友人ザビエ役はピエール・ヴァネック、ベルモンドが刑務所に入るキッカケとなる悪党役はミシェル・コンスタンタンが演じていました。
『勝負をつけろ』は、ギスラン・クロケによるモノクロ映像が素晴らしく、内容も特に前半が大層魅力的だったのですが、後半はかなりトーンダウンした印象でした。
このブログで以前書いた『勝負をつけろ』の関連記事
その点、このジョゼ・ジョヴァンニ監督版はそのようなことはなく、前半後半のバランスもうまく取れています。
30年代~40年代を舞台にした映画で、フレンチ・フィルム・ノワールというよりは、イタリアのギャング映画のような雰囲気が濃い作品ですが、銃撃戦もスリリングに描かれており、大変パワフルな演出がされた映画という印象があります。
『勝負をつけろ』もそうでしたが、この映画でも、緊張感のある役柄のジャン=ポール・ベルモンドが観られ、魅力的です。
この映画全篇でとてもいい表情で演じているのが印象的でした。
そのベルモンドとクラウディア・カルディナーレの顔合わせは珍しいですが、相性はとても良いと感じました。
もちろん、ベルモンドとミシェル・コンスタンタンのコンビも素晴らしいです。
また、脇の俳優たちも、とても個性的な面々が揃っており、この作品を盛り上げています。
とりわけ、手回しオルガン弾き兼ベルモンドの用心棒であるミグリ役のエンリケ・ルセロは印象的でした。
他にも、メルヴィルの『仁義』でドロンに宝石強盗を持ちかける看守を演じていたピエール・コレが、この作品では刑務所長役を演じています。
フランソワ・ド・ルーベの手回しオルガンの音楽は、前回観た時はなんとなく映画に合っていないような印象もあったのですが、今回は、免疫があるからでしょうか、とてもよく合っているように感じてしまいました。
それにしても、この映画のテーマの、嬉しいんだか、悲しいんだか分からない、微妙な色合いの音楽は、インパクトが強い。
多少の好き嫌いはあるかもしれませんが、これがド・ルーベの傑作であることは間違いないでしょう。
あと、DVDの画質はとても良いと思いましたです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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